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KAJIMAダイジェスト

特集 日本の新たな大動脈 新東名高速道路

新東名高速道路の整備が進められている。
東名高速道路に並行して走るこの新たな高速道路は,
内陸側で首都圏と中部圏を結び,
日本の大動脈・東名に集中した交通需要を分散させる。
伊勢湾岸自動車道を通じて,名神高速道路や新名神高速道路で近畿圏ともつながり,
道路交通のネットワーク化を促進していく。
2012年度中には静岡県内の区間で供用が開始される予定だ。

当社はこれまで17工区で工事を担当し,新東名の建設に携わってきた。
この特集では,整備事業を進める中日本高速道路の協力を得て,
新東名建設の意義や特徴について伝える。

写真:豊田アローズブリッジ(愛知県豊田市)

豊田アローズブリッジ(愛知県豊田市):矢作川橋(PC・鋼複合上部工)西工事で,当社も施工に携わった。
伊勢湾岸自動車道の一部として既に供用されており,首都圏と近畿圏をつないでいる

図:新東名高速道路工事全容

巻頭特別寄稿 新東名の意義と道路のこれから

写真:中日本高速道路 建設事業本部 事業調整担当部長 太田睦男

中日本高速道路
建設事業本部
事業調整担当部長
太田睦男

ダブルネットワーク構築

東名高速道路が全線開通したのは1969年のことです。以来今日まで,首都圏と中部圏を結ぶ日本の大動脈として社会・経済の発展に大きく貢献してきました。しかし,供用開始から40余年を経過して,東名はいくつかの課題を抱えています。抜本的なサービス改善策として整備が進められているのが新東名高速道路です。

東名は,名神高速道路とあわせて全国の高速道路交通量の2割を担い,貨物輸送量は3割に達しています。しかし,既に交通量は飽和状態で,定時性や信頼性が低下しているのが実状です。また,老朽化も進行しており,災害などの緊急時に代替となるルートも確保できているとはいえません。

新東名の建設にあたっては,御殿場・吉原・引佐の3ヵ所に東名との連絡路を設けてダブルネットワークを構築します。新東名と東名が相互に補完し合うことで,渋滞が解消されて,不測の事態にも代替ルートが確保されます。また,東名の大規模補修が可能になります。現状では,社会・経済への影響が大きく,長期間の通行止めを行うことができないのです。ダブルネットワーク化することで,より信頼性の高い,新たな日本の大動脈が生まれます。

道路が担う役割

自動車技術が進歩して,ブレーキの自動制御で衝突を回避・軽減するプリクラッシュセーフティ・システムなど,安全に寄与する技術が次々と生まれています。それに加えて,私どもが検討しているのが“道路が運転者を支援する”ITSをはじめとするICT技術です。「新東名リーディングプロジェクト」と銘打ち,建設中の新東名で道路情報の提供や照明など様々な技術の実証実験を行っています。ドライバーが運転しやすい環境をつくり,安全を提供するのは道路の重要な役割だと思っています。

東日本大震災では高速道路に避難して被災から逃れた方々も多くいらっしゃいます。道路の盛土が津波の被害を食い止めた例もありますし,道路交通網が迅速な支援活動に寄与しました。これを受け行政でも,道路に防災機能を期待する動きがあります。防災面でも道路が担う役割は大きくなったといって差し支えないでしょう。道路の耐震設計や運営管理方法などハードとソフト両面から防災について見直しているところで,新東名にもこの成果を盛り込んでいく考えです。

誇れる技術を世界に

東日本大震災後の早い道路復旧が海外でクローズアップされたことがありますが,日本の道路技術は世界でもトップレベルであると思っています。その技術は新東名に余すところなく発揮されているわけですが,これからは海外への展開を図っていくことも高速道路事業の大きな役割だと思っています。これまでに培ってきた技術とノウハウを活かし,安全・安心・快適な高速道路を世界に広める。現在,その準備室を他の高速道路各社と共同で立ち上げています。勿論,私どもだけで成し遂げられることではありません。鹿島さんをはじめ,関係者の皆様に是非ともご協力をお願いしたいと思っています。

そのためにも,安全第一で建設工事を進めていくことが肝心です。残念なことに,近年,施工中の事故が多く見受けられています。お客様の安全・安心を第一と標榜する道路の建設で事故があってはなりません。私どももこれまで以上に注意を促していきますが,皆様にも無事故無災害に向けた不断の努力を強くお願いします。

いよいよ2012年度には新東名の部分開通を迎えます。次世代高速道路の試金石ともいえる運転しやすい高速道路です。開通の際には皆様に走行して頂き,その快適性を実感して頂ければと思っています。できる限りの早期開通をめざして,これからも事業を続けてまいります。

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