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新木造技術

FRウッド®で「木が見える」新たな耐火木造建築を実現

従来、木造で耐火建築物を実現するためには、石膏ボードなどの不燃材で木を覆うことにより耐火性能を確保する手法が一般的であり、「木造ではあるが、木は“見えない”」というジレンマがありました。

FRウッドは、従来の耐火木造技術とは異なり、木を見せた耐火木造建築物を実現する新技術です。国内で最も多いスギを採用し「薬剤注入が容易」というスギの特徴を生かし、難燃薬剤を注入することで耐火性能を確保しています。

FRウッドの適用により、木が見える新しい建築物を実現することで、環境負荷低減や低炭素社会の実現、森林資源の有効活用、そして国内林業の活性化により貢献したいと考えています。

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※FRウッド:Fire Resistant Wood

※FRウッド®は鹿島の登録商標です。

※FRウッドは鹿島と東京農工大学、森林総合研究所、ティー・イー・コンサルティングの共同研究から生まれました。

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FRウッドで広がるこれからの木造建築

RC造または鉄骨造だけでしか建てられなかった都市部に、FRウッドを用いて新たな木造空間をつくることができます。木の温もりやダイナミックな架構を適材適所にちりばめた建物は、潤いのある街づくりと共に木材への炭素固定化によるCO2削減で地球温暖化防止にも寄与します。

図版:FRウッドで広がるこれからの木造建築 イメージ

1時間耐火構造の大臣認定を取得した耐火集成材「FRウッド」を採用することにより、最上階から数えて4層目まで木材現しの空間が実現できます。 この特長を活かし、都市部(防火地域)でも中高層の木造建築を建てられるようになり、街を木造化することが可能になりました。 さらにコンクリート構造や鉄骨造と組み合わせることで、これからの木造建築の可能性は大きく広がります。

右図の例では、下部構造はRC造または鉄骨造とし、中央のコア部分を最上階まであげることで、耐震性も確保しています。

高層

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建物用途に応じた適用例

オフィス・マンション(高層)

エントランス

建物の顔であるエントランス(下屋)を木造でつくることで、街並みに呼応した、魅力とぬくもりにあふれた空間にできます。

別棟・共用棟

別棟として建てられる集会棟やショップ棟など、木造でつくることにより皆で集える新しいシンボルとなります。

図版:オフィス・マンション(高層)

ホテル・旅館

ペントハウス・別棟

チャペルや宴会場など、独立した特別な空間を木造にすることで、他にない魅力的な価値が生まれます。

図版:ホテル・旅館

学校・ホテル・商業施設

アトリウム

学校、ホテルなどの吹抜けたアトリウムを木造にすることで 木の香りに包まれた癒しの空間が創出されます。

図版:アトリウム

その他

中低層オフィス・ロードサイドショップなど

コア部分をRCとし、ファサード面(外壁面)を木造と組み合わせることで、執務空間やショールームなどの来客空間をあたたかく豊かに彩りながら、耐震性を高めた建物とすることができます。

商業施設・多目的施設

大断面集成材による大スパン架構技術を用い、木造による大空間をつくることが可能です。 体育館などの運動施設、文化施設、あるいはバザール的な商業施設などに応用できます。

※これらの木造化例はFRウッドを応用したイメージです。建築基準法などの適用法令の制限により、実現できない場合があります。

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FRウッドだからできること

FRウッドだからできること

1. 木造の構造体を現しにできる

FRウッドは純木質の耐火構造部材(柱、梁)であり、木材を石膏ボード等で被覆する従来の耐火木造技術とは異なり、木を見せた耐火木造建築物を実現します。

中心の構造用集成材の周りを、難燃薬剤を含浸させたスギ材で覆っているため、最外層は木肌がそのまま現れています。

木質のあたたかな空間を実現することができ、炭素の定着によるCO2削減にも寄与します。

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2. 多様な断面サイズを実現できる

小断面から、それ以上の大断面など、設計条件に応じて自由に設計が可能です。
2012年3月、260mm×290mm(荷重支持部120mm × 120mm)の小断面部材の大臣認定を業界に先がけて取得。これにより、最小断面以上の寸法であれば自由な断面設計ができ、いままで以上にさまざまなニーズに応えられるようになりました。また、認定の取得で建設地域の制限に関係なく、木造4階建て、もしくは最上階から上部4層までを木造にすることが可能となりました。

多様な断面サイズを実現できる

3. 接合部の納まりが容易

耐火建築物を成立させるには、耐火構造の床・壁・天井との容易な組み合わせが不可欠です。
FRウッドは純木質部材のため、接合部や取り合い部の納まりが容易で、従来の木工事(大工)でつくることができます。

FRウッド同士の接合

FRウッド同士の接合
FRウッド同士は部材最外周の仕上げ層(厚さ10mm)を欠きこみ接合することで、難燃処理層が途切れず連続し耐火性能を確保できます。接合には金物を用い、接合スリットは火災の影響を受けにくい上面に設け、耐火措置を施します。

他工法との接合

他工法との接合
FRウッドは従来の木工事・木材加工工場での加工が可能であり、石膏ボードで覆われた従来型の木造耐火構造(壁・天井)との組合せも容易です。仕上げ層を欠きこみ、石膏ボードを難燃処理層と直接連続させます。

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日本初のFRウッドを使った建物 ─野菜倶楽部 oto no ha Café─

防火地域に建つ飲食店舗

「野菜倶楽部 oto no ha Café」(東京都文京区)を構成する独立柱、飛び梁にFRウッドを初適用しました。
この建物は、目白通りに面し椿山荘に隣接する東京都心の一等地にありながら周辺を広大な緑地に囲まれた自然環境豊かな場所に建てられた飲食店舗です。周辺環境にふさわしいカフェとするため、FRウッドの使用により従来の木造耐火建築物のように石膏ボードに覆いつくされることのない木造・木質感あふれた空間を実現しています。

第17回 木材活用コンクール 木質構造特別賞

工事概要

建主・基本設計:
音羽建物
設計・監理:
KAJIMA DESIGN
設計協力:
いけはたアトリエ
インテリア FFE:
ILYA
施工:
住友林業(建築)、坂本建設(外構)
敷地面積:
677.95m2
建築面積:
132.49m2
延床面積:
243.66m2
建物概要:
階数:地上3階 構造:木造

to no ha cafe

図版:内観

図版:内観

FRウッドで可能となった小断面の「飛び梁」、「独立柱」

FRウッドを使わなかった場合

FRウッドを使わなかった場合
小断面の飛び梁・独立柱も石膏ボード等による耐火被覆により、木現しができません。

FRウッドを使った場合

FRウッドを使った場合
FRウッドにより、空間に見合ったサイズで純木造・木現しの独立柱、飛び梁が可能です。

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都市部や防火地域に適用できるFRウッド

木造のビルを見たことはありますか?
建物の規模や都市計画上の地域によって、建物の耐火性能を高める必要があります。耐火建築物となる場合、木肌の見える木造の建物をつくることはとても困難なことでした。
耐火集成材「FRウッド」なら、都市部などの防火地域や大規模建築物、中高層建物にも適用できる木肌の見える木造耐火建築物を実現します。

防火地域に適用できるFRウッド

図版:井川町立 井川中学校

井川町立 井川中学校

図版:八雲学園図書館

八雲学園図書館

図版:丸美産業本社ビル

丸美産業本社ビル

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防火地域と準防火地域における木造の可能性

建築物が密集する市街地においては、市街地の不燃化を図るため、「防火地域」、それに準じて「準防火地域」が定められています。「防火地域」に適用できるFRウッドは、木造建築の可能性を広げます。

求められる耐火性能に対応する木造・木質構造

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FRウッドが「火災に強い」しくみ

FRウッドは国産スギ材のみを利用した純木質耐火構造部材で国内唯一の技術です。
柱や梁となる荷重支持部の周囲に難燃薬剤を注入した燃え止まり層を配し、火災が起きても、構造を支える内部まで炭化が進行しない仕組みです。

FRウッドが「燃えない」しくみ

  • 可燃物である木材に難燃薬剤を注入することで「耐火性能」を確保しています。
  • 「薬剤注入が容易」という特徴をいかし、国内で最も多い「スギ」を採用しています。
  • 薬剤注入前の木材に1mm程度の小さな孔をあける「インサイジング処理」を行うことで、薬剤注入量と注入分布を均等均一化しています。
  • 柱と梁について「1時間耐火構造」の大臣認定を取得しています。

FRウッドができるまで

FRウッドの製造方法は一般的な集成材の製造過程に近く簡易です。
FRウッド特有の作業は次のようになります。

ポイント1:薬剤注入量、注入分布のムラをなくすインサイジング処理(孔あけ処理)
ポイント2:耐火性能を付与するための難燃薬剤注入

FRウッドができるまで

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FRウッドの加熱実験

図版:FRウッドの加熱実験

耐火集成材(柱)を耐火炉の中に入れた状態。耐火炉の四周から炎が出て、加熱が開始されます。

1時間耐火構造の場合、最大945℃で加熱されます。

加熱後、所定の時間放置し、耐火炉を開けた状態。木材の表面は炭化していますが、中心部の集成材は全く影響がなく、構造材としての健全性が保たれています。

無処理スギ材の加熱実験

図版:無処理スギ材の加熱実験

耐火性能を有するFRウッドの梁は、表面は炭化しているものの部材としては健全なのに対し、耐火性能がない無処理のスギ集成材は燃え尽きています。

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鹿島技術研究所

鹿島では1949年に建設業界初の技術研究所を設立しました。西調布にある実験場では防災実験室を保有しており、長年にわたって蓄積した研究・技術開発力を基に耐火試験炉で高度な検証法による耐火実験をしています。

耐火試験炉

柱・梁・壁・床部材の兼用炉で各種部材の耐火性能を大規模で試験することができます。1200℃の加熱が可能で、載荷しながら加熱することもできます。

鹿島技術研究所

耐火試験炉

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Q & A

一般編

どのような建物に適用できますか?

FRウッドは建設地域や建物用途の適用制限はありません。このため、都市部(防火地域・準防火地域)において公共施設やオフィス、教育施設、商業施設、福祉施設、宿泊施設などあらゆるものを木造で実現することが可能です。

なお、FRウッドは現在、1時間耐火構造の大臣認定部材であるため、階数については「4階建てまで」、あるいは「中高層建物の上部4層まで」に適用が可能となっています。面積についての制限はありません。

※より階数を高くすることができる二時間耐火についてはこちらをご覧ください。

屋外で使用できますか?

FRウッドで用いている難燃薬剤は水溶性のため屋外での使用には向いていません。現状、屋内使用に限定されます。ただし、ガラスファサードなどを介して、外部から見える形で使用することは可能です。

「二時間耐火構造」は可能ですか?

FRウッドの大臣認定は、現在「1時間耐火構造」のみの取得となっておりますが、実験では2時間耐火の仕様、性能を確認済みです。今後、ニーズがあれば大臣認定を取得することは可能です。

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使用する樹種に制限はありますか?

FRウッドは荷重支持部、難燃処理部共、スギを用いることができるのが特徴の一つです。産地指定はありませんので地産地消をはじめ、技術的には日本全国のスギが使用可能となっています。

スギ以外の樹種の利用については、より強度が高い樹種(カラマツなど)での認定の取得も検討しています。

接合部、壁や天井床との取り合い部の仕様はどうなりますか?
また、耐火性能は問題ありませんか?

FRウッドは純木の部材であるため、接合部などは簡易な仕様です。仕様例はこちらをご参照ください。

これらの接合部等については、すでに実大規模の加熱実験により1時間耐火に対し十分な性能を有することを確認しています。

品質編

耐火性能の品質は安定していますか?

FRウッドの特徴の一つに、耐火性能の確実な確保が挙げられます。通常の難燃処理では薬剤注入量や注入分布にばらつきが生じることがありますが、FRウッドは薬剤注入前に1mm程度の小さな孔をあける「インサイジング処理」を行うことで、薬剤注入量および薬剤注入分布の均等均一化を図っています。

また、製造にあたってはラミナ(板材)一枚一枚について薬剤注入量を管理しています。

耐久性や経年変化の問題はありませんか?

FRウッドに使用している難燃薬剤は経年変化をしないため、耐火性能の劣化はありません。 (経年変化はないと考えられますが、万が一の安全確保のため、難燃処理層厚さなど1時間耐火の性能を確保するうえで、十分余裕のある仕様としています)。なお、通常の木材と同様、紫外線による変色などは起こり得ますが、塗装で対応は可能です。

VOC(揮発性有機化合物)の問題はありませんか?

FRウッドは難燃薬剤を使用していますが、VOCの問題はありません。

公的試験機関での試験により日本農林規格(JAS)の最高等級である「F☆☆☆☆」を満足し、VOCの放散量が少ないことを確認しています。

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製造販売編

コストはどうなりますか?

FRウッドは新技術であるため、現状では鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)に比べるとコストアップとなっていますが、より使いやすい部材にするためコストダウンの検討を進めています。なお、建物すべてをFRウッドによる木造にするのではなく、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)の建物と組み合わせてポイントとなる部分のみを木造にした混合構造にすることで、機能とコストのバランスのとれた設計が可能と考えます。

4階建ての木造オフィスを想定した試設計建物を対象にコスト試算すると、RC造とFRウッドによる木造の混合構造の場合、すべてRC造とした場合の1.1倍程度のコストになります。

販売していますか?

現状一般販売はしておりません。将来的な一般販売に向けて、製造体制を検討しています。

新木造技術 インデックス

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