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ICT・DX

施工計画・管理(工種別)

自動化・機械化

測量・計測

安全・環境

地質調査・評価

施工計画・管理(工種別)

施工・品質管理(その他共通)

PC鋼材自動緊張管理システム

PC鋼材緊張の省力化と安全性を備えたシステム

これまでのPC鋼材の緊張管理は、緊張用ポンプの圧力値と鋼材の伸び量を目視で読取り、読取った値をもとに手書きで緊張管理グラフを作成していました。鹿島が開発したシステムは、この値の読取りとグラフ作成をセンサとノートPCにより自動化することで、緊張管理の精度をこれまでの10倍に向上させるとともに、省力化および、読み取りミスなどのヒューマンエラーを未然に防止することができます。さらに、緊張作業中に作業員が伸び量計測のためにジャッキに近づく必要がなくなり、作業の安全性も向上させるシステムです。

図版:システム初期画面

システム初期画面

キーワード
PC鋼材、PC緊張、精度向上、変位センサ、圧力センサ、PLC、緊張管理グラフ、省力化、安全性、システム

PC鋼材自動緊張管理システムの概要

PC鋼材自動緊張管理システムの特徴は、圧力・変位センサの精度を、それぞれ0.1MPa、0.1mmとしており、これまでの10倍の計測精度を確保しています。なお、これらのセンサは各種定着工法への適用が可能です。計測値は、ノートPCのモニタにリアルタイムで表示されると同時に、緊張管理グラフにも計測値をプロットします。また、PC鋼材1本ごとの緊張・計測が終了するたびに、自動的に提出様式の緊張管理図とグループ管理図を描画するので、常に緊張中の状態を把握しながら作業を行うことができます。また、定着間距離が大きい場合でも作業性を損なわずに計測できるよう無線伝送機能を有しており、約200mまでワイヤレスにて計測を行うことが可能です。

図版:システム構成図(両引き仕様)

システム構成図(両引き仕様)

図版:緊張管理画面(ノートPC画面)

緊張管理画面(ノートPC画面)

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特長・メリットココがポイント

正確な緊張力の導入

油圧ホース内の圧力損失を考慮した数値を緊張管理に反映し正確な緊張力を導入できます。

  • 緊張ポンプのハンドルレバーを中立にした場合、緊張ジャッキ側で2MPa程度の圧力損失が確認されており、この差をPC緊張管理に反映することで正確な緊張力を導入することができます。

図版:油圧ホース両端部での緊張中の圧力計測結果

油圧ホース両端部での緊張中の圧力計測結果

ヒューマンエラーの防止と計測精度の向上

ヒューマンエラーの防止と計測精度向上が図れます。

  • 読取り値の見誤りや聞き間違いなど、人為的ミスを回避することができます。
  • 圧力センサ(分解能0.1MPa)及び変位センサ(分解能0.1mm)と従来よりそれぞれ10倍の精度向上となっています。

図版:緊張管理画面(ノートPC画面)

緊張管理画面(ノートPC画面)

ワイヤレスで作業性向上

通信方法を無線にすることで、有線によるケーブルの取り回しの解消と長大スパンに必要なケーブルを無くすことができ、作業性が向上します。

  • ワイヤレスで通信可能な無線伝送機能を備え、PC鋼材が長く両端部が離れている場合でも作業性が低下しません。
  • 適用試験では、最大200mのスパンまでデータ通信できることを確認しています。

図版:無線伝送装置

無線伝送装置

適用実績

図版:吉野川サンライズ大橋

吉野川サンライズ大橋

場所:徳島県徳島市

竣工年:2022年

発注者:西日本高速道路

規模:橋長1696.5m 幅員9.27m(有効幅員) 
PC15径間連続箱桁橋

図版:彼杵川橋りょう

彼杵川橋りょう

場所:長崎県東彼杵郡

竣工年:2021年

発注者:鉄道建設・運輸施設整備支援機構

規模:橋長370m 
PC2径間連続箱桁ラーメン橋3橋

図版:東京外環自動車道高谷ジャンクション橋

東京外環自動車道 高谷ジャンクション橋

場所:千葉県市川市

発注者:東日本高速道路

規模:橋長290m 幅員W9.2m PRC連続2主版桁

セグメント製作精度管理システム

設計値と計測値から出来形線形を予測し、
製作時における補正の要否を直ちに判断

プレキャストセグメント工法では、セグメントの出来形が構造物の線形に与える影響が大きいため、精度よくセグメントを製作することが重要になります。

セグメント製作精度管理システムは、製作したセグメントの出来形を計測して製作精度を管理します。また、出来形をつなぎ合わせることによって架設後の構造物の線形を予測します。

予測線形が管理限界値を超えると判断される場合には、それ以降に製作するセグメント製作値の最適計算を行って補正値を算出します。

これにより、製作時における構造物の出来形線形を計画線形により近い形に管理することを可能にします。

図版:セグメント製作時の管理システムの構築例

セグメント製作時の管理システムの構築例

キーワード
セグメント、出来形、内牧高架橋
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システムの概要

セグメント製作精度管理システムのフローを右下に示します。

本システムは、製作管理、出来形管理、線形管理の3つのパートで構成されています。

  • 製作管理では、NEWセグメント(以下、NEWと称す)を製作するためにOLDセグメント(以下、OLDと称す)と型枠のセット値を管理したり、NEWを製作したあとのNEWとOLDの相対関係を計測したりします。ここでは、計測システム、および油圧ジャッキ制御システムと連動させることにより、製作管理の自動化が可能となります。
  • 出来形管理では、セグメント1個ごとの出来形計測を行い、品質管理としての出来形調書を作成します。
  • 線形管理では、製作管理から得られたNEWとOLDの相対関係、および出来形管理から得られたセグメント1個ごとの出来形から、予想出来形線形を算定します。予想出来形線形が管理限界値を超えるようであれば、NEWの製作値を変更することにより線形補正を行います。

写真は、ショートラインマッチキャスト方式によるセグメントの製作状況です。

図版:セグメント製作状況

セグメント製作状況

図版:セグメント製作精度管理システムのフロー

セグメント製作精度管理システムのフロー

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特長・メリットココがポイント

①計測システムを油圧ジャッキ制御システムと連動させることにより、セグメント製作管理の自動化が可能となります。

②縦断線形、平面線形、ねじれの各々について、補正計算によりセグメント最適製作値を算出できます。

③線形に急激な折れ角を生じさせないように、数セグメント先まで考慮した最適製作値を算出することも可能です。

④第1セグメントの設置角度が線形全体に与える影響は大きいので、これの最適値を算出できます。セグメントを全数製作する前に最適設置角度を算出し、以後製作するセグメント最適製作値の算出に反映させることも可能です。

図版:セグメント精度管理システムの実行画面

セグメント精度管理システムの実行画面

適用実績

図版:吉野川サンライズ大橋

吉野川サンライズ大橋

場所:徳島県徳島市

竣工年:2022年

発注者:西日本高速道路

規模:橋長1696.5m 幅員9.27m(有効幅員) 
PC15径間連続箱桁橋

学会論文発表実績

  • 「内牧高架橋コアセグメントのスパンバイスパン架設」,第13回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム,2004年
  • 「第二東名高速道路 内牧高架橋の設計・施工」,プレストレストコンクリート,2006年9月

トンネル内外シームレス位置検知システム

トンネル内外に関わらず現場全体の車両運行を見える化し一元管理

トンネル工事では、複数の大型車両が坑内で稼動しており、安全の観点からクラクションを使った状況伝達など様々な対策がとられています。このような環境でお互いの位置関係を把握することは重要ですが、非GNSS環境下において、互いの位置関係を精度よくリアルタイムで把握する技術は確立できていませんでした。

本システムは、工事車両が坑内外どちらを走行しているのか自動判定し、GNSS(グローバル衛星測位システム)電波の届かない坑内においても、車両の相互位置や走行方向を正確かつリアルタイムに検知できるものです。あわせて、正確な車両の位置を見える化し現場事務所で一元管理することで、狭隘な坑内で限られた車両のすれ違い箇所を効果的に活用することや、リアルタイムな工事の進捗管理が可能となり、安全性と生産性の大幅な向上を実現するとともに働き方改革にも大きく貢献します。

図版:現場での適用状況

現場での適用状況

図版:現場事務所での車両位置モニタリング状況

現場事務所での車両位置モニタリング状況

キーワード
トンネル、屋内測位、位置検知、Wi-Fi、ビーコン、運行管理、見える化、働き方改革
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本システムの概要

本システムは、タブレット端末を利用し、坑内外を走行する全ての車両の位置をシームレスに把握し、一元管理します。坑外では、既存のタブレット端末を使った車両運行管理システム「スマートG-Safe®」の一部機能を活用してGNSSで測位する一方、坑内では、今回開発したWi-Fiとビーコン(発信機)の電波強度をハイブリッドに組み合わせた測位アルゴリズムを適用し、最大時速30kmに達する車両を正確かつリアルタイムに測位します。現在のトンネル工事では、坑内にデータ・音声通信用のWi-Fiアクセスポイントを設置することが標準となっているため、測位用に新たにアンテナを設置する必要はありません。また、坑内外走行の判定は車両に搭載するタブレット端末が自動的に行うため、システム切替え操作などは必要なく、ドライバーは運転に集中できます。

図版:坑内外シームレス位置検知のイメージ

坑内外シームレス位置検知のイメージ

特長・メリットココがポイント

坑内の安全性向上

坑内でドライバーが見るタブレット端末画面は、トンネル内部の構造をデフォルメ表示し、すれ違い箇所や交差部を判別しやすくしています。加えて、入坑中の全車両の位置・種類・走行方向を表示するため、坑内の状況を正確に把握できます。また、タブレット端末を利用してドライバーと現場管理者との双方向の通信も可能です。さらに、坑内での緊急時に、現場管理者から全ドライバーに発信する「緊急時一斉メッセージ」や、ドライバーから現場管理者と全ドライバーに発信する「緊急ボタン」の機能を備えています。

図版:坑内でのドライバー画面

坑内でのドライバー画面

車両の運搬延べ台数に応じた工事の進捗管理

本システムは、車種毎の切羽への到達回数を自動カウントできるため、トンネル掘削の進捗状況のリアルタイムかつ正確な把握が可能です。例えば、「あとダンプトラック2台でずり出しが完了」、「吹付け完了にはまだ4台のアジテータ車が必要」、といった情報を関係者間で共有できるため、よりタイムリーに次の行動に繋げることが可能となります。

図版:切羽到達回数をカウントし、トンネル掘削の進捗状況をリアルタイムに把握

切羽到達回数をカウントし、トンネル掘削の進捗状況をリアルタイムに把握
(ダンプトラック:ズリ出し、アジテータ車:吹付け)

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本システムの効果

坑内における車両の相互位置ならびに他車の種類・走行方向の正確かつリアルタイムな把握が可能なことから、坑口から坑内、坑内の交差部への進入可否などが判断しやすくなるとともに、限られた車両のすれ違い箇所を効率的に利用できるため、坑内での走行がスムーズになります。これにより、トンネル掘削の1サイクルタイムあたりの車両の待機時間が10%程度削減され、工事全体における生産性の大幅な向上を実現します。さらに、何ら操作することなく坑内外をシームレスに測位できるため、ドライバーの負担が軽減され、安全性が向上します。

適用実績

図版:平成29-32年度 日下川新規放水路工事

平成29-32年度 日下川新規放水路工事

場所:高知県高岡郡

工期:2018年1月~2021年3月

発注者:国土交通省四国地方整備局

諸元:NATM トンネル延長2,850m 幅員7.0m 掘削断面積55m2

学会論文発表実績

  • 「トンネル内外における車両位置検知システムの開発」,土木学会,第75回年次学術講演会,2020年9月
  • 「トンネル内外における車両位置検知システムの開発」,土木情報学シンポジウム,2020年9月
  • 「坑内外を走る車両位置を一元管理」,日経コンストラクション,2020.7.27号

シールド掘進管理支援システム
「KSJS®

監視データからトラブルの予兆をリアルタイムに察知・アラート発信

シールド工事では掘進中に得られる地盤情報やマシンの挙動に関するデータ等の膨大なデータを中央管理室に集約し、社員やオペレータがモニターに表示されたそれらのデータを監視しながら掘進管理を行っています。

本システムは、集約された膨大なデータを統計処理し、データの変動傾向を分析、トラブルにつながるリスクを評価・判断のうえ、予兆をアラートにより知らせると同時に、確認すべきデータ変動や対応策等を表示することによって、シールドの掘進管理をサポートするシステムです。

※KSJS®Kajima Shield Judge announce System

特許登録済
商標登録 6107339

図版:KSJS監視画面(一次警報画面)

KSJS監視画面(一次警報画面)

キーワード
シールド、トラブル回避、予兆察知、傾向分析
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システムの概要

従来からシールド工事に使用されている掘進管理システムは、主な施工管理データに上下限の管理値を設定し、設定範囲を逸脱した場合に個別に警報を発する機能を有していますが、上下限の管理値だけでは過去のデータ変動傾向が考慮されないため、警報が発報した時点では既にトラブルが発生し始めた後であり、対処が遅れてしまう可能性があります。このような事象に対し、通常は管理者やオペレータが目視により監視することで管理値の設定範囲内で変動の発見・対応を実施していますが、データが膨大であることや、複数の事象を同時に監視し、判断することが求められることから、トラブルの予兆となる変化を見落としてしまうリスクがあります。

本システムでは収集されたデータを統計処理し、データの変動傾向を分析することでトラブルにつながるデータ変動を検知し、リスクを評価・判断のうえアラートにて管理者に通知するため、見落とし等のヒューマンエラーが防止できます。また、警報と同時に確認すべきデータ変動と対応策の提案を表示するため、経験の浅い職員や作業員であっても迅速な判断および対応のサポートができます。

図版:施工管理状況

施工管理状況

図版:KSJS監視画面(通常画面)

KSJS監視画面(通常画面)

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特長・メリットココがポイント

  • 収集される膨大なデータを自動かつリアルタイムに評価・判断しアラートすることで、トラブルにつながるデータの変化の見落としを防ぎます。
  • 地盤変状・掘進不能・線形逸脱・セグメント損傷等の想定されるトラブル事象に対して、複数の施工管理データの変動を組合せ、トラブルの発生リスクを点数化し、1次・2次の警報により段階表示することで対応優先度を明示します。
  • シールド掘進中のトラブル予兆に対し、具体的なデータ変動や対応策を表示することで、経験の浅い社員や作業員の判断・対応をサポートします。

図版:KSJS監視画面(二次警報画面)とシステムの特徴

KSJS監視画面(二次警報画面)とシステムの特徴

適用実績

図版:東京都芝浦水再生センター・森ヶ崎水再生センター間連絡管建設工事その2

東京都芝浦水再生センター・
森ヶ崎水再生センター間
連絡管建設工事その2

場所:東京都大田区

竣工年:2019年3月

発注者:日本下水道事業団

規模:掘進延長2,322m 
セグメント外径Φ6,600mm 掘削外径Φ6,750mm

図版:ガス導管

ガス導管

場所:茨城県那珂郡東海村

竣工年:2020年10月

規模:掘進延長1,718m 
セグメント外径Φ2,200mm 掘削外径Φ2,360mm

学会論文発表実績

  • 「トラブル回避システムを活用した大深度海底下でのシールド掘進実績」,土木学会,第74回年次学術講演会,2019年

BIM/CIMを用いたダムの一元管理システム

ダムの施工計画・施工管理から維持管理までの一元管理システム

鹿島は、ダム建設におけるBIM/CIMモデルを用いた施工計画・施工管理データの一元管理システムを開発しました。このシステムにより、施工情報の “見える化”が可能となり、施工計画の最適化・品質向上を推進し円滑な工事進捗に貢献します。また、維持管理業務の省人化にも寄与します。

本システムは、品質管理・施工管理の情報を汎用性の高い表計算ソフトやCADソフトによって、クラウドサーバ上で一元管理します。そのため関連事業者間で迅速に情報共有ができます。

また施工時に収集される膨大な施工管理データを一元的に管理できるため、施工データのとりまとめ作業を効率化し、施工段階での省人化を可能とします。

さらに品質管理・施工管理の情報をBIM/CIMモデルに属性情報として付与でき、維持管理段階で必要な情報を容易に抽出できます。

図版:ダムのBIM/CIMモデル

ダムのBIM/CIMモデル

キーワード
ダム、BIM/CIM、情報化施工、i-Construction、品質管理、施工管理

※i-Constructionは国土交通省国土技術政策総合研究所長の登録商標です。

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「一元管理システム」の主幹となるダムカルテ

鹿島では、ダム建設における膨大な施工管理データの整理に掛かる労力を軽減するため、2007年に「ダムカルテ」を開発し、それ以降すべてのダム現場で適用しています。ダムカルテにより、コンクリートダム・フィルダム・台形CSGダム等あらゆる型式のダムにおける各施工段階の工事データを、品質記録や施工記録などに自動で分類・整理することができます。これらデータはそれぞれの施工場所と紐づけることができます。また、ダムカルテはクラウド上にデータが保存されるため、関連事業者間でリアルタイムにデータの“見える化”が可能です。

鹿島のダム建設では、このダムカルテを主幹に、既存の「基礎処理工3次元施工品質管理システム」や「コンクリート注文・製造・管理の自動化システム」を統合する「一元管理システム」によって管理された施工計画・施工管理のデータをBIM/CIMモデルの属性情報として付与します。

図版:ダムカルテの適用イメージ

ダムカルテの適用イメージ

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特長・メリットココがポイント

計画段階における「BIM/CIMモデル」の活用

BIM/CIMモデルによって施工時のデータをリアルタイムにシミュレーションすることで、道路等の仮設備の計画や関連工事との干渉の検証等、合理的な施工計画を立案できます。

  • 関連事業者間が共通のイメージ・認識を持つことが可能
  • 完成イメージを掴むことでスピーディな比較検討が可能

図版:全体施工シミュレーション

全体施工シミュレーション

施工段階における「一元管理システム」の活用

工事情報は、スマートデバイスにより現場にいながらクラウド上の「一元管理システム」に登録できます。また、必要な帳票や図表を自動生成し作業の効率化・省人化に繋がります。

  • クラウドサーバ上でデータを管理するため、データをリアルタイムで共有可能
  • 工事情報の入力情報を基に、帳票や分析に必要な図表(一覧図、管理図、ヒストグラムなど)を自動生成可能
  • 鹿島のダム工事において、一日あたり2時間以上費やしていた施工管理データの整理作業を30分程度まで削減でき、0.22人工/日の省人化を確認

図版:工事データのクラウドを用いた管理

工事データのクラウドを用いた管理

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「一元管理システム」と「BIM/CIMモデル」の連携による維持管理への活用

一連の施工管理データは「一元管理システム」により、BIM/CIMモデルの属性情報として連携が可能です。

  • 施工管理データ(工事計画、品質管理、施工管理、出来形管理、計測管理など)の一元管理が可能
  • 維持管理で必要な工事情報はBIM/CIMモデルを介して視覚的に容易に検索・抽出可能

図版:一元管理システムの活用による維持管理業務の効率化

一元管理システムの活用による維持管理業務の効率化

適用実績

図版:ICT・DX

鹿島では施工する全てのダムにおいて標準的に採用しています。

学会論文発表実績

  • 「クラウド型仮想デスクトップサービスによる工事管理」,土木学会,第72回年次学術講演会,2017年9月
  • 「CIM・ICT施工の取組み ダム建設工事での適用例」,ARIC情報,2017年3月
  • 「建設会社における情報化施工の最前線」,コンクリート工学,Vol.50 No.9,2012年9月
  • 「3次元CADシステムによるダム工事の情報化施工」,土木学会誌,Vol.79,1994年10月
  • 「ダム堤体情報化設計施工CADシステムの開発」,電力土木,No.241,1992年9月

基礎処理工3次元施工品質管理システム

岩盤内の水みちとなる割れ目の迅速な3次元モデル化により、
合理的な注入管理を可能に

ダム工事における基礎処理工の品質管理方法として、「岩盤内の割れ目」に着目した施工データの評価が重要となってきています。この際、水みちとなる割れ目の性状、分布、連続性の立体的な把握が必要で、また、それらを注入管理に反映させるためには、パイロット孔から得られる地質データを基に迅速に地質情報の見える化を行うことが必要です。

鹿島では、割れ目の3次元的情報を定量的に自動かつ迅速に抽出し、それらを施工情報とともに一元管理するシステムを開発しました。これにより水みちとなる割れ目分析の客観化・省力化ができ、情報の見える化により確実な注入管理が可能になります。

特許出願中

図版:3次元割れ目モデルとグラウト注入情報の重ね合わせ

3次元割れ目モデルとグラウト注入情報の重ね合わせ

キーワード
割れ目、ダム、基礎処理工、カーテングラウト、孔壁展開画像

3次元施工品質管理システムの概要

水みちとなる割れ目を評価するためには、従来は専門の地質技術者による膨大な3次元データの処理・分析が必要であり、多大な時間と労力を要していました。本システムでは施工過程で得られるパイロット孔の孔壁展開画像を活用することで、岩盤内部の割れ目情報の抽出・連続性判定を自動的、かつ迅速に行うことが可能になりました(開発①、開発②)。さらに、自動的に得られた3次元割れ目モデルに、グラウト施工情報を統合し可視化するシステムを活用することで、施工へ迅速なフィードバックが行えるため、基礎処理工の品質を確保することができます(開発③)。

図版:本システムを用いた基礎処理工の品質管理フロー

本システムを用いた基礎処理工の品質管理フロー

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特長・メリットココがポイント

開発① 割れ目情報自動抽出技術

パイロット孔のBTV調査で得られる孔壁展開画像に対して画像解析を行うことで、割れ目の3次元情報を自動的に抽出します。

  • 孔壁展開画像から、短時間で割れ目を自動抽出
  • 割れ目の交差深度の他に、割れ目の属性情報(走向、傾斜、開口幅、色情報)が取得可能
  • 画像解析データを基に客観的な抽出が可能

図版:孔壁展開画像を用いた割れ目情報の自動抽出方法

孔壁展開画像を用いた割れ目情報の自動抽出方法

開発② 割れ目の連続性判定技術

得られた割れ目の属性情報を基に、隣接孔の全割れ目に対する連続性判定を自動で行い、連結した3次元割れ目モデルを作成します。

  • 連続性の判定指標は、面間距離、交差角度、割れ目幅、色といった属性情報から任意に選択可能
  • 割れ目の連続性に対する客観的な判定が、短時間で可能

図版:割れ目の連続性判定結果

割れ目の連続性判定結果

開発③ 3次元的統合・可視化技術

多様で膨大な施工情報や地質情報を統合し、3次元で可視化することで基礎処理工の一元管理を行います。

  • 地形・構造物の3次元モデルの構築
  • 管理日報に基づくルジオン分布と3次元割れ目モデルとの統合
  • 管理日報・コア写真等の施工資料とのリンク
  • 任意の段階で必要な施工関連情報が3次元的に可視化でき、割れ目への注入の過不足の管理が可能

図版:施工関連情報および割れ目データの三次元統合化

施工関連情報および割れ目データの三次元統合化

適用実績

図版:大分川ダム建設(一期・二期)工事

大分川ダム建設(一期・二期)工事

場所:大分県大分市

竣工年:2019年11月

発注者:国土交通省九州地方整備局

規模:中央コア型ロックフィルダム 堤高91.6m 堤頂長400m 堤体積387万m3

学会論文発表実績

  • 「ダム基礎処理工の透水性に関わる三次元施工品質管理システムの開発」,第46回岩盤力学に関するシンポジウム講演集,pp.25-30,2019年
  • 「大分川ダム基礎処理工への3次元施工品質管理システムの適用」,日本応用地質学会平成30年度講演論文集,pp.135-136,2018年
  • 「ダム基礎処理工における三次元施工品質管理システムの開発」,土木学会第73回年次学術講演会,Ⅵ-1058,2018年

シールド掘進管理の見える化
「KaCIM’S®(カシムズ)」

CIMを活用してシールド工事の掘進管理を”見える化”する
掘進・組立シミュレーションおよび作業指示書作成システム

熟練オペレータや経験豊富な社員が不足する中、シールドトンネルが長大化し、これまで以上にシールド工事の安全・品質を確保したうえで生産性の向上が求められています。そうした中、高品質のトンネル(線形・内空・出来形品質を確保した高水密・高耐久の覆工)を構築するため、これまで熟練技術者の「暗黙知」によるところの大きかった掘進管理手法を見直す必要があります。

そこで、CIMを活用してシールド掘進・セグメント組立計画を3次元モデルで即時に可視化し、デジタル掘進組立指示書を作成するシールド工事の掘進・組立計画支援システム「KaCIM’S」を開発・実用化しました。

※KaCIM’S:Kajima Construction Information Modeling /Management Shield System

特許登録済

図版:KaCIM’S画面例

KaCIM’S画面例

図版:運用状況

運用状況

キーワード
シールド、CIM、線形管理、シミュレーション、生産性向上
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従来工法との比較

従来の線形管理手法は、先ずトンネル内の測量結果を方眼紙へ記録します。前日の測量結果からどのように推移したかを管理するため、ロール状の方眼紙を用い、現在の位置・前日からの推移状況から翌日の掘進計画を立案します。計画ができたら、指示書へ記載します。これらの作業は、すべて手作業の為に時間を要し、計画立案も経験者の「暗黙知」によるところが多いものでした。

KaCIM’Sでは、掘進計画から指示書作成を一つのシステムで行う事が可能です。指示書作成も、掘進方位などの必要情報を入力するだけで、掘進計画のシミュレーションが行われ、蛇行量やクリアランス、余掘り量を定量的かつ即座に3次元モデルで図化して将来予測の妥当性を確認することができます。従来手法ではできなかったリアルタイム図化・確認が行えるため、経験の浅い技術者でも、検討時間の短縮と計画精度の向上が図れます。

図版:3Dシミュレーションシステム画面

3Dシミュレーションシステム画面

図版:クリアランス表示例

クリアランス表示例

図版:余掘り軌跡表示例

余掘り軌跡表示例

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特長・メリットココがポイント

生産性向上

  • 従来の手作業による計算・図化に対し、自動演算・3次元モデル図化、および指示書作成までが1システムで可能なため、計画立案・指示書作成の大幅な効率化を達成(50%の時間短縮)
  • 掘進管理の「暗黙知」をデジタルデータとして記録・蓄積・分析することで、将来的なシールドマシン自動制御に貢献

図版:時間短縮効果(分)

時間短縮効果(分)

出来形品質の向上

  • 掘進・組立指示書の2次元・3次元でのシミュレーション結果の見える化により、計算ミスや入力ミスを容易に確認でき、ヒューマンエラーを防止
  • 計画と実績との差異をデジタルデータとして記録・蓄積・分析することで、掘進計画のPDCAサイクルによるフィードバックの迅速化

図版:品質向上効果

品質向上効果

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適用実績

図版:ガス導管

ガス導管

場所:茨城県東海村

竣工年:2020年10月

規模:掘進延長1,718m 
セグメント外径Φ2,200mm 掘削外径Φ2,360mm

図版:上北沢シールド工事

上北沢シールド工事

場所:東京都世田谷区

竣工年:2022年12月予定

発注者:東京都水道局

規模:泥水式シールド 
掘進延長1,863m 最小曲率R=35m 
セグメント外径Φ2,000mm 掘削外径Φ2,130mm

学会論文発表実績

  • 「シールド掘進管理の見える化と生産性向上への挑戦」,土木学会関東支部,2019年
  • 「CIMを活用した掘進シミュレーションシステムの実用」,土木学会全国大会,2019年
  • 「シールド工事の掘進管理を“見える化”するKaCIM’S を開発適用」,建設機械施工,2020年

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