建物の環境性能を予測する
オフィスビルは消費エネルギーのうち約半分を空調や熱源関係が占めるといわれ,その削減が環境負荷低減に直結する。当社は,空調設計の基本となる負荷評価とシステムシミュレーションの汎用プログラムを改良し,機能を強化した『空調負荷評価・システムシミュレーション』を活用している。世界や日本各地の気象データを取り込むことで,地域特性に応じた最新の空調・熱源機器のエネルギー負荷シミュレーションが可能となった。
一方,強い日射や窓からの放熱などは建物の消費エネルギー量に大きな影響を及ぼすことから,建物を囲む外皮や窓周り(ファサード)の性能が重要になる。ファサードの省エネ性能は,省エネ法に基づくPAL*1という指標で判断され,2,000m2以上の新築・増改築では建物用途毎のPAL値を満たすことが求められている。当社は,建物形状やガラスの種類,外壁の断熱性能といった項目を入力するだけでPALを簡便に評価・計算するツールを開発。本ツールやCASBEE*2などを活用して環境配慮設計を推進している。
室内の気流を正確に予測するのが気流数値解析技術『CFD』*3だ。交錯する気流の相互作用や,温度の変化・分布を逐次計算し,ビジュアルに表現する。大量の熱を発生するサーバーなどが設置されているiDC(インターネットデータセンタ)や,高精度な空調制御が要求される電子デバイス工場で,温室効果ガス削減の観点から,省エネ運転と機能を維持するための最適空調の検討などに威力を発揮する。
*1 PAL:建築物の窓や外壁からの熱損失を防止する措置を評価する指標
*2 CASBEE:建築物総合環境性能評価システム
*3 CFD:数値流体力学
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