―世界最大規模の円形連壁を構築―
所長 鈴木義丈 高雄地下鉄工事はBOT(Build
Operate Transfer)方式で実施され,事業主体である高雄捷運公司が建設と運営を行う民間事業ですが,中央政府,高雄市政府も多くの工事資金を負担しており,非常に公共性の高い工事でもあります。
当社は,台湾大手の建設会社で高雄捷運公司の一株主でもある栄民工程とJVを組んで本工事を進めています。
当社JVが担当しているCR4工区は,レッドラインとオレンジラインが交差するターミナル駅・美麗島駅の建設のほか,この駅から南北,東西へ伸びるレッドライン,オレンジラインの路線の一部を開削工法とシールド工法で建設するという,全工区中最大規模の工区です。既に開削トンネル,シールドトンネルの建設と駅部の掘削を完了し,現在は駅舎躯体工事,設備工事などを行っています。
当初設計では,レッドラインとオレンジラインが交差する美麗島駅は複雑な多角形で,切梁支保工を用いて施工する方法により駅舎躯体を構築する計画でした。しかし地上部は幹線道路である中山路と中正路が交わる交差点であり,交通導線や施工方法などで大きな問題があることが分かりました。そこで交差点の形状を利用して内径140mという世界最大規模の円形連壁を築き,無支保空間をつくって駅舎躯体を効率的に構築する施工法を提案し,これが採用されたのです。大規模円形連壁工法は,LNG地下タンク工事等で実績のある工法ですが,内径140m,連壁長60mという大口径,大深度の円形連壁工法が大都市の交差点で採用されたのは世界でも初めてのことです。 |