特集:いよいよ始まるW杯サッカー

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新潟スタジアム・
ビックスワン


試合日程
アイルランドvsカメルーン 6月01日(土)15:30
クロアチアvsメキシコ   6月03日(月)15:30
決勝トーナメント1回戦
A組1位vsF組2位   6月15日(土)20:30
新潟スタジアム・ビックスワン
屋根にできた複数のカーブは鳥野屋潟に飛来する白鳥を彷彿させる

新潟MAP

自然に溶け込む見事な景観
 鳥屋野潟は,50万都市である新潟市の中心部から僅か4kmのところにありながら,自然が多く残る貴重な潟である。その大きさは約180ha。冬期には白鳥をはじめとする多くの渡り鳥が飛来する。
 鳥屋野潟に隣接するビッグスワンの名前は,当地に飛来する白鳥をイメージして付けられた。スタジアムは,県民のレクリエーション・スポーツの拠点として整備された「新潟県スポーツ公園」の中心に位置しており,自然豊かな鳥屋野潟や周辺の景観との調和を図って建設された。

1mの積雪にも十分耐えられる井桁状の屋根
 スタジアムの屋根は,単に雨を避けるだけではなく,選手と観客を一体とさせ,劇場空間を生み出す役割も果たす。ビッグスワンでは,W杯の規定3分の2以上をはるかに上回る90%の客席が屋根で覆われている。
 ここで採用されたのが,「ダブルクロスアーチ+テンションリング構造」。他のスタジアムでは見られない全く新しい屋根架構形式だ。この架構は,井桁状に組まれた4本の鉄骨アーチ「ダブルクロスアーチ」と,スタンド全周800mを走る鉄骨の構造体「テンションリング」によって構成されており,日本海の湿気を多く含んだ1mの積雪にも十分耐えられるように設計されている。二つの架構は,結合され一体となることで,より強固な安定性を発揮する。
 ダブルクロスアーチの施工では,フィールド内の製作ヤードで鉄骨のアーチ組立てを行った。そして最大141tにも及ぶアーチをクレーンで順番に吊り上げ,上空でつなぎ合わせていった。その際,ダブルクロスアーチをカーブさせるために斜め吊りすることができる,「ツッターニ」という当社が開発した装置を用いた。

Pca化により合理化施工を実現
 ビッグスワンでは,スタンド躯体のPca化を積極的に進め,品質・コスト・工期・安全・環境という施工における五大要素を全て満足させた。スタジアムのデザインの特徴である「すりばち状」のスタンド外周は,約30度の勾配を持っており,躯体を支える柱なども含め全てPca化することに成功した。
 そしてPcaの製作は,現場に隣接したスタジアムの駐車場用地の製作ヤードで行い,高品質・高規格のコンクリート製のPcaを計画的に製作していった。また,この施工法の検討においては,当社が開発した3次元CADシステムを有効に活用した。

断面図
断面図

ダブルクロスアーチ
ダブルクロスアーチは,緩やかにカーブしており,屋根全体が丸みを帯びている。スタンド最上部には,テンションリングが設置され,円を描きながら外周を走っている。そしてサブビームが両者の間を結ぶ

斜め吊りが可能な「ツッターニ」 空中で鉄骨部材をつないでダブルクロスアーチを施工
斜め吊りが可能な「ツッターニ」で部材を吊った   空中で鉄骨部材をつないでダブルクロスアーチを施工した

スタンドの躯体のPca化
スタンドの躯体のPca化(上)

3階コンコースからの眺め(右)
3階コンコースからの眺め

屋根架構概要図
屋根架構概要図

工事概要
場所:新潟県新潟市
発注者:新潟県
設計:日建設計
建築面積:38,426m2
延べ床面積:88,295m2
収容人数:42,300人
工期:1997年11月〜2001年2月(北陸支店JV,他JV施工)



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W杯の試合方式
 第一ステージとして,世界の大陸予選を勝ち抜いてきた32チームが,4チームずつ計8組(A組〜H組)に分かれて第1次ラウンド(予選リーグ)を争う。90分の試合の中で勝利した場合が「3点」,敗れた場合が「0点」,引き分けた場合「1点」の勝ち点が,両チームにそれぞれ与えられ,順位は勝ち点の他,得失点差,総得点を合算して決定される。
 第2次ラウンド(決勝トーナメント)に進出できるのは各組2位までの計16チーム。決勝トーナメントでは,90分の試合時間で決まらない場合,ゴールデンゴール(Vゴール)方式の延長戦へと進むことになる。そして,前半,後半の各15分でも決着がつかなければPK戦で勝者を決める。



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