2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現に向け、
セメント製造時に多量のCO2を排出する建設業において、
カーボンリサイクル技術によるCO2の削減は早急な課題です。

CO2を吸い込むコンクリート
CO2-SUICOM
(シーオーツースイコム)

世界初!CO2排出量ゼロ以下

CO2-SUICOMは、カーボンネガティブ(※1)を実現するコンクリートです。スイコム1m3で18kgのCO2を吸い込むことができますが、これは、20mまで成長した杉の木一本が1年間で吸い込むCO214kgを上回っています。国内では、すでに、この10年間で、東京外環自動車道や舗装ブロック、建築工事(居住マンションバルコニー部)など14件(75m3)での使用実績があり、7,500kgのCO2を吸い込んだことになります。

(※1)排出する温室効果ガスより吸収する温室効果ガスが多い状態のこと

ビニール袋での実験

図版
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場所:東京都中野区
名称:Brillia ist 中野セントラルパーク
適用箇所:天井パネル
竣工年:2012年5月

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場所:広島県福山市
適用箇所:舗装ブロック/境界ブロック
竣工年:2011年12月

CO2を吸い込む仕組み

スイコムは、鹿島技術研究所、中国電力、デンカ、ランデスの四社共同で開発し、2008年より商品化した技術です。製造時に、CO2を多く排出するセメントを他のものに置き換えるという従来技術に加えて、CO2を吸収、固定する特殊混和材であるγ-C2S(ガンマシーツ―エス)を使用することで、コンクリートのCO2排出量ゼロ以下(カーボンネガティブ)を実現しています。セメントは、水と反応することで固まりますが、このガンマシーツーエスは、水ではなく、CO2と反応して硬化するという特徴があります。つまりセメントを固める過程において、CO2を吸い込み固定化することができるのです。

土木学会賞受賞 NEDO(※2)採択

この日本で開発した特殊混和材によりCO2を吸収固定する技術は、世界で初めてCO2排出量ゼロ以下を実現した技術として、土木学会環境賞を受賞するなど、学会でも注目を集めています。
また、NEDO受託研究(※3)として、現場での生コン打設、また、コンクリートの大量打設へと適用範囲を広げることを急務と考え、技術開発を進めています。

(※2)NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)

(※3)NEDO 公募委託事業
「カーボンリサイクル次世代火力発電等技術開発」、「CO2有効性利用拠点における技術開発」に応募
「CO2有効性利用コンクリートの研究開発」について採択

インタビュー:取違 剛 上席研究員

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