特集:「現場の知恵」のポテンシャル![]() |
Interview 知恵を発揮させる現場風土づくり |
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本現場では,環境アセスメントという制約がありながら,ゼロエミッションというさらに高い目標を設定した。当工事で削減したCO2は1万1,400t-CO2以上にのぼり,これを森林面積に換算すると約1,700ha(皇居の約15倍の面積)の森林が吸収するCO2量に相当する。 本現場を統括する氷見惠二所長は,こうした成果を上げられた背景には,施工者だけでなく,関係者が一丸となって取組んだことが大きいと語る。 工事が終了してよい公園ができても施工中に環境を破壊しては意味がないですから,「環境との調和」という大前提のために,施主や設計者にもチームに加わっていただき,一つひとつ解決していきました。例えば,高炉スラグの再利用は施主のご理解がなければ実現しませんでしたし,メーカーにも協力してもらい供給体制をつくってもらいました。 3R やCO2 削減を実践するにしても,これまでは「手間も,お金も,時間もかかるから・・・・・・」と言って悪い面だけを見ていました。しかし,この現場ではいい面を積極的に採り入れて,環境を考えながら作業することは,お金がかかることではないということを実証したかったのです。 新しい試みを行うためには支店や技術研究所へも積極的に働きかけ,試行錯誤しながら実現への方法を探っていきました。 ここは規模が大きいこともあり,特殊な状況かもしれませんが,他の現場ではできない試みをたくさん行ってきましたので,そのうちの一つでもこれから水平展開できればいいと思っています。 そして,このような現場の取組みの根幹を成していたのが,現場内で「考える」風土だったという。 解体工事をしながら施工計画を練るという状況もあり,当初から皆がいろいろなことを考えようとする雰囲気はありました。新しいことをやろうとすると,それまで採用されなかった理由がわかってくるものですが,それを一つひとつ検証していくことができました。もちろん,手間はかかりますが,それを面倒くさがることなく,お互いのアイディアに興味をもって,実現に向けた知恵を絞ってくれていました。 風土というのは自然発生的にできることが多いですから,所長はまずムードづくりをしてあげることですね。 現場にとって大事なのは,環境だけとか,コストだけとかでなく「ひとつの尺度で考えない」ということではないでしょうか。一つの基準だけに目を向けるのではなく,色々な価値観で判断してチーム全体で挑戦していけばいいのではないかと思います。 そういう意味では,この現場はいいメンバーに恵まれました。興味をもってやることがチーム全体のエネルギーになっていましたから。 環境配慮やコストダウンを喫緊の課題としながらも,ものづくりという建設業本来の業態における着地点を目指し,現場では総合的な知恵が結集されているのである。 本現場では,環境に関する一連の活動が評価され,本年度のリデュース・リユース・リサイクル推進協議会の会長賞を受賞した。 |
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