特集:エコサイト――CO2削減施工の最前線

ECOsite 5 省燃費化 油圧ショベル省燃費運転講習(首都圏中央連絡自動車道小中工事,新治工事,真名工事)

建設現場で油圧ショベルやブルドーザなどの重機が消費する軽油量は,現場内軽油使用量の約40%(工事全体の約30%)を占める。
CO2削減のために従来,トラック・ダンプで推進してきた省燃費運転を,重機にも展開していくことが重要とされている。
建設機械メーカーによると,省燃費運転の“秘訣”は「重機の力を最大限に引き出す
操作の習熟」にあるという。

【工事概要】
場所:千葉県山武郡大網白里町〜長生郡長南町/ 発注者:東日本高速道路/規模:総延長12,690m (小中工事4,971m,新治工事4,153m,真名工事3,566m)/工期:2008年9月〜2011年6月/ 東京土木支店施工

省エネ運転の効果を実感

実技指導の様子。オペレータは効果的な操作を繰り返し確認していた

現在進行中の首都圏中央連絡自動車道工事で,当社は房総半島の3工事(小中,新治,真名),総延長約12.7kmを担当している。現場は起伏が多く,掘削土量は200万m3におよぶ。この3現場で今年1月,土工事の環境負荷を低減するねらいから,建設機械メーカーのコマツの指導員を招いて,油圧ショベルのオペレータを対象に省燃費運転の合同講習会を開いた。

講習会では,まず通常の運転で燃料消費量を計測。その後,運転モードをパワー優先のPモードから燃費優先のEモードへ切替えるなど,“ムダ・ムリ・ムラ”をなくす省燃費操作の講習が行われた。再び作業量あたりの燃料消費量を計測し,実運転で講習前後の燃料消費量を比較した結果,走行時と掘削時でともに平均30%の削減効果が得られた。

室内の講習会では,講師の話にオペレータは熱心に聞き入っていた

力を発揮できる角度とコツ

コマツの指導員によると,「重機の性能がアップして,Eモードでも通常操作に十分な動力が出せるようになった。機械の能力を最大限に引き出す操作に慣れれば,CO2排出量は飛躍的に改善されます」という。
  たとえば掘削のとき,アームの角度が90度になるように土をかき入れると, 最も有効にエネルギーを伝えることができ,Eモードでもパワー不足を感じることはない。さらに積込みの動作から掘削態勢に戻るときは,車体の旋回とアームの引揚げを同時に行う複合操作によりエネルギー効率が上がるという。
  指導員が同乗した実技指導で,オペレータは操作のタイミングやコツを実際に体験。終了後には「これまで無駄な運転をしていたのがよくわかった」「早速実務に生かしたい」といった感想が寄せられた。
  最近はこうした講習会のニーズが増え,建設現場の環境意識が高まっている。電気と軽油を併用したハイブリッド建機も各地で導入されはじめ,当社の旧本社跡地で工事が進む建築の現場でも,CO2を30%削減するツインドライブコンクリートポンプ車が導入予定だ。当社は現在国内約1,800ヵ所で建設工事を担当しているが,エコサイト活動の一環として,各現場で重機メーカーや協力会社との連携により省燃費運転や省エネルギー機械の普及に取り組む方針だ。

指導員が同乗しての実技指導では重機の特性を生かす動きがポイントとなった。1回の掘削でできるだけ大量の土をかき入れ,掘削の数を減らすなど,最大のエネルギー効率を発揮する操作が重点的に指導された