2009年10月から始まった姫路城大天守の保存修理工事が完了し、2015年3月より大天守の一般公開が再開されました。
工事着手前と修理後ではどのように変わったのか、写真を通してご紹介します。
姫路城開城おめでとうございます。
約6年にわたり姫路城大天守保存修理工事に関わらせていただき、このたび無事リニューアルオープンの運びとなりました。工事期間中は姫路市様をはじめ関係各位に多大なるご協力をいただき、またお城の姿が見えない間、皆様には長らくお待ちいただき申し訳ありませんでした。
世界遺産であり、国宝である姫路城の保存修理工事は様々な制約条件のもと多様な検討を行いましたが、特に高層の素屋根を構築するための足場をどう設置するかは大変悩みました。姫路城は敵の目を欺くために城郭が入り組んでおり、かなり複雑です。そのため鉄骨の建て込みには大変神経を使いましたが、鹿島が培った経験と最先端の技術で無事完了することができました。
初の試みでもあった見学施設”天空の白鷺”の設置は、工事の様子を間近でご覧いただきながらの作業となりましたが、皆様からの注目度も上がったため、工事関係者の励みにもなりました。
今回の保存修理工事では、瓦や漆喰の劣化を低減させるための工夫も施しましたので、しばらくは劣化することなく白く輝く姿をご覧いただけるものと思います。
素屋根を解体し、お城が姿をあらわした時には、白すぎるとの感嘆の声も頂いておりますが、屋根目地漆喰が盛り上がって見えることから角度によっては真っ白にみえるという、姫路城ならではの素晴らしい装飾だと思います。
そして最も緊張した修復完了後の素屋根解体は、構築時のデータを再検討することでお城を傷つけることなく、おかげさまで無事完了することができました。
美しく甦った姫路城を新たにご覧頂けることは工事の一端を担った者として大変光栄に思っております。白く輝き続ける姫路城を今後も多くの皆様に、それぞれの思いでご覧いただければこの上ない喜びです。
鹿島での最後の仕事として、姫路城の保存修理工事に携わらせていただいたことを心より感謝申し上げ、御礼のご挨拶とさせていただきます。