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新木造技術

木質空間の魅力

木を使った空間には、手触りのやわらかさ、温かさ、匂い、すぐれた調湿効果、伝わる音のつややかさ・・・本物の木を使うことでしか得られない、ひとの五感に響く魅力があります。鹿島では、木材の利用にあたって、そのメリットを最大限に生かし発揮する、そんな空間づくりを目指しています。必要に応じてコンクリートや鉄と共存させ木材の弱点をカバーすることで長所のみを発揮させる、そんな建築物も可能になります。

木質空間の魅力 イメージ

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地域のシンボルを創る/公共施設・商業施設

2010年に公共建築物等木材使用促進法が施行され、公共建築物の木造化、内装木質化が推進されることとなりました。その具体化のために官庁工事の「木造計画・設計基準」なども新たに制定されました。また、公共建築物の木造化・木質化の民間建築物への波及も期待され、木のまち・木のいえ整備促進事業等の補助金制度も整備されています。公共建築物では地域経済の活性化として木材の地産地消も推進されています。鹿島では木材の魅力が発揮され地域の人に喜ばれる、そうした施設の実現に取り組んでいます。

公共施設
日田市民会館「パトリア日田」木質化

「九州の小京都」大分・日田市には、10万haにのぼる杉林があります。「暴れ川」の異名をとる筑後川を治める水源涵養林で、江戸期・享保年間(1716~36年)の頃に始まった造林は、明治になってさらに活発化。生育した杉は筏に組まれ、下流の木工家具の産地へ下り、日田も箪笥や下駄の産地として発展しました。
その美しい日田杉を内装材として活用したのが、2007年夏に当社施工で、市中心部に竣工した日田市民文化会館「パトリア日田」です。ホール、ギャラリー、スタジオなどにふんだんに地元の材が用いられました。木材の調達、乾燥や伸縮を考慮しての収まり、あるいは柿渋の防腐剤としての利用等、木材の調達・施工にあたっては細心の注意を払いました。

第50回BCS賞

写真:外観北西

外観北西

写真:共通ロビー

共通ロビー

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萩市役所 川上総合事務所(旧川上村役場)木造

緑の山々に囲まれた中にある“林業の村”川上地区のシンボルとなる「水と森の館」。
スギを中心としたヒノキなどの地元材をふんだんに使い、地域の林業・木材産業の振興を図るとともに、この庁舎がモデル施設として各種の公共・民間施設の木造化、木材の利用促進に波及することを目的として建設されました。

平成12年度 優良木造施設林野庁長官賞

写真:隣接の木造小学校と共に伝統的屋並みを形成

隣接の木造小学校と共に伝統的屋並みを形成

写真:丸太柱が林立する玄関ホール

丸太柱が林立する玄関ホール

商業施設
クロステラス盛岡木質化

地元で農林業に関わってきた発注者の意向を受け、地場産材を豊富に使うことをコンセプトに、鹿島の設計施工でつくられたショッピングセンターです。壁や床、天井、階段、手すり,ベンチ,案内板等施設の至るところに木の温もりを醸し出すよう配慮しました。県産の杉や県木である南部赤松のほか、サインボードには施主支給の樹齢約100年の杉も用いています。

平成22年度盛岡市都市景観賞

写真:樹齢100年杉を使用したサインボード

樹齢100年杉を使用したサインボード

写真:外観

外観

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栗田美術館世界陶磁器館(ミュージアムショップ)木造

世界最大級木造大屋根のミュージアムショップ、平瓦で葺かれた大屋根は、大断面集成材のダブルビームで構成され、妻側の力強い小屋組みが、薄明かりに照らしだされて荘厳な空間となっています。

写真:展示室吹抜け

展示室吹抜け

写真:外観

外観

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知的生産性の向上/業務施設・教育施設

知識・情報化社会の進展の中で、知的労働の生産性向上への関心が高まっています。木質内装の快適感は生産性を向上させるとも言われており、業務施設での木質化も進んでいます。教育施設では、木造・木質化が子供の情緒の安定や集中力の向上、健康増進に寄与するといわれています。そのため、地方では再び木造校舎が増え、都市部でも内装の木質化が進められているほか、鹿島では準耐火の木造建築を実現しています。

業務施設
丸美産業本社ビル一部木造

本建物は‘木’の特性を、現代建築における建築技術の粋を集めて具現化した建物です。市街地の多くにおいては、純粋な木造ビルを建てることができませんが(注.耐火集成材では可能になります)、近年木材業界において研究開発が進んでいる鉄骨と木材とを組み合わせた「木質ハイブリッド構造材」を主要構造とすることで、木造耐火建築物として実現されました。

第41回 中部建築賞 一般部門特別賞

写真:外観

外観

写真:役員会議室

役員会議室

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九州・沖縄サミット・カフェテリア一部木造

2000年7月21から23日の3日間行われた沖縄サミットで、報道関係者の食堂棟として使用され、日本らしさを演出するため、集成材の立体格子を架け渡す天井としています。終了後はいくつかのブロックに分けられ公園の東屋の屋根に再利用されました。

写真:内観

内観

写真:外観

外観

教育施設
八雲学園図書館、体育館(リニューアル)一部木造

都区内では戦後稀な、木造混構造の校舎です。学園の図書室は、生徒が学校活動の喧騒から距離を置き、自己を形成していく場であり、学園生活の記憶を重ねていく場でもあります。緑豊かな環境に呼応しつつ、学園の中で最も落ち着き集中できる環境にふさわしいものとして、木造木質空間を選び取りました。木造実現のため、既存建物群と法令上別建物として配置し、準耐火建築物として燃えしろ設計された集成材を用いて構築されました。

写真:図書館内部

図書館内部

写真:外観

外観

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井川町立 井川中学校木造

秋田県の地場産の杉材を全面的に使用した木造校舎。在来工法により、集成材ではなく無垢材が使われています。屋根には、高い断熱性を確保するとともに、施工性にも優れた、断熱材を合板で挟んだDSP(ダブル・S・パネル)を採用しています。トラス状の小屋組みは、ダイナミックな室内環境をつくり出しています。生徒も父母も、みんなが誇りを持てる故郷のシンボルが誕生します。

写真:外観パース

外観パース

写真:地場産の杉の無垢材のトラスが組まれた建設風景

地場産の杉の無垢材のトラスが組まれた建設風景

西武学園文庫幼稚園木造

傾斜地を切り開いた住宅地の幼稚園建替えです。園庭を囲む平屋建ての既存園舎は、背後の森が借景となり園庭から見えるのは空と緑だけでした。その配置の魅力を継承し、子供の生活がすべて園庭に連続する、水平で木質感あふれる空間づくりを目指しました。敷地の高低差を生かし、木の張弦梁が架けられたホールのスロープには本棚が設けられ、読書と遊び、外部内部の視線が交錯する街に開かれた新しい幼稚園の象徴となっています。

第4回キッズデザイン賞フューチャープロダクツ部門優秀賞、第55回 神奈川建築コンクール 一般建築物部門優秀賞

写真:自然光と書棚によって、移動の空間が子どもたちの部屋になる

自然光と書棚によって、移動の空間が子どもたちの部屋になる

写真:外観

外観

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木造武道館モデル

武道の必修化に対応するため、柔・剣道武道場の整備が進められています。
木造の武道場は、伝統的な武道の精神を環境から体感させる力を持っています。
鹿島は、耐火木造技術を含む多様な木造技術をシステム化し、敷地条件に合致した武道場の最適解を提案します。平屋モデル、2階モデルなど、様々なバリエーションを用意しています。

写真:木造武道館・モデル内観

木造武道館・モデル内観

写真:木造武道館・平屋モデル外観

木造武道館・平屋モデル外観

生産性の向上/生産施設・研究施設

生産施設は従来、木材と縁の薄い分野でしたが、近年は集中して作業に向かえる環境やリラックスできる厚生エリアのあり方への関心から木材の利用に目が向けられています。ここにも、木質の効果を活かせる領域が拡がっています。

生産施設
大塚製薬徳島板野工場食堂棟 木質化

マスタープランのキーコンセプトである公園の中の工場「ワーク・イン・ザ・パーク」を継承し、小川の廻りの水辺空間全体を取り込みつつ、新たな憩いの場となるべく計画された食堂棟です。主に木材、レンガ、ガラスを使用し、開放的で明るく、既存の緑や水辺への視線を最大限活かす事で、誰もがリフレッシュ出来るようになっています。

写真:レストラン

レストラン

写真:外観

外観

鹿島技術研究所・振動台実験棟 <W-DECKER(ダブルデッカー)>一部木造

<W-DECKER(ダブルデッカー)>は、地震動を再現する「主振動台」と、超高層など長周期構造物の応答を再現する「長周期振動台」を組み合わせて2段重ねとする新方式により、長周期地震時の世界最大の振幅を再現できる振動実験台です。
実験場は外界の影響を受けないように4方をコンクリートの壁で囲んだ無窓空間ですが、天井は木造アーチが支えるテンション膜ドームとし、拡散された自然光が注ぐ明るい実験作業スペースを生み出しています。

写真:実験場内部

実験場内部

一辺が21mの正方形平面に架けられた8角形のドーム屋根は、対角に4本の大断面集成材アーチを井桁状に配置、卍型に組み合わせることで、対称性を持たせた合理的な構造としています。 結露水が構造体に発生しにくいことも、木質の効用として実験スペースに貢献しています。

写真:実験場外観

実験場外観

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楽器のように、宝箱のように/文化施設

ヴァイオリンの名器として名高いストラディバリウスは、木質の経年変化が独特の音色を響かせるとされています。劇場建築では舞台床や共鳴板等に木材が使われ、木材の吸音、反射といった音響的性質をうまく利用することで、優れた音響環境を生み出しています。また、桐のたんすに代表されるように木材の保存箱は、調湿に加えて、フィトンチッド(樹木が発散する物質)による抗菌、防虫などの効用があると言われます。美術館や博物館の収蔵庫に木材が使われる由縁です。音楽ホールやミュージアムなどの文化施設にある木材が、そこで展開される音楽、美術を吸収して価値を高めていく、そんな施設を鹿島は作りたいと考えています。

ホール
軽井沢大賀ホール木質化

軽井沢からの音楽文化の発信を願い、大賀典雄ソニー名誉会長が軽井沢町に寄付することで話題を呼んだ音楽専用ホールです。コンサートホールは「巨大な楽器」とも言われるように、ホールそのものがいかに響き,いかによく鳴るかが求められます。

平行壁面のない正五角形のサラウンド空間を巡る内外装には地元長野県産のカラマツが採用され,年月を経るほどに音響的な味わいが増すことが期待されています。

第47回BCS賞、日本建築学会作品選集2007入選、
第1回日事連建築賞国土交通大臣賞、
第6回環境設備・デザイン賞 第2部門 入賞/BE賞

写真:外観

外観

写真:内観

内観

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ミュージアム
ハラミュージアム アーク木造

1988年榛名山麓の斜面に建てられた木造の現代美術館を改築し、さらに古美術の展示ギャラリー、収蔵庫を同じく木造で増築したものです。外観は黒く塗装されたスギの下見板貼りとなっており、牧場の緑の中で存在感のある建物となっています。収蔵庫内部にも木材が豊富に使われました。

第52回BCS賞、2010年日本建築学会作品選奨

写真:外観

外観

写真:収蔵庫内観

収蔵庫内観

川口アートギャラリー<アトリア>木造

川口市の公園の一角に作られた美術施設は、小さいながらも落ち着いた雰囲気があり、市民がアートと出会い、表現していくことを目指した施設です。集成材の木造で木質の柔軟な親しみ易さが施設の性格を体現するとともに、広いウッドデッキが市民とアートとの触れ合いを高めるように設計されています。また、敷地に建っていたスポンサーのビール工場の松杭が床材として再利用もされています。

写真:外観

外観

写真:構造材、仕上げ共に木が活かされたインテリア

構造材、仕上げ共に木が活かされたインテリア

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気持ちを和らげるホスピタリティー/医療施設・宿泊施設・居住施設

ラテン語のhospes―異国の友、を手厚くもてなすことから派生したとされる、hospital(病院)やhotel(旅館)、そしてhospitality(もてなし、癒し)。病院や宿泊施設など人をやさしく受け入れる施設で木材はその存在感を発揮することができます。 病院という冷たくなりがちな施設においても、木材が使われることで利用者は心を落ちつけることができるようになります。宿泊施設も木造・木質化が図られることで癒しの空間となることは言うまでもありません。

医療施設
郡上市民病院木質化

郡上市の中核的な総合病院として建設されたこの建物は、構造は鉄筋コンクリート造ですが、内外装に木材が多用され気持ちが落ちつき安心できる雰囲気となっています。また、外観も水の街・郡上八幡に調和したやさしいデザインとなっています。

写真:外観

外観

写真:病室内観

病室内観

宿泊施設
ブリヂストン軽井沢第二山荘一部木造

恵まれた自然環境に建つ保養施設はRC造であるが、ラウンジ、ダイニング部分を木造とした平面的な混合構造の建物である。共用部を木造化することにより周囲の自然と調和し、木造ならではの木質感を作り出している。

写真:外観

外観

写真:ラウンジ

ラウンジ

大興蓼科山荘木造

蓼科の別荘地内に立てられた企業の保養所です。美しい南斜面のカラマツ林の斜面に逆らわず、自然の中に溶け込むよう雁行した建物配置となっています。ホール・ダイニングの共用部は米松集成材を用いた軸組、宿泊室・浴室はツーバイフォー工法を採用しています。輸入材の木内外装とあいまって、木質の温かい空間が寛いだリゾート感を演出しています。

第14回 日本建築士会連合会賞奨励賞

写真:外観

外観

写真:ダイニング

ダイニング

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親しみがあり劇的な大空間/体育施設・スパ、プール・交通施設・多目的施設

東大寺大仏殿は世界最大の木造軸組建築とされますが、大屋根を支えているのは現代の大断面集成材のような合わせ柱です。また世界最古の木造建築、法隆寺の五重塔は、現代の超高層建築の耐震構造のヒントとなった柔構造です。歴史的な巨大木造建築の伝統と技術を継承して、鹿島は現代の大規模な新木造技術に挑んでいます。

体育施設
長野市オリンピック記念アリーナ(エムウェーブ)一部木造

多目的利用を想定した、木造吊り屋根によるオリンピック施設です。大スパンの木造吊屋根は世界初であり、吊屋根に使われる部材は、厚さ12mmのスチールプレートを、2本の集成材で挟むハイブリッド構造です。集成材は、信州カラマツを13層に重ね合わせたものでこれを約7,000本使用してスパン80m、厚さ30cm、全幅216mの屋根を作りました。アリーナは可動客席により小さなイベントからオリンピックまで、あらゆる対応が可能なよう考えられています。

第1回JIA環境建築賞入選、第8回環境・省エネルギー建築賞理事長賞(その他の建築部門)、第31回中部建築賞入選、第7回IOC/IAKS賞金賞、98年度北陸建築文化賞、平成11年度日本建築学会賞作品部門、第37回空気調和・衛生工学会賞 技術賞/建築設備部門、1999学会作品選集作品選奨/北陸、第39回BCS賞、第1回木造構造物、エクステリア、インテリアの木材活用コンクール特別賞、1997英国構造技術者協会賞 特別賞、平成8年度PC技術協会賞 作品賞、平成12年度関東地方発明表彰東京支部長賞、第10回電気設備学会賞 技術部門施設賞

写真:内観

内観

写真:外観

外観

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森林体験交流センター(テイクル80)一部木造

北海道釧路市音別町は林業と酪農の町であり、森林体験施設併用の体育館が建設されました。地元産のカラマツ、トドマツを多用した建物を創る方針から大断面集成材による木造屋根が採用されました。音別町開基80周年記念事業としてアイヌ語で「森」を意味する「テイクル」から名付けられ、文字通り森を活かし、森について学ぶ建物となっています。

写真:スパン34mのヒンジアーチ

スパン34mのヒンジアーチ

写真:外観

外観

スパ、プール
厚沢部町民プール木造

プールの構造材にとって大敵の塩素対策として、塩素で腐食することのない木構造が採用されました。北海道の厳寒の外気による温水プール場の結露対策にもなっています。また、人の肌が触れたときも、安全で暖かい木材は、プールや浴場の構造、仕上げ材としては、最適です。

写真:内観

内観

写真:外観

外観

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駅舎
JR高知駅 くじらドーム一部木造

高知駅は、JR 線により南北に分断された高知市の一体化を図るために高架化され、その高架をすっぽりと覆う形の大屋根と北口キャノピー及び高架下の駅舎で構成されています。高知県は県土の84%を森林が占める森林王国であり、本施設は「木の文化県」の象徴として、大屋根は地元産杉を使用した大断面集成材の木造アーチを用い、日本でも有数の大架構の駅空間となっています。

2008 第7回日本鉄道賞 ランドマークデザイン賞、2009 第25回高知市都市美デザイン賞〈一般建築部門、2009 第54回鉄道建築協会賞作品部門〈停車場建築賞〉

写真:大屋根外観

大屋根外観

写真:外観

外観

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