特集:台湾の鹿島 ―現場リポート2006秋―![]() |
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台北は歴史的な街路が残る一方で,ファッショナブルなビルが建ち並び,新旧混在の街並みが形成されている。 近年では,地震に配慮した建物が増えつつある。 |
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宏盛帝寶マンション新築工事 |
―1戸7億円超!台湾一の高級マンション― 所長 藤田 聰 ![]() 建物は18階,23階,28階の高層住宅が左右対称に2棟ずつ。計6棟が低層の倶楽部棟を囲むかたちで建っています。中国伝統の風水を採り入れ,この地に名声と富,人徳が集まるよう中国歴代皇帝の玉座をイメージした配置になっています。 台湾中部では,1999年にマグニチュード7.6,台湾史上最大の「台湾大地震」が発生しました。台北市でもビルが倒壊し,多数の死傷者が出ました。その教訓から,耐震性能を一層強化した建物が建てられるようになりました。このマンションにも,各棟の柱や梁に制震装置が合計608基設置されています。 外壁は石材,床は大理石を用いた豪華な仕様。全棟が1フロア1戸で,1戸あたりの床面積は約500〜800m2。購入者にはスケルトンのまま引き渡され,各自が趣向にあったスタイルの内装工事を行います。販売坪単価が約350万円ですので,内装工事を含めると1戸あたり7億〜10億円にはなるでしょう。 |
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【工事概要】 場所:台北市大安区/発注者:宏盛建設/企画設計:三大建築師事務所/外観設計:丹下都市建築設計/構造監修:織本匠構造設計研究所/規模:S造(CFT構造)一部SRC造(地下) 住宅棟−28F(2棟),23F(2棟),18F(2棟) 184戸/倶楽部棟−3F/駐車場−B4 総延べ132,539m2/工期:2001年1月〜2005年12月/施工:中鹿営造・助群営造JV |
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華新麗華・華新信義ビル新築工事 |
―耐震性能を強化させた事務所ビル― 総合所長 大橋 守 所長 張 瑞杰 ![]() 建物は地下5階,地上27階建て。工事は今月から鉄骨建方に着手しており,地下では1階の躯体を構築しています。完成後には電気ケーブルメーカーの最大手である華新麗華の本社機能の移転が決まっています。 建物は「TAIPEI101」と同等クラスの耐震性能を持たせた構造です。鉄骨,鉄筋量が通常の事務所ビルよりも多く用いられる一方で,最大11.5mのスパンをとっています。完成は2008年12月の予定です。 |
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【工事概要】 場所:台北市信義区/発注者:華新麗華 設計:武林建築師事務所/用途:事務所,商業施設 規模:S造一部SRC・RC造,B5,27F,PH3F 延べ77,789m2/工期:2006年5月〜2008年12月 施工:中鹿営造/ | ![]() | ![]() |
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中鹿営造で働く社員の大半は台湾籍の人たち。現場や管理部門で中枢の業務を任され,社業に励んでいる。第一線で活躍する三人を取材した。 聯裕新生南路住宅新築工事の謝慶生所長は入社20年余。現場で技術やマネジメントを学んだ。「当社は品質管理をしっかり行っている。JV構成会社や協力会社が見本にしており,我々が業界をリードしなければならない」と,現場で覚えた流暢な日本語で話してくれた。 華新麗華・華新信義ビル新築工事の張瑞杰所長。入社して既に19年になる。入社後は事務所ビルやマンションなどの現場で施工管理を学び,Q(品質),C(コスト),D(工期),S(安全),E(環境)の全てを統括する所長になった。「工事では設計図に反映されていない部分も見なければならない。品質を確保しながら詳細をつめコストを削減する。工期内にこれらをまとめて完成させるのが腕の見せ所」と張所長はいう。 次頁で紹介する国瑞汽車観音工場第III期新築工事の曾文卿所長もその一人。「現場は工事を行うだけでなく,施主との関係をより良いものとする貴重な場でもある。24時間体制のサービスで誠意を見せることも重要」と語る。 これからの目標は何ですか――と,三人に聞くと,「中鹿営造では工事の大小に拘らず高品質が求められる工事ばかりで,最新の施工法や技術などを経験できる。エンジニアとしてもっと経験を積みたい」と張所長。謝所長と曾所長は「会社の業績が良くなれば,働く社員も豊かになる。後輩にはそれを伝え,社員教育に力を注ぎたい」と述べた。 三人の更なる活躍を願うとともに,彼らに続く多くの台湾籍の鹿島マンたちにエールを送りたい。 |
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