特集:21世紀の社会資本整備

Chapter3 「都市再生」を促す社会資本


都市部への集中的・効率的投入
 日本経済の牽引役として重要な役割を果たしてきた都市−。その都市も,慢性的な交通渋滞や下水処理施設の老朽化など,様々な問題を抱えている。都市の魅力と活力を高める「都市再生」を進める上でも,社会資本の整備と運用は極めて重要だ。
 しかし,都市部での整備事業は,多くの問題に直面する。計画段階から事業用地が不足し,建設の際には,騒音,振動,第三者災害,二次渋滞などの対策を講ずる必要がある。そのため,新規の事業では,道路や公園など公共施設の直下に建設することが多い。
 地上からの開削工事がほとんどないシールド工法は,今日,鉄道や道路,下水道などの建設に広く普及している。最近ではシールド技術も,長距離・高速施工・大断面・大深度の段階に発達し,当社においても様々な工法を開発している。
 2001年4月には,大深度地下利用法が施行され,地下40m以深の公的な利用が可能となった。当社では,大深度での既存の高速道路を活用した交通ネットワーク構想を打ち出し,21世紀の都市像を描いた。今後,都市部での地下利用の高度化が進むことで,人々の暮らしは一層豊かなものとなろう。


CASE6

1.昇降装置・側径間桁組立て  大都市圏では,慢性的な交通渋滞箇所が多くある。この原因となる道路交差点部および踏切を短期間に立体化するのがSEB工法である。工事では橋脚を施工する下部工事と,橋脚に桁を渡す上部工事を同時に行い,地盤の悪い場所でも基礎工事を含めて4ヵ月間で可能。施工中の交通規制が最小限で済み,特に交差路線の通行止めがほとんど不要である。


2.基礎構築・中央径間桁組立て 3.中央径間桁引出し架設 4.完成


CASE7

 オクトパス工法は,当社の高度なシールド技術が多数投入された画期的な技術。複数の子機を内蔵した親シールド機が掘進しながら拡幅し,所定の位置で分岐することで,従来のシールドマシンでは施工が難しかった,地下道路のランプ部や地下道路のインターチェンジ,地下鉄の駅舎部と本線部の連続施工を可能とする。 オクトパス工法の概念図


シールドマシーンの構成




|Chapter0 これからの社会資本整備
|Chapter1 民間の力を活用した社会資本整備
|Chapter2 次代に使い継ぐ社会資本
|Chapter3 「都市再生」を促す社会資本
|Chapter4 環境と共生する社会資本