特集:多様化するNATM 最小土被り4mの都市トンネル 新神戸トンネル(2期)工事(第一工区) ●交通渋滞緩和のためのトンネル 神戸・六甲山の袂に位置する山陽新幹線・新神戸駅の真下を新神戸トンネルが走る。神戸市北部の箕谷と神戸中心部を結ぶ重要な道路トンネルである。 今日,北部の都市化進行により,朝晩の通勤ラッシュで新神戸駅前のトンネル出口付近での渋滞が慢性化していた。本事業は神戸市側トンネルを国道2号線まで延伸,周辺を一体整備することで問題を解決するものである。 当社はトンネル延伸工事の第一工区550mを担当,両端の開削工法を除いた中央部270mをNATMで施工している。当初,シールド工法での掘削が検討されたが,トンネル工区の施工距離が短いこと,コストが抑えられることなどの理由から最終的にNATMが採用された。 |
マンホールに設置された沈下計測器 |
計測の結果は、リアルタイムで現場事務所内のパソコンへ表示される。 |
神戸市街地のすぐ真下で工事が進む |
●都市NATMを可能とする補助工法
トンネルの断面積は88〜102平方メートルと大断面であるが,土被りが4〜9mと非常に浅く,地中には水道管やガス管などの埋設物が含まれている。さらにこのトンネルの地表には幹線道路が通っており,寺院や小学校が隣接している。 こうしたことから,トンネル工事の影響による周辺地盤の沈下が起こらないよう,トンネル切羽・天端の崩落防止の対策を講じている。具体的には地山を強固につくりかえる補助工法をNATMと併用している。地盤の軟らかい都市部でのNATMではこのようなことをするのが一般的である。これは切羽前方の地山上部を掘削前に強固に改良し,硬く守られたその内側を掘削するというものである。 6月末現在,トンネル工区270mのうちトンネル上半215m,下半161mまで掘削を終えている。 |
<工事概要> |
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場所 | 神戸市中央区熊内橋通 |
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発注者 | 神戸市道路公社 |
設計 | パシフィックコンサルタンツ |
規模 | 本線開削区間280m,神若ランプ既設部撤去・新設工 電気室併設,トンネル区間270m(断面積88〜102平方メートル) |
工期 | 1997年9月〜2001年12月 (関西支店JV施工) |
●沈下を抑える補助工法
当現場では,アンブレラ工法,地山プレロードシェル工法,ジェットグラウト工法などの補助工法を採用している。 |
■アンブレラ工法
トレビチューブという鋼管を壁面に沿って打ち込み,切羽前方の地山を強固に改良する技術。チューブは二重管となっており,内側の管を引き抜いて,管内にウレタンを注入する。50cmおきに設けられたバルブからウレタンが噴出,地山に浸透し,直径約45cmの範囲を改良する。それはまるで傘が開いたようなかたちで改良されていくことからアンブレラ工法という。 |
鋼管は直径114mm、 長さ12〜12.5m |
鋼管の先端部が見えている。トレ ビチューブはトンネル外周に沿っ て39本打ち込む |
■地山プレロードシェル工法
壁面と支保工との間にできた隙間は,地表面の沈下の原因となる。そのため地山と支保工が一体となるよう僅かにできた隙間に布袋を挟み込み,袋の中にモルタルを注入,地山と密着した状態で凝固させる。 |
■ジェットグラウト工法
トンネル脚部には特に地山の力が集中する。そのため,重みでトンネルが沈まないよう脚部の地山を改良する必要がある。掘削前,切羽下部の両隅から管を挿入し,管の先端からセメントミルクを高圧噴射させる。そして地山を切削しながら直径80cm範囲の地山を左右2本ずつ改良する。 |
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