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柔軟な働き方を後押しする人事制度

働き方改革の意識も高まり,社員の働き方へのニーズも多様化している。
ここからは,当社での柔軟な働き方を支援する人事制度やその効果を,
活用している現場や社員の声とともに紹介する。

多彩な制度

当社は,社員のワーク・ライフ・バランス(以下,WLB)実現のため,柔軟な勤務やテレワーク,休暇制度(下表のとおり)など多彩な制度を設けている。

コロナ禍を契機に一時的に導入されたテレワーク(従来から育児・介護を必要とする社員には認められていた)は2022年1月の規程制定とともに恒久化した。対面によるコミュニケーションの重要性を鑑みて,回数に上限(原則8回/月かつ3回/週)を設けているが,今年10月からは時間的制約が多い育児・介護中の社員は,柔軟な働き方によって業務遂行時間を確保できること,多様な人材が活躍する環境を構築するため,テレワークの回数制限が撤廃された。

また当社は,育児,介護,配偶者の転勤など,やむを得ない事情で退職した社員が,当該事情の解消によって,当社への復職(カムバック)を希望する場合,一定条件を満たすことで復職できる「カムバック制度」も備えている。

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時間外労働削減につながる勤務制度

さらに当社では,心身の疲労蓄積の低減・回復につながる柔軟な働き方ができる制度として「勤務間インターバル※1」や「所属長裁量制」などが活用できる。

時間外労働削減にも効果的な所属長裁量制は,所属長に管下従業員の所定始業時刻以降の出社(遅出)や所定終業時刻以前の退社(早退)に関する裁量※2を付与し,業務の繁忙状況を踏まえた柔軟な働き方の推進,所定時間外労働による負担の軽減を目的とする制度だ。フレックスタイム制は,本人に始業・終業時刻を決める裁量が付与されるが,所属長裁量制は,所属長にその裁量が付与される。所属長裁量制による始終業免除は,遅刻・早退とならず,給与も減額されない。

例えば,月初めの繁忙期を越えた時,予定より早く当日作業を終えた時などに有効な制度だ。45時間を超える時間外労働が見込まれる場合には上長と相談の上,活用したい。

※1 やむを得ず長時間の残業となり,終業が深夜におよんでしまった場合,その終業時刻と次の始業時刻までの間に少なくとも9時間の継続した休息時間を与える制度。勤務間インターバルによる始業免除は,遅刻とはならず,給与も減額されない

※2 管理監督者・フレックスタイム制適用者を除く従業員に適用可能。免除は始業時刻か終業時刻に限られ,「中抜け」は不可。免除された時間の給与は,月の所定労働時間を下回らなければ減額されない

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所属長裁量制を活用する
現場から

図版:完成予想パース

完成予想パース

【工事概要】

株式会社上組
大阪支店南港R定温倉庫新築工事

場所:
大阪市住之江区
発注者:
上組
設計:
当社関西支店建築設計部
用途:
倉庫
規模:
RC造一部S造 5F 延べ24,876m2
工期:
2022年9月~2024年3月(予定)
(関西支店施工)

穀物を保管する定温倉庫を新築する。鹿島フラットスラブ工法(RC造の柱と柱頭キャピタル,およびプレストレスコンクリート造のスラブで構成される梁型の無い架構形式。耐荷重が大きく,広々とした空間を可能にする)を採用して,庫内有効を確保し,昇降路や事務所エリアを矩形の外に出した整形な倉庫空間を実現する。

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現場の声

当工事は村上竜治所長以下,5名の建築系施工管理担当者,設備系の兼務担当者2名+SA1名で現場を管理する。通常は8時の朝礼後作業開始となるが,クレーン作業の調整の都合により,7時からの早出作業もある。この早出作業に合わせ出社した三六協定の対象社員については15時に終業することを現場のルールとしている。

これまで複数の現場で所長を務めた経験を持つ村上所長は,今回当現場で初めて所属長裁量制を利用した。「当初は色々と試行を重ねましたが,所属長裁量制をうまく活用することで法定時間外労働時間を45時間以内におさめることができると確信しています」と手ごたえをつかむ。

図版

村上竜治所長

photo: takuya omura

木村周平工事主任は,「毎日通勤に片道90分程かかり,普段は仕事から帰宅すると2人の息子はもう寝てしまっていますが,早退する日は一緒に夕飯も食べられます。家族との時間がとれることはありがたいです」と話す一方で,「15時に帰路につく段階では現場は稼働中のため,特に職人さんにはお願いすることも沢山あり,申し訳ない気持ちもあります」と本音をのぞかせながらも,「気持ちの切り替えも大切です」と続けた。

図版

所属長のリーダーシップ

所属長裁量制は勤務時間の裁量を所属長が持つため,上司が部下の業務内容や量を正確に把握することや,強いリーダーシップのもとで効果を発揮する。村上所長は所員全員に毎月・毎日の業務内容についてアンケートを取り,全員に内容をオープンにしている。業務内容はゆうに100項目を超える。「お互いの業務内容を知ることで補完できる効果もありますが,上司,部下がお互いの業務を意識し,緊張感も生まれ,次のステップで自分は何をしなければならないかを知るきっかけにもなり,教育にもつながります」と語った。村上所長はさらに踏み込み,デスクワークの時間を申告制として,その申告から30分以上の乖離が発生した場合はその理由も報告するルールとした。「理由を明確化することで,さらに段取り良く仕事ができるヒントを所員に与えたいと考えています」。

図版:木村工事主任(右)。制度活用には所員同士のコミュニケーションが重要だ

木村工事主任(右)。制度活用には所員同士のコミュニケーションが重要だ

photo: takuya omura

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