特集:「現場の知恵」のポテンシャル

Creativity -3 ガラを外に出さない
建材のリサイクル
 さらに本現場は「ガラ」を一切出さないという前例のない取組みを行っている。「ガラ」とは,解体工事などで発生したコンクリートの破片,つまり建設廃棄物である。これらはすべて現場外へ運搬され,処分場にて破砕処理され,再生砕石などにされるのが一般的だった。
 しかし近年,建材のリサイクルを推進する動きが活発化している。リサイクルの対象となるのは,主に電線や石膏ボード,グラスウールなど人の手で扱えるものが多く,各現場で積極的な取組みが行われている。
 一方で,建物の躯体に使われていた大きなコンクリートガラは,特定資材としてリサイクルが義務づけられているものの,現場内における破砕処理には多大な手間がかかることから,現場内でのリサイクルはされにくかった。

次のチャレンジを生む風土
 そこで本現場では,小さな素材類だけでなく,コンクリートガラなどでも徹底的にリサイクルを図った。
 リサイクルの対象になったのは,現場敷地内にあった芝ボーリング場(2001年閉鎖)のガラである。躯体を成していた約12,000m3のコンクリートガラを現場内ですべて破砕処理し,砕石として仮設道路・スロープ路盤材などに再利用した。この結果,CO2の削減にも寄与し,費用対効果も上がった。
 こうした取組みは「当初の計画にはなく,現場内から発想されたもの」と楢崎さんは語る。無駄を徹底的に省くという精神が所員に根づいて生まれたアイディアだ。新たなチャレンジを生む風土が現場内にできていた。
解体工事で出たコンクリートガラの破砕状況
破砕されたコンクリートガラ。本現場では,コンクリートガラの破砕をすべて現場内で行った コンクリートガラの砕石は仮設道路・スロープの路盤材として再利用された。写真はその施工状況



Creativity -1 土を捨てない
Creativity -2 地下水を戻す
Creativity -3 ガラを外に出さない
Creativity -4 再資源の活用
Interview   知恵を発揮させる現場風土づくり