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プレスリリース

[2014/01/30]

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コンクリート構造物の表層品質評価手法の現場適用

~東京外環自動車道国分工事~

 鹿島(社長:中村満義)は、コンクリート表層部の「見栄え」に着目し、「美しいコンクリートは品質と耐久性の高いコンクリートである」という考え方のもと、コンクリート構造物の表層品質評価手法(※)を開発、その評価結果に基づく品質向上に向けた取り組みを推進しています。
 この評価手法を、東日本高速道路株式会社(関東支社)発注の東京外環自動車道国分工事におけるPDCAサイクルに適用し、さらに表層品質に影響する施工要因を追跡して改善・工夫を施すことにより、コンクリート構造物の更なる品質向上を目指した施工を進めています。

東京外環自動車道国分工事

 東京外かく環状道路(通称:「外環」)は、都心から半径約15kmのエリアを結ぶ延長約85kmの幹線道路で、3環状9放射ネットワークの一部です。このうち埼玉県三郷市から千葉県市川市高谷に至る延長約16kmの区間は、この地域の慢性的な渋滞を緩和する中心的な道路としての役割が期待されています。
 本工事は、当区間のうち市川市堀之内から同市国分に至る延長約1.8kmにおいて、開削工法で地盤を掘削し、コンクリート構造物(ボックスカルバート)を構築して、高速道路を建設するものです。

東京外環自動車道国分工事のボックスカルバート

東京外環自動車道国分工事のボックスカルバート

表層品質評価手法をPDCAサイクルに適用

 本工事は、同じ形状のコンクリート構造物を長期間にわたって連続的に構築する工事です。このような工事では、構造物の品質を維持・向上させるため、コンクリートの打設ごとにPDCAサイクルを回しながら施工法の改善を図ります。しかしながら、これまでPDCAのうち「C:Check」、すなわち品質と耐久性の評価手法が確立されておらず、PDCAサイクルを効果的に回すことができていませんでした。
 そこで鹿島は本工事において、目視調査に基づく表層品質評価手法をこの「C:Check」に適用し、さらに表層品質に影響する施工要因を追跡して、その施工法に的確な改善・工夫を施すことにより、コンクリート構造物の品質向上に取り組むこととしました。

表層品質向上に関するPDCAサイクル

表層品質向上に関するPDCAサイクル

東京外環自動車道国分工事での適用手順

 本工事では、「Check 表層品質評価」から、「Action 施工法の改善・工夫」までを独自に検討し、以下の手順によって構造物の品質向上を目指しています。

  1. 施工時の状況を、コンクリートの性状、運搬、打込み、環境に分類し、さらにそれらをスランプや運搬時間といった小項目に細分化し、施工要因としてそのデータを記録する。なお、本工事では専用のコンクリートバッチャープラントを設置・運用しているため、コンクリート材料に関するほぼ全てのデータを取得・蓄積し、分析することが可能。
  2. 打込んだコンクリート構造物の表層品質を7項目(表面の色つや、沈みひび割れ、表面気泡、プラスチック収縮ひび割れ、砂すじ、のろ漏れ、打重ね線)に分類し、目視調査によってそれぞれ5段階(最優、優、良、可、不適合)で評価する。(表層品質評価手法) また豆板についてはその有無で合否を判定する。
  3. 表層品質評価で合格範囲にあるものについて、目視調査の結果を順次取得し、評価が高い、低い、評価の推移が向上傾向にある、または低下傾向にあるなどの分析を行い、施工要因と表層品質評価結果を比較して、表層品質に何が影響を及ぼしているのか、施工要因を追跡する。
  4. 施工法に的確な改善・工夫を施し、表層品質をさらに向上させる。

Check(表層品質評価)からAction(施工法の改善・工夫)までの流れ

Check(表層品質評価)からAction(施工法の改善・工夫)までの流れ

施工法の改善事例

 コンクリート材料、コンクリート性状、運搬、打込み、締固め、環境などの、施工要因に関する膨大なデータを用いて多変量の分析を重ねた結果、表層品質7項目に影響を及ぼしている施工要因を把握することができました。例えば、表面の色つやには、コンクリート温度、打設速度、打込みに要した時間(運搬時間、打設時間を含む)、施工時の外気温、剥離剤が大きな影響を及ぼすことが分かり、さらに、各施工要因の影響度合いも評価できました。これらの結果を施工法にフィードバックし、改善・工夫を施し最適化することで、表層品質を向上させることができます。
 実際に、表面の色つやに影響する施工要因の一つである、剥離剤の塗布方法を従来の方法から変更したところ、写真のように色むらが改善され、表層品質を向上させることができました。

剥離剤塗布方法の変更による改善

今後の展開

 本工事においては、莫大な量の施工時の情報と目視調査の結果が蓄積できています。これらの情報から、目視調査による表層品質の簡易かつ定量的な評価と、その結果に対する施工要因の影響度、さらには施工法の的確な改善・工夫が可能になり、PDCAサイクルの効果的な運用を図っています。
 今後は、本工事において蓄積されたノウハウを他の工事へも水平展開し、コンクリート構造物の更なる品質向上を目指していく方針です。

工事概要

工事名  : 東京外環自動車道国分工事
工期  : 2010年1月~2015年3月(約62ヵ月)
発注者  : 東日本高速道路株式会社 関東支社
施工者  : 鹿島建設株式会社・株式会社大林組
   東京外環自動車道国分工事特定建設工事共同企業体
工事諸元  : 開削工法、掘割式半地下構造、延長1,827m(完成済み区間150mを含む)

コンクリート構造物の表層品質評価手法の開発と品質向上への取組み 別ウィンドウが開きます
(2013年4月23日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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