特集:シールド技術の最前線

特殊工法シールドの例

●横浜市八幡幹線下水道整備工事

 横浜市の南部地区では,著しく都市化が進行し既存の排水能力が不足することになった。
 これに対し横浜市下水道局では,抜本的な対策として,ポンプ場の増設と新規の処理幹線の建設を進めている。当社(JV)は,このうち磯子第2ポンプ場を発進立坑とし,河川や国道・市道の真下を掘進する八幡幹線下水道整備工事を施工中である。
 この幹線は,全長約2.1kmのうち,上流部(1.1km)が仕上がり内径3m,下流部(1.0m)が内径4mを必要とする。これまでの工法では,口径の異なる2台のシールドマシンでの掘進となるが,この地域は住宅密集地域であるため複数の立坑を設置することは困難となっている。そのため,1台のシールドマシンで径の異なるトンネルを掘進するMSシールド工法が採用されている。別名親子シールドと呼ばれるこのシールドマシンにより,大口径の親シールド機で内径4mを掘進し,内径3mとなる地点から小口径の子シールド機が発進し,既に到達地点までの掘進を無事完了した。
(工期:1995年11月〜2000年3月)

横浜市八幡幹線下水道
管径変化した断面


MSシールドマシン
MSシールドマシン


●三沢市第四雨水幹線構築工事

 青森県三沢市では,これまで主に道路排水溝による雨水排水処理が行われていた。しかし,都市化が進むこの地域では,その処理能力では不十分となり,三沢市では現在管路による雨水排水処理に変更するよう整備を進めている。この計画の一環として,三沢川第4号雨水幹線築造工事が当社(JV)の施工で行われている。
 当工区は,市街地の地下部にシールドトンネルを構築する計画のため,用地等の関係から,S字状の急曲線(曲線半径12m)を掘進する必要がある。通常の回転式カッターによるシールドマシンでは機長が長く,この急曲線の克服が難しい。そこで,シールドマシンの機長が短く小回りの効くワギング(揺動式)カッターシールド工法が採用されることになった。当社が研究開発したこの技術は,当初矩形断面のトンネル掘進を意図したもので,円形断面に採用したはこの工事が初めてである。
(工期:1998年〜2001年3月)


組立中のシールドマシン
現場で組立中のワギングカッターシールドマシン


ワギングカッターシールドマシン
ワギングカッターシールドマシン


[ワギングカッターシールド工法]
 カッターヘッドを一定角度内でワイパーのように往復運動させ掘進するシールド工法。伸縮自在のオーバーカッターを装着した場合,円形は勿論,矩形や複円形など様々な断面を施工することが出来る。カッター機構を従来の回転式から揺動式に変更することにより,シールドマシン内部の機器を簡素化することが可能となるため,従来のシールドマシンより低コストとなる。




合理化を目指すシールド
長距離シールドトンネルの例
|特殊工法シールドトンネルの例
座談会:シールド技術を支える力