特集:新たな建築生産への取組み

キーワードは「合理化」と「情報化」

 従来の建築生産は,まず設計があって,設計が終わってから,施工に入るという大きな流れや考え方が前提になっている。

 しかし,低コスト・短工期・高品質を兼ね備えた建築を考え,生産性や採算性を向上させるには,施工のことを念頭に置きながら,建築計画の初期の段階から取組むのが効果的・効率的である。

 設計のことは設計の守備範囲の中で,施工のことは施工の守備範囲の中で,創意工夫をしていたのでは,自ずと限界がでてくる。特に,施工の場合,設計ができあがったあとからの改善だと,施工のプロセスで可能なことは限られてくる。

 従来からの概念にとらわれずに,設計と施工とを一体化し,一貫した対応による建築生産を当社が提唱する所以である。

これまでの設計施工の考え方

設計が終わらないと,施工計画,積算・見積,施工準備などに取りかかれず,資材の調達計画,施工図の作成などを先行することが難しかった。また,設計図をもとに多くの情報を再び手作業により改めて入力し直す必要があった。


『合理化設計施工』『情報化設計施工』の考え方

設計と施工の一部を同時進行させ,施工条件,構工法の選択,生産設計などを上流から造り込むことにより,設計の終了と同時に,施工計画,積算・見積,施工準備などが可能となる。さらに,設計情報をそのまま活用することにより,資材の調達計画,仮設計画,工事計画,施工図の作成などの先行が可能となる。このことから,資材の低コストの調達や工期短縮の可能性が広がる。

 こうした考え方に基づいた生産性・採算性向上のための新たな取組みの一つが『合理化設計施工』である。これは,そのプロジェクトに最適な構・工法を採用し,設計の上流から建築の生産性を高めようとするもの。

 もう一つが『情報化設計施工』。これは,設計情報をそのまま施工に活用しようというものである。

 今回は,特に建築生産の中でも先行している躯体生産に焦点をあて,構造技術の観点か,合理化設計施工の代表的な例としてニューNEOS構法とCFT構造を,さらに情報化設計施工の核となる構造データベースCAD−LINCSを中心に紹介する。




|キーワードは「合理化」と「情報化」
合理化設計施工への取り組み−ニューNEOS構法
合理化設計施工への取り組み−CFT構造
情報化設計施工への取り組み−構造データベースCAD−LINCS