歩留り向上技術
分子汚染対策技術
ひとたび稼働を始めたクリーンルームにおいて、
後から分子汚染対策を行なうことは非常に困難
設計段階から問題点を的確に把握し、対策を徹底
- 分子汚染対策3原則を徹底
- 当社技術研究所内の超高清浄クリーンルームにて各種実験・評価・開発を推進
- 豊富な知見をデータベース化し、設計施工物件へフィードバック
■ コンセプト
鹿島は、分子状汚染を下記のコンセプトに従ってコントロールいたします。

出さない
内部発生を徹底的に抑制する
>> 低アウトガス材料の採用
持ち込まない
外気からの分子汚染を取り除く
>> エアワッシャ、ケミカルフィルタの採用
排除する
内部発生したものは除去する
>> 十分な枯らし運転を行う
>> 対象物質にあわせたケミカルフィルタの採用
分子汚染対策の概念図
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■ 空気質ラボ(超高清浄クリーンルーム)測定評価に使用
当社技術研究所内に超高清浄クリーンルーム実験室を構築しました。アウトガスは、無機イオン・有機物ともに極めて0(ゼロ)に近い空気質を実現。様々なアウトガス評価・実験を行う上で、バックグラウンドゼロの空間として活用しています。

■ ミニチュア・クリーン・チャンバを用いた評価
アウトガスが極めて少ない材料を用い、クリーンルームの縮小モデルを作成しました。本施設内に、床・天井・壁などの建材や、フィルタ、ケーブルなどの設備材料を設置することで、計画段階から実際のクリーンルームに近い環境で、アウトガスの評価・予測を行うことが可能になりました。また、材料を任意に交換することで、室内濃度への影響を評価しながら、各種材料の比較を行うことができます。既に本施設を利用した評価実験を行い、実際の建設計画に展開しています。

■ 現場で直接結果が分かる VOC迅速評価手法(特許公開中)
揮発性有機化合物(VOC)測定は、従来法では現場でサンプリングし、それをラボに持ち帰ってから分析を行うという手間のかかるもので、その後の対応策の効果判定にも時間を要するなどの問題点がありました。また、現場で測定可能なVOC迅速評価手法は、装置の感度が悪く室内環境レベルの濃度を測定することは困難でした。これらの問題を解決するため、改良型ガスクロマトグラフを用いた迅速かつ無人で連続測定および結果判定が可能な、新しいVOC評価手法を開発しました。本手法の特徴は下記の通りです。
- 可搬化を実現
- 数μg/m3~数十μg/m3の高感度の測定
- 繰り返し自動サンプリング-分析
- 経時的な濃度変動の把握
- 現地での濃度提示が可能


■ 超高感度型アンモニア簡易測定キット
従来、アンモニアの測定はサンプリングに12~24時間、分析に数日を要し、専門性の高い化学知識が必要でした。本キットは低コスト、短時間、専門知識不要で精密法と同等の結果を得ることが可能です。

■ クリーンルーム用低アウトガスシーリング材「ペンギンクリーンシール2555」
総有機物、中でも半導体等のクリーンルームで製造障害を引き起こすシロキサン類を大幅に低減したシーリング材を開発しました(2004年)。しかも、表面の粘着性が少なく、接着性・施工性も良く、低価格、環境配慮型容器の採用などの特長を持っています。

■ 簡易増設型ケミカルフィルタ『OAレスキュー』
建設工事の際に発生する分子汚染物質(有機ガス、NOx・SOx等の無機物質)がクリーンルーム内に入り込むことを防止するために、既設の外調機(外気を処理する空調機)に、簡易に低コストで取り付けられるフィルターを開発しました(2006年)。特長は以下の通りです。
- 既設の外調機に設置するだけで
外気からの分子汚染物質の除去が可能 - ほとんどのクリーンルームに、
しかも稼動中に設置可能 - 従来の常設ケミカルフィルタに比べ、
半額程度にコスト低減が可能 - 建設工事上の制約がなくなるため、
短工期化が可能 - 中性能フィルタとしての性能も保有

■ クリーンルーム内での溶接、斫り、アンカー打ち
クリーンルームの居ながらリニューアル工事の場合、 「溶接」・「斫り」・「アンカー打ち」などが発生する場合があります。
基本的には稼動中のクリーンルーム内ではそれらの作業は不可能ですが、諸事情からやむを得ない場合は仮囲いを作り、その中で作業を行う方法が採られます。
仮囲いの中で発生するパーティクルや分子汚染物質が稼働中のクリーンルームに及ぼす影響について測定することは通常では出来ませんが、当社のクリーンルームを使い検証を行いました。
万が一の場合も、これらの測定値を基に稼働中のクリーンルームへの影響を最小限に留めます。
クリーンルーム内での斫り、アンカー内作業
クリーンルーム内での溶接作業