特集:台湾の鹿島 ―現場リポート2006秋―

高雄地下鉄
台湾南西部に位置する高雄は,屈指の大工業地帯であり,世界有数の港湾都市でもある。
現在市内を中心に,地下鉄の建設が急ピッチで進められている。
市内の南北を縦断するレッドラインと,東西を横断するオレンジラインの2路線を2007年度中に開業させる計画である。
高雄市内中心部の交差点で地下鉄工事が進む
CR4新築工事
―世界最大規模の円形連壁を構築―
所長 鈴木義丈

所長 鈴木義丈 高雄地下鉄工事はBOT(Build Operate Transfer)方式で実施され,事業主体である高雄捷運公司が建設と運営を行う民間事業ですが,中央政府,高雄市政府も多くの工事資金を負担しており,非常に公共性の高い工事でもあります。
 当社は,台湾大手の建設会社で高雄捷運公司の一株主でもある栄民工程とJVを組んで本工事を進めています。
 当社JVが担当しているCR4工区は,レッドラインとオレンジラインが交差するターミナル駅・美麗島駅の建設のほか,この駅から南北,東西へ伸びるレッドライン,オレンジラインの路線の一部を開削工法とシールド工法で建設するという,全工区中最大規模の工区です。既に開削トンネル,シールドトンネルの建設と駅部の掘削を完了し,現在は駅舎躯体工事,設備工事などを行っています。
 当初設計では,レッドラインとオレンジラインが交差する美麗島駅は複雑な多角形で,切梁支保工を用いて施工する方法により駅舎躯体を構築する計画でした。しかし地上部は幹線道路である中山路と中正路が交わる交差点であり,交通導線や施工方法などで大きな問題があることが分かりました。そこで交差点の形状を利用して内径140mという世界最大規模の円形連壁を築き,無支保空間をつくって駅舎躯体を効率的に構築する施工法を提案し,これが採用されたのです。大規模円形連壁工法は,LNG地下タンク工事等で実績のある工法ですが,内径140m,連壁長60mという大口径,大深度の円形連壁工法が大都市の交差点で採用されたのは世界でも初めてのことです。
【工事概要】
場所:高雄市新興区/発注者:高雄捷運/設計:中興工程顧問公司/規模:駅舎1ヵ所,開削トンネル―総延長943m/ シールドトンネル―内径5.6m,総延長1,690m/工期:2002年2月〜2007年9月/施工:栄民工程・日商鹿島JV
交差点完成予想パース。地下鉄出入口は「ヨットの帆」などをイメージしたガラス張りのデザイン
交差点地下では駅舎の躯体工事が行われている
美麗島駅から延びるシールドトンネル 高雄地下鉄路線図
美麗島駅部の完成予想イメージ


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