特集:いよいよ始まるW杯サッカー

FIFAワールドカップの全貌

4年に一度の世界選手権
 W杯は4年に1度,世界の強豪国チームが国や地域,民族のプライドをかけ,サッカーの世界一を争う選手権である。2002年大会では,予選を勝ち抜いてきた世界の強豪は29チーム。開催国となる日本と韓国,そして前回のフランス大会で優勝したフランスを含めた計32チームが,5月31日から6月30日までの約1ヵ月間熱い戦いを繰り広げる。

W杯の歴史と発展
 W杯の起源は,世界各国のサッカー協会が加盟するFIFA(国際サッカー連盟)が設立された1904年に遡る。当時,多くの国でサッカーはプロ組織によるチーム運営が主流であった。このため,FIFAは設立当初から世界選手権の開催を検討していた。そして1928年,アマチュアを対象とするオリンピックではなく,自らが真の世界の王者を決定する大会を開こうという声明がFIFA総会で採択された。これを受け,1930年に建国100周年を迎えた南米のウルグアイで記念すべき第1回大会が開かれた。それから第二次世界大戦による2回の中断があったものの,17回目を迎える2002年大会では,史上最多の197の国と地域が参加するまでになった。

オリンピックを上回る熱狂ぶり
 W杯は,サッカーという単一種目のスポーツイベントでありながら,今日ではサッカーファンのみならず,世界中の人々が注目する大会となっている。前回の1998年フランス大会では,世界各国から応援に駆けつけたサポーターや,自国フランスを応援する観客で,スタジアムは軒並み満員となり,総入場者数は277万人を記録。また試合の模様は世界196ヵ国でもテレビ放映され,その累計は29,714時間,視聴者は延べ約331億人に達した。1996年に開かれたアトランタ夏季オリンピックの視聴者数,約196億人と比べても,W杯の熱狂ぶりがいかに凄いかがわかるだろう。日本においても日本代表が出場した対クロアチア戦では,平日の夜9時以降のテレビ放映であったにもかかわらず,60.9%の驚異的な視聴率を記録した。

大会日程
決勝トーナメント組み合せ

W杯タジアムの仕様
 真の世界一を決定する大会だからこそ,最高のプレーが発揮できなければならない。FIFAでは,W杯が行われるスタジアムについて,試合の競技面や観客の快適性,安全性の観点から様々な仕様を定めている。
 例えば,予選リーグ,決勝トーナメント1回戦,準々決勝では,スタジアムの収容人数は4万人以上,決勝,準決勝では6万人以上の規模で,観客席は全て背もたれ付きの個席でなければならない。しかし,日本の現状を考慮して,一部ベンチ式でも可とする。

1)競技面
・プレーイングエリアの表面は天然芝
・フィールド寸法は,105m〜110m×68m〜75m
・フィールド全体に給排水設備を設置する
・夜間照明は,最低1,500ルクス

2)快適性
・観客席2/3以上が屋根付き
・全席が背もたれ付きの個席
・全席からグランドが見渡せる

3)安全性
・観客,選手,VIP,報道,運営の動線分離を行う
・避難経路,避難空地を確保する
・ピッチと観客席を分離する(掘の設置:最小幅2.5m 最小深3m)
・監視システムの充実,フーリガン対策をとる



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宮城スタジアム
埼玉スタジアム2002
新潟スタジアム・ビックスワン
静岡スタジアム・エコパ