特集:いよいよ始まるW杯サッカー

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埼玉スタジアム2002

試合日程
イングランドvsスウェーデン 6月02日(日)14:30
日本vsベルギー   6月04日(火)18:00
カメルーンvsサウジアラビア   6月06日(木)18:00
決勝トーナメント
準決勝   6月26日(水)20:30
埼玉スタジアム2002
高速・東北自動車道の浦和インターの近くに位置し,埼玉高速鉄道の浦和美園駅も開業した

埼玉MAP

アジア最大級のサッカー専用スタジアム
 日本代表戦の初戦となる埼玉スタジアム2002。6月26日の準決勝の他,予選リーグ3試合が開催される重要なスタジアムだ。決勝戦が開かれる約70,000人を収容する横浜国際総合競技場と比べ一回り小さいが,サッカー専用スタジアムとしては,アジア最大級の63,700人を収容する。W杯で決勝・準決勝を開催できる60,000人以上の規定をを十分満たす規模である。
 このスタジアムの最大の特徴は,陸上用トラックがないため,観客とピッチの距離が非常に近く,プレーが間近で観戦でき,選手と観客が一体になれることにある。一般の総合競技場では,メインスタンドの中央最前列からタッチラインまでの距離は35m程あるが,埼玉スタジアムでは14mしかない。しかし,スタンドとフィールドの間は,幅2.5m,深さ3mの堀(W杯の規定に準拠)が設けられており,ピッチと観客席との分離も所期の規定を満たしている。

実証実験でピッチ照明を決定
 埼玉スタジアムのピッチ照明は,サッカースタジアムに最も適した仕様となっている。選手のプレーのし易さを考慮することは勿論,観客やテレビ放映まで考えて光源の選定を行った。FIFAの基準では,テレビ放映などを考慮して明るさを示す照度は1,500ルクス以上。自然色との関係を示す演色性についても詳細な規定を設けている。
 これに対し,埼玉スタジアムでは,屋根の先端部に高演色性メタルハライドランプなどを356灯設置し,ピッチ水平面照度は2,000ルクス,ハイビジョンにも十分対応可能だ。この選定には,発注者である埼玉県をはじめとしてメーカーなどとのワーキンググループによる徹底した実証実験を行い,また演色性といった感覚的判断が重要となる評価要素については,Jリーグ関係者,テレビ局関係者,カメラマンなどのアンケートによる調査なども行った。

超一流のプレーを支えるピッチの秘密
 ピッチはプレーをするのに何よりも重要な要素である。サッカーの激しい使用にさらされる天然の芝を常に最高のコンディションにしておかなければならない。埼玉スタジアムでは,スタジアムの建設途中から現場近くにテスト用のピッチを設けて,芝の種類や混合比率,密度,発育など,現地の気象状況にあった芝種を研究してきた。地元Jリーグのチームにも協力を依頼し,実際の使用に耐えられるかの検証も行った。その結果,寒地型のケンタッキーブルーグラス,ペレニアルライグラス,トールフェスクの3品種を混合して使用することが決定された。
 さらに,メイン・バックスタンドいっぱいに架かる大屋根は,ピッチに大きく影を落とし,ピッチ際まで迫ったスタンドは芝の生育に不可欠な風を遮る。年間を通じて芝の育成に最適な環境を確保するため,当社が開発した土壌温度コントロールシステムが導入された。ピッチの地中には直径20mmの管が40kmにもわたり張り巡らされ,冷温水が流れる仕組みとなっている。破裂を避けるためつなぎ目のない管には,1分間に40tの水が循環する。ピッチのいたるところにセンサーが埋め込まれ,芝の生育に最適な土壌温度を常に保つようコンピュータで制御されている。

浦和レッズの選手を招いての調査 土壌温度コントロールシステムの管の設置
地元Jリーグ・浦和レッズの選手を招いての調査。小野選手(当時)も参加した(中央)   延長40kmに及ぶ土壌温度コントロールシステムの管の設置

天然芝
土壌温度コントロールシステム 青々とした天然芝が生い茂るピッチ下には,芝の育成に最適な土壌温度をコンピュータにより制御する土壌温度コントロールシステムが設置されている。フィールド脇の堀からは,システムの一部を見ることができる

2,000ルクスの明るい照明
2,000ルクスの明るい照明は,自然な色を再現し,ハイビジョン放送にも対応する

工事概要
場所:埼玉県さいたま市
発注者:埼玉県
設計:梓設計
建築面積:53,078m2
延べ床面積:102,700m2
収容人数:63,700人
工期:1998年3月〜2001年7月(関東支店施工)



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