保存・修理のための素屋根工事

今回の修理は大天守の屋根修理と漆喰塗りかえが主となります。修理工事期間中「素屋根」と呼ばれる覆いで、大天守をすっぽりと覆い隠してしまいます。これは瓦や漆喰を除去した状態の大天守を、雨風から保護するために設置されるものです。素屋根の建設を行なうには、高台にある大天守まで鉄骨材料などを運ばなくてはなりません。昭和の大修理では備前丸(正面広場)から巨大なスロープを構築してその資材を運びましたが、今回は現代の技術で腹切丸(大天守東側)に「構台」を設け資材を搬入する計画です。

  • 仮設構台
  • 矢印
  • 素屋根

工事用アプローチのための仮設構台

姫路城は高台にあるため、材料搬入にも工夫が必要です。スムーズな作業を行うため腹切丸に材料搬入用の構台を作りました。備前丸までの高さが31mあり9階建ビル相当の高さがありますので、腹切丸をまたぐ仮設構台は高さ37.6m、長さ66mにも及ぶ規模が大きいものになります。この構台の上をクローラークレーンが走行しながら材料を搬入、素屋根を構築していくので強固な構造で造っています。

腹切丸までの構台設置状況(南東面より)

腹切丸までの構台設置状況(南東面より)

備前丸ヘ延伸の構台設置状況(南東面より)

備前丸ヘ延伸の構台設置状況(南東面より)

保存・修理のための素屋根

修理工事をするためには、まず前述の工事用アプローチである仮設構台を設置し、次に全天候型で作業をするための素屋根を設置します。姫路城は高さが約46.35mあるので13階建てビル相当の大きさとなり、素屋根をかけるのも大がかりな作業になります。素屋根は鋼材で組み上げていきますが、土台である姫路城の地盤面の下も特別史跡となるため、地盤面の上に基礎を構築することとなります。また、素屋根の鉄骨は、細くて軽い鋼材を使用し、トラス状に組み上げる方式が採用されています。

鉄骨組立開始直後の素屋根設置状況

鉄骨組立開始直後の素屋根設置状況

途中階の素屋根設置状況

途中階の素屋根設置状況

屋根合掌梁の素屋根設置状況

屋根合掌梁の素屋根設置状況

屋根葺き、外装時の素屋根設置状況

屋根葺き、外装時の素屋根設置状況

ページのトップへ戻る

ページの先頭へ