瓦や漆喰の保存・復元の様子を、写真とともにご紹介します。
屋根にかかる荷重を軽減する為、旧来の方法より葺き土を減らし、新たに土居葺きの上に瓦桟を組み瓦葺きをしました。表からは見えないように釘、又は銅線にて全の瓦を固定しました。
五重屋根(最上部)軒唐破風部には、美しい曲線を出すために工夫された瓦下地を取付けています。
五重屋根の北面部の瓦桟葺きをしているところです。旧来の瓦下地の上に桟を敷いて瓦を葺いていきます。
平瓦葺き用の葺土を練合せ中です。解体した時の瓦葺き土を再利用して葺き直しますが、既存の土は粘りが強すぎるため、川砂、ワラ、漆喰等を葺く用途に応じて配合・調整します。
まずは軒平瓦(軒唐草瓦)による全体割付と高さ、出入、曲面、反り等の位置決めをしていきます。
軒平瓦の位置決めが終わると、平瓦を葺いていきます。事前に瓦の寸法、反り、曲り等を一枚一枚確認・選別し、一列ごと仮に並べて状態を確認します。
五重屋根の軒丸瓦(巴瓦)の位置決め据付状況です。 丸瓦に取付けてある銅製の支持金物は、雷を地面に流す銅線避雷導体を取付ける為の固定金物です。
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五重屋根の唐破風部の軒先の袖丸瓦と袖丸下面戸瓦を位置決め据付しているところです。
現存する大天守には、築城した城主池田家の家紋である揚羽蝶と官位を表す桐紋が入った瓦を見ることができます。
五重屋根掛部の掛巴(丸)瓦葺き状況です。
五重屋根の平瓦と丸瓦が葺きあがりました。この後、降棟葺き、大棟葺き、そして、鯱の据付と続いていきます。
各重屋根と破風部取合の谷樋下部の瓦下捨て樋銅板の取付状況です。瓦下捨て樋銅板とは、瓦の下に水が廻って、木の下地(土居葺き他)が濡れて腐っていたものを、表から見えない様、瓦下に銅板を葺いて防止するものです。
三重屋根の瓦桟組みと軒平瓦の位置決め据付状況です。
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80,506枚全ての瓦の反り、歪み、割れ等を確認したあとに、それぞれ清掃し選別した結果、不足・不良分な瓦を製作することとしました。鯱、鬼瓦、平・丸瓦は奈良で、姫路の瓦工場でも、鬼瓦、平・丸瓦等を製作しています。焼く前にゆっくりと適度な温度を加えながら乾燥・収縮させ、焼いている時も窯の中の温度と余熱を管理グラフを見ながら昼夜管理する大変な作業です。
この瓦には五三桐の紋を復元し表面を研磨していきます。 高麗瓦また滴水瓦とも呼ばれる瓦で、雨水の水切れを工夫した形状をしています。
五重屋根大棟の鬼瓦を製作中です。 この旧鬼瓦の製作工程を確認すると、製作方法としては珍しい削り取り方法であったので、同種工法、同型で再製作しました。削り取り方法とは、先に外の型を作り厚みを確保し、その中の粘土をヘラで彫って鬼瓦の形状にしていくものです。
瓦の筒物の製作時に使用する昔ながらの回転ロクロを使用します。写真はロクロ芯に巻かれた苆(スサ)の状況です。
五重屋根の大棟最上部の鯱を新規(平成の鯱)に製作中です。(奈良と姫路の各瓦会社の鬼師が集合し、見本と原寸図を参考に、昭和時の二分割位置を少し変え上下分けて製作しています。)
出来上がった鯱瓦は細心の注意を払って取扱います。温湿度管理された部屋で本乾燥させた後、窯へ移動していきます。
五重屋根の大棟に据付ける鯱の窯入れです。他の瓦とも併せもって入れ、ブタンガスにて焼成しました。
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窯内にて焼成(酸化焼成1150度)、燻し後、一週間目に扉を解放しました。 できたてのほやほやです。
鯱瓦下部の窯出しを慎重に行っています。
こちらは鯱瓦上部の窯出しです。
窯出し後、鯱の二尾一対の誕生です。(全体で四尾製作し、その内、もっとも出来上がりのよい二尾を使用します。)
鯱二尾を窯出し後に仮組みしました。型は貞享四年ー1687年の鯱、寸法は昭和三十三年の鯱に倣い製作しました。
大天守大棟鯱の各製作時代別の展示が”リの一渡櫓”で公開されています。
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お城を保護し、白く美しく見せていた漆喰は、傷んでいる箇所毎に修理方法を決め、最善の方法で作業を進めていきました。
漆喰の主材料は消石灰、貝灰、苆(スサ)、角又、砂などとなります。古文書を参考にしながら、各種配合の漆喰を試験練りしていきます。
城内は火気厳禁区域なので、電気釜を使用して糊炊きを行います。 糊炊きと炊きあがった後に、角又海藻糊の網濾しを行い、添加用の糊とします。
漆喰主材料の成分一覧表です。
荒壁土に時期をおいて、再三ワラを追加混入し、長期に渡り発酵させた土を漆喰壁の下地にします。
既存の漆喰下地の上に新たな漆喰を塗っていきます。くっつきがよくなるように表面をざらざらに荒らしてから次の作業工程になります。
漆喰塗り下地材の木摺板へ、シュロ縄巻きをしています。これを木部に取付けて漆喰を塗っていきます。
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四重屋根の千鳥破風部にステンレス釘にて、木摺を取付けているところです。
二重屋根部の兎毛通に僅かに残っているひげこです。ひげことは、釘に結ばれ垂らされている麻です。漆喰を塗る時に絡ませ落ちにくくするものです。
五層の土壁用の木軸組下地の粗朶材(堅木の枝)です。
五層壁の縄による粗朶材の組立固定状況です。
(片大和結びと男結び+下げ縄)
五層壁の粗朶組みと間渡し材の取付進行状況です。
五層壁の長押、柱前板、そして、シュロ縄を巻いた足元前包みの取付状況です。
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五層壁の漆喰作業、そして、四重屋根の瓦作業の復旧工事開始前の全景です。(土壁の作業から始めます。)
土壁欠損部の荒土打ちを、手で補足塗付しているところです。
一重屋根の隅木へ木摺取付後、漆喰を下塗しているところです。最終的には隅木の上部に隅木蓋の瓦が被ります。
五重壁の蟇股に砂入り漆喰を塗っているところです。
軒裏の垂木に砂入り漆喰を塗ると同時に、苆(スサ)を増やして塗付けをしているところです。
軒裏の漆喰仕上げ状況です。
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各木部の腐食度合いによって取替等の判断をし、他に傷みのある部分も修補しました。
お城の耐震性を高めるための補強も実施します。
四重屋根の南北千鳥破風の鯱の芯木(材質ー栗の木)の取替で、足元固定用の丸貫き棒を挿入しているところです。
軒裏の裏甲の腐食材を取替えているところです。いつ取替えたか後年わかるように平成二十三年度補修と刻印を入れた物を使用します。
破風谷樋下部で、土居葺きの腐食部を取替えているところです。
土居葺きの固定材として、天日乾燥後に焙煎された竹製の釘を使用し固定します。竹釘の長さは、一寸二分36mmのものです。
土居葺き完了後に、軒平瓦の乗せ掛け用として瓦座を取替えているところです。この瓦座の木材にも平成二十三年度補修の刻印が押されています。
瓦座部分の断面図
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屋根出隅部の裏甲を取替後に、土居葺きを補修しているところです。
屋根出隅部の曲面形状の瓦座を補修しているところです。
五層壁で先行の間渡し取付、粗朶組み後、宮大工によって、柱前板、足元前包みを復旧しているところです。右側は古い足元前包みをそのまま使用しますが、左側は新しく取付けた足元前包みです。
大天守内部の床板の傷み部分を取替えているところです。床板は桧を使用し、厚みが27mmあります。
大天守の6階柱の足元部を、ステンレスプレートによって耐震補強を行っているところです。
6階柱の耐震補強プレートは、土壁内に埋まってしまう為、プレート面にワラ縄を釘止めしているところです。
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土戸(外部窓の建具)は、漆喰塗替え前に傷んでいるところを補修し、構造材は、過去の地震を参考にし、耐震補強を行っています。
外部窓の建具の補修をしているところです。小口の木部の傷み部分と旧鉄製戸車の不良部をベアリング入りステンレス戸車に替えています。
建具の小口木部を取替補修した部分に、古色塗を行なって、補修部が目立たない様にしています。
建具の補修後、漆喰塗替え前に、一時的に仮取付を行って建て付けを確認しているところです。
建具に取付けてあった、旧戸車の取替えた鉄製の戸車です。
1階の床梁をまたいで取りつけた耐震補強金物です。固定は柱等に釘止めを一斉行わず、集成材のクサビ木材で隙間を詰め、上下固定しています。
大天守内 1階床面部分で、柱の耐震補強が完了した状況の上部部分です。 木製の箱でカバーすることになります。
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柱の耐震補強用の、クサビ他、木類を古色塗しているところです。
柱の耐震補強後、柱廻りの床板を復旧しているところです。
床板張替にて、固定する為の床用巻頭式の和釘です。
床面の耐震補強の為に木製の小梁を取り付けた状況です。
1階床面の耐震補強金物を取り付けた状況です。
2階床面の火打梁接合部分に取り付けた耐震補強金物です。
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規矩術により、原寸・型板等を作成します。補足瓦を製作すると同時に、新しく瓦桟を組んだ上に全ての瓦を固定していきます。
緩みがでないようしっかりした瓦葺きを行っていくことが重要です。
五重屋根最上部の棟込瓦(むねこみかわら)部での、鬼瓦背面の固定用引っ掛け金物と被覆銅線で鬼瓦を固定しているところです。
棟込瓦部での鬼瓦正面の下に鳥衾瓦(とりぶすまかわら)、そして、その下には拝巴瓦(おがみともえかわら)が据付られています。鬼瓦は波紋立体で足元幅は約1m、高さ約82cm、厚さは約14cmあり、かなりの大きさです。
棟込瓦部の一番下に台熨斗瓦(だいのしかわら)を葺き、さらに、その下で平瓦の隙間に棟面戸瓦が葺かれています。そして、新たに棟込瓦の銅線結束固定用にステンレス棒の金物が取付てあります。
棟込瓦部が下から上へと台熨斗瓦、菊丸瓦(きくまるかわら)、熨斗瓦(のしかわら)と葺かれているところです。
棟込瓦部で菊丸瓦の上で、輪違瓦(わちがいかわら)を葺いているところです。
棟込瓦部で輪違瓦の上で、熨斗瓦を葺いているところです。
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棟込瓦部で熨斗瓦が葺き終わり、鯱を据えつける前に、鯱の足元で、芯木廻りにズレ止めの為の瓦を固定しているところです。
鯱の据付で、二分割した尾っぽ部分を吊込んでいるところです。
鯱本体の据付と芯木への支持が終わり、二分割した鯱をボルト等にて固定しているところです。
鯱のヒレのボルト固定と、銅製プレートで揺れ防止対応の固定が完了した後、棟込瓦部の最後の瓦である、雁振瓦(がんぶりかわら)を葺いているところです。
鯱据付の完了後、上から見た鳥瞰状況です。
鯱の据付が完了し、鯱廻りの避雷針、避雷導体が取付られたところです。
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五重屋根中央の軒唐破風(のきからはふ)部の降棟での鬼瓦を据付、熨斗瓦を葺いているところです。降棟鬼瓦は桐紋平面で足元幅は約77cm、高さ約42cm、厚さ約6cmの大きさです。
五重屋根の中央部の降棟が完了したところです。
四重屋根にて瓦桟下地と平瓦葺きを行っている状況の全景です。
隅木蓋瓦を据付、上部のみ銅製の釘を打ち、引っ掛り程度の固定をしているところです。なお、銅釘は甲冑師としての伝統を引継ぐ、姫路の明珍家で製作しました。
三重屋根と比翼入母屋破風(ひよくいりもやはふ)との取合部での谷樋で、昭和大改修時に布設された既存の銅製谷樋に、新規に加工された銅製谷樋を接合しているところです。
比翼入母屋破風部の谷樋の仕舞が完了し、上部に刀根丸瓦が降り、掛巴瓦と掛唐草瓦が葺けたところです。そして、その瓦数枚分の下を谷樋の雨水が流れる様になっています。
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漆喰塗の補修作業は、瓦葺き替え作業との流れを考慮し、軒裏を先行して仕上、目地漆喰中塗、壁漆喰、
そして、目地漆喰上塗と進めます。
窓格子のシュロ縄巻き漆喰下地と窓抱き部は板にシュロの縄を巻き付けた木摺取付(ステンレス釘止め)状況が見れます。
五層壁の粗朶(木の枝組)に荒壁土(藁を再三混入し、1年半発酵させた土)を土ダンゴにして、手で押付けた上、塗付け、コテで均し終えて長期間自然乾燥させている状況です。
一層の壁で、表面仕上の漆喰をはがし、下地を確認すると、中塗土が傷んでいたので、新しい中塗土を塗りつけたところです。
軒先の木摺間の隙間に漆喰を先行詰めを行い、後追いで、木摺に漆喰を塗付けているところです。
軒先のソリの型を合せる為、漆喰の仕上前に、透明アクリル板の原寸型板当て、曲線の角付けを行っているところです。
目地漆喰の第一工程として、丸瓦の側面に墨付けを行っているところです。
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目地漆喰の第二工程である、瓦への吸水防止剤の塗布と第三工程である、丸瓦への漆喰の腹詰め(下塗)を行っているところです。
目地漆喰の第四工程である、漆喰の中塗を行っているところです。
五重屋根最上部の鯱瓦下部の棟込瓦の目地漆喰中塗を行っているところです。菊丸瓦・輪違瓦の奥にも漆喰が塗られています。
目地漆喰の中塗が完了しました。この後仕上げを行うともう一段白く輝きます。ちなみに屋根瓦に目地漆喰が塗られているお城は、熊本城、松山城、明石城等ですが、これほどの規模を誇るのは姫路城だけです。
解体前の既存実測・原寸図に基づいて、兎毛通・懸魚等の漆喰仕上用の原寸型板を製作しています。
五重屋根南北面の兎毛通裏面の漆喰下塗とヒゲコの取付状況です。
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五重屋根の兎毛通表面中央部の漆喰下塗とヒゲコの塗込状況です。
五重屋根の兎毛通表面中央部の漆喰中塗後、透明アクリル板の型板を当てて小口(厚み)面の漆喰塗を行っています。
五重屋根の兎毛通表面のヒレ部に、釘の首下に取付られたヒゲコ付きのステンレス釘を打込んでいます。
五重屋根の兎毛通表面のヒレ部の漆喰下塗が完了した状況です。
五重屋根東西面の蕪懸魚の漆喰下塗りを行っているところです。
五重屋根東西面の蕪懸魚の漆喰中塗が完了した状況です。
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瓦葺き替え作業も終盤に向い、平成の葺き替え工法として、確かな技法、技術として記録にとどめ、後世に伝え残していきます。
一重屋根西面の入母屋破風の棟込瓦部の瓦葺き替えです。瓦の上に見える茶色のものは、既存の瓦葺き土に南蛮漆喰を混入し再利用した葺き土です。台熨斗瓦の上に、菊丸瓦を葺いているところです。
菊丸瓦の上に熨斗瓦、そして、輪違瓦を葺いています。
輪違瓦の上に、熨斗瓦を葺いています。
熨斗瓦の上に鯱瓦をのせた後、雁振瓦で棟込瓦葺きが完了となります。
五重屋根の鯱瓦の正面です。雷が落ちた時の為に、避雷針導体が取り付けてあります。
五重屋根の鯱瓦(波紋鬼瓦の上で泳いでいる)の背面です。その下に鬼瓦(波紋ー立体)、そして、下に拝巴瓦が見れます。
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昭和の瓦葺き替え時の、瓦固定用の鉄と銅の釘です。瓦葺き下の土居葺き以下の下地に止めていました。
瓦の軒巴は四角形の鉄製の釘です。掛巴、丸瓦、平瓦等は、丸径の銅製の釘です。掛巴の釘頭の形状は、水が切れる様、工夫されています。
昭和の葺き替え時に、鬼瓦を固定する為に使用されていました引っ掛け形状の銅製の金物です。
昭和の葺き替え時に、隅巴瓦を固定していた銅製の釘です。
平成の瓦葺きは、土居葺きの上に新たな瓦桟を組んでいる為、瓦自身を固定する釘は、写真の様に短い物を使用している。軒平瓦(軒唐草瓦)は、ステンレスコースレッドビスで、平瓦は、セイフティスクリュー釘を使用し固定しています。
丸瓦等他は、各種の銅線にて固定し、鬼瓦は昭和の葺き替え時の引っ掛け金物と写真の水色の被覆銅線を併用して固定しています。
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土壁は、各層の乾燥期間を工期の範囲内で、出来るだけ長く取り、乾燥、ひび割れの状況を見極め、次工程へと進めていきます。
五重屋根の目地漆喰の上塗前です。隅棟、降棟、軒唐破風等の重なりあった美しい稜線、曲線が見て取れます。
五重屋根の目地漆喰の上塗を行っているところです。
丸瓦の接合重ね部への目地漆喰の仕上で、端部のひねり掛けを行っているところです。
五層壁の土壁の斑直しを行っている全景です。土壁を塗り付ける過程で、荒壁付けの次工程を斑直しと言います。
土壁において、荒壁土を塗付後、充分な乾燥をとってから、第一層目の斑直しを行っています。
第一層目の斑直しの壁土を塗付後、下げ縄を塗込んでいるところです。
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左側の壁は、荒壁土の状況です。右側の壁が第一層目の斑直しの塗付けが終了したところです。
土壁を塗る度に乾燥、ひび割れを生じさせて次の工程に入ります。こちらは、第一層目の斑直し完了後、自然乾燥にて、ひび割れが出始めた状況です。
外部窓の建具(土戸)の漆喰塗下地として、ひげこ、シュロ縄をステンレス釘にて取付けているところです。
建具の漆喰下塗をはじめた状況と、ひげことノレンが取り付いた状況です。
建具の漆喰下塗が終わった状況です。
ノレン…絹をメッシュ状に編んだものをラミン材(細い木)に取りつけた物
ひげこ…ステンレスの釘に大麻を取りつけた物
建具の漆喰中塗を行う時に、端部のノレンを塗込んでいるところです。
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五重屋根の南西面
五重屋根の北東面
五重屋根の入母屋破風の蕪懸魚の漆喰塗替え完了
五重屋根の軒唐破風の兎毛通の漆喰塗替え完了
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五重屋根下の南側蟇股部の紋
・・・ 剣酸漿草 (けんかたばみ)
五重屋根下の北側蟇股部の紋
・・・ 巌敷き雪に似ている。 どこの家紋でしょうか ?
11月に特別イベントがあり、鷹匠の技が披露されました。
素屋根8階(地上85m)の展望デッキより、白き鷹が飛び立とうとしています。
鷹匠より白き鷹が飛び立ち、三の丸広場に向かって、鷹狩の滑空が始まる。
素屋根のある、今しか見ることが出来ない、
地上85mからの鷹匠による技の披露。
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各層の乾燥期間を出来るだけ長く取り、乾燥、ひび割れの状況を見極め、砂摺り→下付→砂摺り→中塗→下付→上塗へと進めていきます。
一重屋根唐破風部の軒先の原寸型板を確認しています。解体前に和紙ヘカーボンで型(拓本)を取り、その型に合せて型板を作成しました。
一重屋根唐破風部の軒先の原寸型板を現地で合せ、軒先漆喰仕上の定規としてあてがいます。
二重から三重屋根にまたがった大千鳥(入母屋破風)の軒裏の漆喰中塗仕上を行っています。
一層壁東面の出格子の漆喰上塗を行っています。
二重から三重屋根にまたがった大千鳥(入母屋破風)東面の三花蕪懸魚の漆喰下塗を行っています。
二重屋根南面の蟇股(かえるまた)の漆喰上塗を行っています。
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左官材料、左官工具共々、使用場所・部位によって種々雑多でありますが、ここに主な材料と工具を紹介します。
漆喰塗の主な材料は、消石灰、貝灰、苆(すさ)、角又(つのまた)ですが、他に砂・寒水石・白セメントを混ぜ、厚塗強度を上げ、ひげこ(漆喰)、縄(土)等を絡ませています。
木小舞は縄で縛り土壁の下地とし、木摺は木部にステンレス釘で固定し、漆喰の塗付け下地とし、又、漆喰の塗付端部で剥がれやすいところには、ノレンを打付けています。
土壁材料(荒壁土、中塗土)は、一年以上前から準備し、定期的にワラを混入し、発酵とワラの追加補給・練混ぜを何度も行い、壁土としての下造りを充分行ってから使用します。
中首型の木鏝です。木鏝は金鏝に比べ、仕上面が租面になり、中塗のむら取り等に使います。
元首型と中首型の金鏝です。元首鏝は主に屋根目地漆喰塗に使用しています。中首鏝は主に壁漆喰塗の全用途に使用しています。
各種類の使用用途に合せた金鏝です。①鶴首鏝(狭い・細かいところ)、②切付鏝(入隅)、③くり鏝(凹部のくり面)、④さじ鏝(細かいところ)、⑤面引鏝(角・隅)、⑥トメサライ鏝(角・隅)