微生物が原油を食べる

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 この微生物の働きを利用する汚染環境の浄化法は,大きく2つに分けられる。ひとつは,その環境に土着する微生物を有効利用するため,それらの微生物の活動を抑制している条件を緩和することである。 具体的には,微生物の増殖に必要な窒素,燐、酸素などを補給するために肥料の散布や曝気をする。       もう一つの方法は,特に有用な機能を持つ微生物を選沢,培養して備蓄しておき,必要時に肥料などと共に環境中に導入しようとするものである。 これは,遺伝子操作を受けた微生物(GEM)の利用を含めて,新たな微生物を一般環境に持ち込むことの是非や,土着の微生物との競合など,まだ解決されなければならない問題も残されてはいるが,環境汚染の進む現在,注目されている方法である。 当社も出資している海洋パイオテクノロジ一研究所(MBI)では, 「微生物を用いた流出原油による環境汚染浄化技術開発プロジェク ト」の中で,様々な研究を行っている。これは,産業科学技術研究開発の一環として,新エネルギー・産業技術総合開発機構から委託を受けて実施しているものであるが,その一環として,毎年バイオ研究船「蒼玄丸」を世界中の海域に派遣し,様々な試料の採取や調査を行っている。 また日本沿岸でも同様な資料採取や調査を行っている。これらの研究の結果,原油で成育できる微生物は,地球上のほとんどの海域でごく普通に存在していることが分かってきた。 写真は,細菌が油滴の表面に多数群って増殖している様子を,特殊な方法で撮影したものである。 この細菌は三陸海岸から採取した砂と海水に原油,窒素,燐などを添加して増殖させたものであるが、この細菌の他にも,酵母やカビに原油を 分解するものが見つかっている。  

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