特集:シールド技術の最前線 ●建設省外郭放水路第3工区トンネル 埼玉県春日部市付近では,周辺の中小河川の氾濫による浸水被害の解消を図るための大規模地下河川の建設が進んでいる。主に国道16号の直下ですすむ当工事は,地下約50mという大深度に構築されるシールドトンネルである。トンネルの外径は約12mと国内最大級の大断面である。当社(JV)が現在担当する工区は,第三立坑から第四立坑までの総延長約1.4kmであるが,近い将来には,第四立坑から終着点の第五立坑までの約1.2kmを当工区の泥水加圧式シールドマシンで更に掘進する計画(未発注)である。 このため,総延長2.6kmの長距離施工に対応した合理化が図られている。例えば,坑内の部材搬送には大規模一括搬送システムでは日本初となるタイヤ式自動搬送車両が導入され,セグメントについては,1リング(9ピース)を完全自動供給し,高精度のセグメント自動組立装置でボルト締結まで行うなどオートメーション化が実現している。 (工期:1996年3月〜2000年6月)
●関西電力三国シールド 大阪市内への電力安定供給に向けて、関西電力では電圧50万ボルトの送電用管路建設を推進中である。大阪市淀川区三国地区で施工を担当する当社(JV)は、一台の泥水加圧式シールドマシンで5kmという超長距離を月平均310mの高速度で掘進するという過去に例をみない施工に挑んでいる。この工区の地層は複雑に入り組んでおり,また,鉄道・高架道路の基礎の直下を掘進するため,非常に厳しい施工条件となっている。現在は、難関といわれた急曲線と砂礫層を克服して、約2.4km地点まで到達したところ。一般的にシールドマシン掘進距離の限界とされる地点(2.0km)を越えたため、今後は,慎重にメンテナンスしながら、掘進速度を維持することが必要となる。 このような長距離高速施工を支えるのは、最先端のテクノロジーだ。当工事に使われているシールドマシンはパーツや構造において耐久性の向上が図られ,セグメントも高速施工に適したものが採用されるなど多くの工夫が施されている。 (工期:1996年11月〜2002年3月)
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