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プレスリリース

[2021/03/30]

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進化を続ける鹿島の現場溶接ロボット工法

2つの新工法を開発、大幅な生産性向上と高品質を確保

 鹿島(社長:押味至一)は、グループ連携による現場溶接ロボットの開発・運用体制を確立し、実工事への適用を鋭意進めています。適用実績は既に20件に上り、そこから得られた知見をもとに、現場溶接ロボットをさらに効果的に活用すべく施工方法を進化させ、生産性や品質の向上に取り組んでいます。こうした中、新たな進化を遂げた2つの現場溶接ロボット工法を、当社が首都圏で施工中の現場にそれぞれ適用し、生産性および品質面において良好な結果を確認しました。
 当社は今後も、「鹿島スマート生産」と働き方改革の実現に向け、現場溶接ロボット工法の改善・改良を重ねていくとともに、現場への適用を進め、現場溶接作業の生産性と品質をさらに向上していきます。

新ロボット溶接工法の施工状況(左:梁の上向溶接工法、右:コラム柱の横向溶接工法)

新ロボット溶接工法の施工状況(左:梁の上向溶接工法、右:コラム柱の横向溶接工法)

背景

 当社が推進中の「鹿島スマート生産」では、「作業の半分はロボットと」をコアコンセプトの一つに掲げ、建築現場へのロボット導入を強力に推進しています。このうち現場溶接分野では、2016年に当社グループの鹿島クレス株式会社(東京都港区、社長:戸田猛)に溶接事業部を立ち上げ、現場溶接ロボットのオペレータや溶接管理者の育成と直庸をスタートするなど、グループ連携による現場溶接ロボットの開発・運用体制を確立してきました。その後、20件の現場実適用から得られた様々なノウハウを蓄積、活用することで、生産性と品質のさらなる向上に向け、現場溶接ロボット工法を進化させてきました。

梁端接合部の上向溶接工法の進化

 鹿島スマート生産のパイロット現場となった名古屋伏見Kスクエアの建設工事では、現場溶接ロボットによる梁端下フランジ部の上向溶接工法を初適用しました。これにより、ウェブやボルトなどの支障物のない直線的なロボット溶接が可能となり、また、スカラップ(交差部を溶接するためにあえて設ける切り欠き)も不要となるなど、溶接部の品質と性能が大幅に向上しました。

通常の下向溶接と上向溶接の違い

通常の下向溶接と上向溶接の違い


 一方で、同工法は通常の溶接工法と比べ、耐風性能に多少劣る溶接材料であったこと、溶接作業を行う上階の床はデッキプレート敷のみであったことから風雨の影響は避けられず、天候による品質面への影響および作業環境の悪化が課題でした。
 そこで、事前に十分な構造安全性を検証したうえで、溶接作業を行う上階の床を先行打設して雨による影響を抑えるとともに、より風に強い溶接ワイヤとガスを採用することで品質面を強化する新工法を開発しました。先般、本工法を都内で建設中のオフィスビルにおける梁下フランジ部891箇所に適用した結果、名古屋伏見Kスクエアでの上向溶接工法に対し、溶接効率の約15%向上、ならびに汎用的な溶接材料の選定や溶接パス数低減の効果により溶接コストの約50%低減を実現しました。また、溶接品質においても、不良箇所を大幅に抑えることができ、熟練溶接工でも困難な上向溶接において高品質を確保しました。
 

旧工法(左)と新工法の施工法の違い

旧工法(左)と新工法の施工法の違い

柱接合部の全周溶接工法の進化

 当社は2019年度以降、コラム柱接合部を現場溶接ロボットを使って横向で全周溶接する場合は、溶接オペレータ1名による溶接ロボット2台の運用体制を標準仕様としています。従来工法では、柱の角部4箇所を先行溶接し、柱を仮固定するためのエレクションピースを切断した後に直線部4箇所を後行溶接する必要があり、溶接の継手が8箇所発生することが作業の効率性や品質面での課題となっていました。今回新たに開発した全周溶接工法では、角部と直線部を組み合わせた2組の対角部を先行溶接し、エレクションピース切断後に残りの2組の対角部を後行溶接することで、継手を4箇所に抑えることが可能です。

新旧工法の比較(▲および○が溶接継手箇所)

新旧工法の比較(▲および○が溶接継手箇所)


 先般、本工法を首都圏で建設中のオフィスビルにおけるコラム柱29箇所(溶接長3,554m)の溶接に適用した結果、熟練溶接工による施工と同等レベルの品質を確保しながら、一日あたりの溶接歩掛が従来工法に比べて約60%向上することや不良箇所が約30%低減することを確認しました。

今後の展開

 今後も、鹿島スマート生産と働き方改革の実現に向け、現場溶接ロボット工法のさらなる改善・改良を行いながら実工事への普及・展開を進め、現場溶接の生産性と品質の向上を図っていきます。

(参考)
建築の生産プロセスを変革する 「鹿島スマート生産ビジョン」 を策定 別ウィンドウが開きます
(2018年11月12日プレスリリース)

柱の全周溶接と梁の上向溶接に溶接ロボットを本格適用 別ウィンドウが開きます
(2019年2月13日プレスリリース)

マニピュレータ型現場溶接ロボットを開発、実工事に初適用 別ウィンドウが開きます
(2020年3月25日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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