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プレスリリース

[2017/10/11]

1.0MB

TBMとNATMの優れた機能を兼ね備えた“NATBM掘削機”を開発

黒部川電力新姫川第六発電所建設工事の導水路トンネルに適用

 鹿島(社長:押味至一)は、コマツ(社長:大橋徹二)と共同で、トンネル掘削の代表的な工法である、高速掘進が特長の「TBM」と、地質が複雑な地山に柔軟に対応できる「NATM」それぞれの優れた機能を兼ね備えた、“NATBM(ナトビーエム)掘削機”(特許出願中)を開発しました。
 NATBM掘削機は、硬質な地山を掘削する際はTBMモードで高速掘進し、軟弱な不良地山に遭遇した際にはNATMモードに切り替え、カッターヘッドを開口して内部に装備したバケット式掘削機を前面に出し、地山を掘削した後、支保工を構築しながら安定掘進します。
 このNATBM掘削機は、黒部川電力新姫川第六発電所建設工事(II工区)における、導水路トンネルの施工に適用する予定です。

NATBM掘削機

NATBM掘削機

開発の背景

 硬質な地山で高速掘削が可能なTBMは、1990年代に新東名高速道路や新名神高速道路の先進導坑の構築に数多く用いられていましたが、近年は減少傾向にあります。その理由として、欧米のように均質な地層を掘削する際には安定した高速掘削が可能なものの、日本では地質が複雑で不良地山が介在するため、補助工法の施工により掘削を停止することが多く、TBMの高速掘削のメリットを十分に活かすことができなかったことが挙げられます。
 一方NATMは、TBMに比べて掘削速度は劣りますが、トンネル切羽を直接目視で確認しながら、地山の性状に合せて支保パターン(鋼製支保工・吹付けコンクリート・ロックボルト)を選定することで、不良地山に対し柔軟に対応できる工法です。道路トンネルを中心に多くの施工実績があります。
 そこで鹿島はコマツと共同で、「高速掘進可能なTBMの機能」と「不良地山にも柔軟に対応するNATMの機能」を併せ持つ新たな掘削機の開発に取り組み、さらなる施工の合理化を目指しました。

NATBM掘削機の特長

1. TBMからNATMへの速やかな切り替え

  • 地質の変化に応じて、TBMモードからNATMモードへわずか1.5日で切り替えが可能

TBMからNATMへの速やかな切り替え

2. 用途にあわせたカッターヘッドの段階的な開口

  • 前方探査や軽微な切羽補強時には、カッターヘッド上部を小さく開口
  • NATMモードでは、カッターヘッド中央部を大きく開口

用途にあわせたカッターヘッドの段階的な開口

3. TBMの後退機能

  • TBM本体は伸縮可能なテレスコピック構造のため、マシンが後退でき、NATMモードにおける前方の掘削作業スペースを確保

TBMの後退機能

4. 不良地山はNATMモードで、地山が緩む前に支保工を構築しながら安全、確実に掘進

  • TBMのカッターヘッドの中央を開口し、内部に装備したバケット式掘削機を出して掘削
  • 掘削後、速やかに支保工を構築し、不良地山の緩みや崩壊を防止

バケット掘削機で掘削

バケット掘削機で掘削


掘削後に支保工を構築

掘削後に支保工を構築

NATBM掘削機の特長

Step1TBM掘削



  • 硬質な地山では、TBMモードで高速掘削
  • 従来のTBMと同様に、掘削機の後方で支保工を構築
  • 前方探査により、不良地山の出現を早期に発見

Step2TBM後退開口



  • 前方探査で把握した不良地山に到達
  • マシンを最大3.0m後退させ、前方に掘削スペースを確保
  • カッターヘッドを開口し、NATMモードへ切替え

Step3NATM掘削



  • 掘削機内部に装備した、バケット掘削機を出して掘削
  • 掘削ずりはベルトコンベアで後方に搬出

Step4NATM支保工構築



  • 掘削後、支保工(鋼製支保工・吹付け・ロックボルト)を構築
  • 地山の状況に応じ、鏡吹付け等の補助工法も施工可能

今後の展開

 新姫川第六発電所建設工事(II工区)の地質は、硬質な砂岩や泥岩が主体であるものの、従来のTBMでは掘削が困難な、亀裂の多い粘板岩、過大な変位が懸念される蛇紋岩など、不良地山の出現も事前調査により予測されています。「高速掘進可能なTBMの機能」と、「不良地山に柔軟に対応するNATMの機能」それぞれの特長を併せ持つNATBM掘削機を本工事に用いることで、工期を短縮し、コストを抑え、安全に施工を進めます。

工事概要

工事名  : 新姫川第六発電所新設工事のうち土木工事(II工区)
工事場所  : 新潟県糸魚川市大字山之坊、大字小滝地内
発注者  : 黒部川電力株式会社 (出資会社 北陸電力50%・デンカ50%)
施工者  : 鹿島・佐藤特定建設工事共同企業体
工期  : 2017年7月~2022年10月
工事諸元  : TBMトンネル(φ 4,750mm、L=3,718m)、NATMトンネル(L=219m)、立坑他

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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