特集:温室効果ガスを削減する鹿島の技術 |
LCMの最初の段階は,企画・計画のステージである。そこで必要とされるのは,新規計画における温室効果ガス発生量の予測や,既存建物での正確な現状の判定などの技術だ。ここでは,次なるステージでの改善や改良の布石となる「予測・判定する技術」を紹介する。 |
建物の環境性能を予測する |
LCCを判定する 当社は,1992年からLCC(ライフサイクルコスト)を算定するプログラムの開発を手掛け,改良を重ね完成度を高めてきた。その集大成が『KLEAD-I』だ。本システムの特徴は,企画・計画,設計・運用,保守・リニューアルというLCMの様々な段階で建物用途毎のLCC評価が可能な点。PFI事業やリニューアル提案における正確な長期修繕計画の算出で実績を残している。また,LCCO2*の算定機能も備えており,建物の長期的なライフサイクルの視点から,コストと環境負荷の最適化を検討することが可能である。 *LCCO2:ライフサイクルCO2。建物のライフサイクルを通して排出されるCO2量 |
周辺環境との共生を目指す 当社の視点は,建物の周囲にも向けられている。『鹿島都市気候評価システム(KaUCES)』は,建物周辺の風の流れ,日射,建物や緑化の影などの影響による温熱環境などを予測するツールだ。広域気象システムからのデータをもとに建物周辺1km四方までズームアップして,風の流れや日射の影響を算定する。大規模な建築計画や地域開発に際し,風通しに配慮した建物配置,効果的な植栽計画,適正な建物外壁材を検討することで,屋外環境の改善を追求するツールである。 |
建設現場での環境負荷低減事例 | |
東京都江東区の「(仮称)豊洲三丁目9−2街区計画新築工事」の現場では,地上48階,地下1階,RC造の分譲住宅を2棟建設中だ。 現場では,「ゼロ・エミッション活動を推進し,混合廃棄物の排出量を“延床1m2あたり5kg以下”を目指す」とのスローガンのもと,徹底した分別・リサイクルによる廃棄物低減活動に取り組んでいる。具体的には,現場立ち上げ早々に現場内で当社社員と職長会が一体となった「ゼロ・エミッション委員会」を結成。実際の廃棄物の写真を掲載して分かりやすく分別を案内した工種別のハンドブックを作成し,作業員一人ひとりに手渡して浸透を図るなど,主体的に改善活動に取り組んでいる。 現場を統括する中村幸太郎所長は,「委員会の活動に対し,現場としては分別ヤードを整備するなどの設備面で支援している。取組みは,現段階では目標を上回る実績をあげており,廃棄物処分費用の縮減に貢献している。現場での活動が,少しでも環境負荷の低減につながれば」と思いを語っている。 東京建築支店では,2007年度より全ての新規着工現場で,ゼロ・エミッションに取り組んでいる。今後も当社は,環境負荷の低減に貢献するモノ作り現場を目指し,取組みを継続する。 |
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■ 環境負荷低減へ向けた
当社の取組みについて ■ 温暖化防止に向けた建設業の視点 ■ 予測・判定する技術 ■ 実現する技術 ■ 監視・制御する技術 |