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特集 鹿島の働き方

2019年4月,働き方改革の一環として労働基準法が改正され,時間外労働の上限規制が適用された。
建設業は業務の特殊性やそれまで常態化していた長時間労働,担い手不足などを背景に,
5年間の猶予期間が設けられていたが,半年後の2024年度からいよいよ上限規制が適用される。
今月と来月の2ヵ月にわたる特集では,改めて時間外労働の上限規制とは何かを学び,今も日々挑戦が続く
建設現場での取組みや,当社が用意する社員個人の新たなスキルアップにつながるツール,
柔軟な働き方を後押しする人事制度などを社員の声とともに紹介する。

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絶えず変化を

建設業の働き方は,様々な施策や意識改革なども相まって,この猶予期間で確実に改善されてきた。しかしながら,まだ多くの課題を抱えていることも事実である。日本建設業連合会(以下,日建連)の調査によると2022年時点の上限規制(原則)の達成状況は,会員企業の非管理職の上限規制超過が59.1%に上る。日建連では,発注者向けの「適正な工期の確保」,「4週8閉所」,「建設業の担い手,働き方の現状」などに関するリーフレットを作成し,上限規制に向けた,働き方の環境整備に協力を求め,業界としても理解を求めている。

当社は上限規制の猶予期間中,長時間労働是正に向けた様々な業務効率化を考案,いくつもの試行を重ね,本誌でも2018年7月号で「鹿島働き方改革」と題した特集を組み,2019年5月号からは「私たちの働き方」というコンテンツで,各部署・各工事事務所の工夫を凝らしたチャレンジを不定期で発信してきた。これからも絶えず変化を続け,全社一体となった働き方改革,生産性向上に取り組んでいく。

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改正労働基準法を正しく知ろう

時間外労働の上限規制を考える上では,使用者・労働者にかかわらず双方が労働時間を正しく理解し,
規制の内容を正しく知る必要がある。改めて基本的な内容から確認しておこう。

規制する時間は?

労働時間には「所定労働時間」と「所定時間外労働時間」の2つがある。前者は就業規則や労働契約で定められた時間で,当社の場合,原則8:30~17:30(休憩時間12:00~13:00)となっている。後者は,それ以外の8:30より前,17:30より後に実際に仕事に就いている時間をいう。

一方で,労働基準法に定められる,1日8時間以内かつ週40時間以内の労働時間を「法定労働時間」,1日8時間超または週40時間超の労働時間を「法定時間外労働時間」という。

この2つの時間外労働時間のうち上限規制が適用されるのは法定時間外労働時間となる。

対象者は?

1日8時間以内かつ週40時間以内の法定労働時間を超えて,労働者に時間外労働,いわゆる残業や,休日労働をさせる場合には所定の手続きを経なければならない。労働基準法第36条に基づく三六協定の締結と,労働基準監督署長への届出である。この三六協定の対象になる労働者が上限規制の対象となる。

三六協定は,事業場ごとに締結するもので,それぞれの事業場の繁忙度により,締結時間は異なる。部署異動があった際には異動先の三六協定の内容を必ず確認しよう。

休日労働とは?

休日労働というと,会社の就業規則で定める土曜・日曜・祝日・年末年始・夏季休暇といった「所定休日」に労働した時間と考える方も多いのではないか。労働基準法における休日労働は,「法定休日」に労働した時間をいう。労働基準法では原則,毎週少なくとも1回休日を与えることが定められており,法定休日とは,1週間につき1日の休日のことをいう。

当社では就業規則により日曜を法定休日と定めている。土曜に労働した時間は法定休日労働には該当せず,日曜に労働した時間が該当する。

2024年度からのルールは?

時間外労働の上限は原則として,月45時間かつ年360時間になる。臨時的な特別の事情がある場合で,特別条項付きの三六協定を締結しなければこれを超えることができない。臨時的な特別の事情とは,例えば現場での事故やトラブル,顧客の要望による突発的な計画変更など,予算・決算業務や納期のひっ迫など,通常予見することのできない業務量の大幅な増加が考えられる。

ただし,臨時的な特別の事情があっても「①年間の時間外労働は720時間まで(休日労働含まない)②月45時間超の時間外労働は年6回まで(休日労働含まない)③ひと月の時間外労働の上限は100時間未満(休日労働含む)④『2~6か月平均』が全て80時間以内(休日労働含む)」という4つのルールを守らなければならない。

これに違反した場合は,会社や使用者に6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるおそれがある。

労働時間管理の手引き

労働時間の削減を進めるためには,労働時間を正確に把握することが大前提となる。
当社では「労働時間管理の手引き」(2023年5月改訂)をイントラネット上に公開している。「労働時間とはどのような時間を指すのか」といった総論から,「いわゆる『持ち帰り残業』の考え方」「自宅での『メールチェック』の考え方」などの各論にも言及している。適正な労働時間管理を行いながら,働き方改革を実現する必要があることを忘れてはいけない。

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