特集:シールド技術の最前線 ●シールドトンネルの幕開け
19世紀、英国ロンドンのテムズ川横断トンネルの建設工事の際、軟弱地盤崩落を防止するためシールド(楯の意味)という鋼鉄製枠が採用されたのがシールドトンネルのはじまり。その後,都市部のトンネル施工法の主力は,開削方式からシールド工法へと徐々にシフトしていき,シールドマシンの登場を契機に,手掘式開放型から密閉式へと変遷していった。
1980年代中期以降,国家的プロジェクトとして大規模なインフラ計画が打ち出され,当社も大型土木工事を数々手掛けていった。洪水対策の地下河川である神田川地下調節池、自動車専用道路の東京湾アクアラインといった14m級の大断面のシールドトンネル,海面下70m大深度の海底LNGパイプラインの東京ガス扇島工場受入配管がその例である。
1990年代にはいると、トンネル断面を単一の円形に限らず複円形や非円形といった特殊な断面形状の発想も出されるようになった。これに対して当社は,地下鉄駅舎部と鉄道線路部の3つの円形トンネルを一台のシールドマシンで掘削した大阪ビジネスパーク停留場の横3連マルチフェイスシールド工法、矩形の形状を掘削するMMST工法、ワギングカッターシールド工法、連続した異口径トンネルを一台のシールドマシンで掘削するMSシールド工法を技術開発した。
●合理化を目指すシールド
現在のシールドトンネルに対する要求は、コスト意識を念頭に置いた合理化と言えよう。より早く、より長く、より安全に,より省力化し、より効率のよい断面で、一度に長く掘進することで合理化は実現化されることになる。 |
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