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ZEB・省エネルギー

鹿島が考えるエコオフィス

エコオフィスを実現する鹿島の知恵を紹介します。

2011年の東日本大震災以降、オフィス環境を取り巻く社会情勢は大きく変わりました。それまでに求められていた省CO2の推進や、温暖化防止のための脱化石燃料の流れに加え、ピーク電力の削減や再生可能エネルギー導入の加速など、エネルギーに関連する課題が複雑化しています。さらには、大規模地震時の緊急時対応といった防災対策についても重要度が高まり、オフィスに求められる課題が増加しています。

これらの社会背景は、オフィスビルにどのような影響を与えているのでしょうか。それは、省エネルギーの一層の推進、平時における「確実な節電」、そして事業継続のためのBCP/LCP支援などを含む不動産価値の向上という新たなニーズが注目されています。

鹿島では、お客様のオフィスの状況や投資対効果の視点から、様々なソリューションをご提供しています。鹿島が考える新しいオフィスのあり方を実現する5つの知恵をご紹介します。

  • まずはここから始めよう! 見える化、BEMS、エネルギーフォルト検知
  • ストレス無しで20%削減できる!? 快適性を損なず「スマートな節電」
  • 努力の節電からビルが自分で節電! 鹿島スマート電力マネジメントシステム
  • リニューアルでここまで省エネ! 既存ビルをZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化
  • 非常時でも安心! 複数建物間で連携 スマートエネルギー ネットワーク
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まずはここから始めよう!

見える化、BEMS、エネルギーフォルト検知

節電対策を講じる際には、建物内の設備機器がどれだけのエネルギーを消費しているか、実態を把握することが何より重要です。
2011年夏の節電要請において、鹿島が本社ビルで取り組んだ使用電力量の把握についてご紹介します。

図:見える化、BEMS、エネルギーフォルト検知

使用電力の把握は、ビルエネルギー管理システム:BEMS(Building Energy Management System)を使うことで容易にできます。鹿島は業界に先駆けてこのシステムを採用。長年培ったノウハウを活かし、効率的にデータを分析するためエネルギーの無駄使いを見逃しません。

BEMSを最大限に活用し、建物の長期にわたる効果的な省エネ、維持管理の合理化、室内環境の向上を可能にします。

図版:使用電力量の現状分析結果

使用電力量の現状分析結果

左のグラフは、鹿島本社ビルを対象に設備機器別に電力消費量を分析した結果です。「空調設備」や「照明設備」が大きな割合を占めていることが分かります。

就業時間中の空調と照明が消費電力の大半を占めており、エネルギー消費の削減では、この二つを中心に検討することになりました。

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電力消費量の実態は、各設備機器にメータを付けることで把握ができ、投資額も少なく実行できます。鹿島では、これらのエネルギー情報を自動で収集し、グラフなどで「見える化」するだけでなく、得られたデータから無駄や削減余地を自動で抽出する技術、エネルギーフォルト検知を保有しています。

エネルギーフォルト検知は、いわばオフィスのドクターであり、不具合を自動検知し、早期治療すべく改善策をご提案します。

ストレス無しで、20%削減できる!?

快適性を損なず「スマートな節電」

電力消費量の実態を把握したら、次に節電目標値の設定を行います。鹿島が2011年の夏、本社で実施した節電対策をご紹介します。あわせて、節電対策と従業員の満足度・不満足度の関係を調査した結果についてもご報告します。

図版:削減効果グラフ

2011年夏の緊急節電時、東京、東北電力管内の大口需要家に対してピーク電力15%の削減を義務付けました。
鹿島では、本社ビルにおいて17%の削減目標をたてたところ、快適性を確保した状態で26%の削減を達成することができました。

削減達成理由はBEMS(ビルエネルギー管理システム)の活用です。

図版:2010年のピーク日の電力使用量の実績値

2010年のピーク日の電力使用量の実績値
(2010/7/20)

図版:2011年のピーク日の電力使用量の実績値

2011年のピーク日の電力使用量の実績値
(2011/8/11)

鹿島本社ビルに導入したビルエネルギー管理システム:BEMSにより、各設備機器にて消費された電力量を把握することができます。上のグラフに示すように、BEMSデータを分析することで、2010年のピーク日において、建物全体の消費電力量に対して、『空調』『専有部照明』『共用部照明』の占める割合が大きいことが分かりました。これらの割合の大きい項目を主体とした節電対策を実行したことで、ピーク時に26%の電力削減を達成しました。

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省エネのための取組み(鹿島本社ビル編)

鹿島本社ビル(2007年竣工)では、次世代のワークスタイルに適応しハイレベルな執務空間を実現すべく、以下の省エネルギーシステムを採用しています。

図版:省エネのための取組み(鹿島本社ビル編)

タスクアンビエント照明

事務室全体に人感センサーと明るさセンサーを設置して、調光機能により適度な明るさとなるよう配慮しています。照明スイッチはなく、3.6mのモジュールごとに照明制御を行っています。

タスクアンビエント空調

マルチパッケージ方式(冷暖フリータイプ)で、快適性・経済性・個別制御性を向上させています。人感センサーを用いて不在エリアの空調を停止し、省エネ化を推進。ワイヤレスサーモにより居住域の温熱環境をきめ細かく計測制御します。

自然換気システム

サッシの給気口から屋内階段を縦シャフトに使った最上階排気の自然通気ルート。夜間、室内に溜まった熱気を排出するナイトパージと中間期の外気を導入しています。

ハイブリッド蓄熱システム

氷蓄熱型のビル用マルチの採用と併せて、躯体蓄熱を採用することで、より一層の電力需要の平準化を図ります。躯体蓄熱は、ビル用マルチの室外機を利用しており、汎用性と実効性を兼ね備えた経済的な蓄熱システムを実現します。

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ストレスの無いオフィス環境と節電を両立させるための調査

建物内の電力消費量の多くを占める「空調」「照明」を中心とした設定変更により効果的に節電することができますが、温度設定を上げたり、照度を下げることは、オフィス環境に大きな影響を与えてしまいます。そこで、執務者にとってストレスの無いオフィス環境と節電を両立させることを調査すべく、節電対策の際、社員を対象にアンケートを行いました。

図:ストレスの無いオフィス環境と節電を両立させるための調査

調査の流れは大きく3つのフェーズに分かれています。まず、「事前の節電効果量予測」を行い、節電環境時の「実験・調査」を実施、最後に「アンケート分析による生産性」および「電力消費量」を評価しました。事前の節電効果量の予測では、室内の「温度」や「照度」、「外気量」などの設定値の組み合わせを想定し、どのケースがどの程度、電力量を削減するのかを試算しました。

次のグラフはアンケートの集計結果です。

図:アンケートの集計結果

調査では、光、空気質、温熱環境の変化が、執務者の満足度に与える影響を分析し、①照度の変更は執務者の満足度に大きな影響を与えないこと、②温度の変更は、上昇するに従って不満足者率が大幅に増加すること、③空気質環境はCO2濃度の増加に伴い不満足者が増加することが分かりました。

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図:光・温熱・空気質環境満足度(総合)

こうした調査結果で節電アクションの優先順位を設定します。空調や照明などの設備機器のレベル設定に活用し、オフィスの快適性を保ったまま、効果的な節電を行うのに役立てています。

鹿島では、実験結果やノウハウを活用し、独自のデマンドレスポンスである「鹿島スマート電力マネジメントシステム」を開発し、2012年の節電にフィードバックさせています。今後は、お客様のオフィスビルのエネルギー消費削減にもこうした技術を提案していきたいと思います。

努力の節電からビルが自分で節電!

鹿島スマート電力マネジメントシステム

鹿島が開発、現在運用ならびに検証を行っている「鹿島スマート電力マネジメントシステム」は、ビルが自動で節電を行い、ピーク電力の20%以上の節電を可能とする画期的なシステムです。

震災以前は電力が安定的に供給されることを前提に、需要側は省エネやCO2削減を行ってきましたが、今後は節電要請や、電力料金体系の変更を事前に考え、執務者の快適性を損なわずに使用電力を合理的に制御する「デマンドレスポンス」への適用が求められています。

デマンドレスポンス=Demand(需要)Response(応答)
電力網における需要(特にピーク時)に応答して需要家が電力消費を低減したり、他の需要家に余剰電力を供給したりすること、またはそのような仕組みを指す。将来、電力会社が電力需要に応じた柔軟な料金制度(ダイナミックプライシング)を導入した場合、需要家は需要の調整により料金メリットを受けることが可能となる。

図:鹿島スマート電力マネジメントシステム

鹿島は、電力のピークをビル側で自動的に制御して、ピーク電力の20%以上の節電を可能とする「鹿島スマート電力マネジメントシステム」を開発し、自社ビルである鹿島赤坂別館に導入しています。電力ピーク時の全自動節電制御を、既存の建物に導入したのは国内で初めてです。 このシステムでは、過去の電力需要、天気予報に基づき、日々の電力需要を予測。予測に基づき、電力供給量や電力単価に応じて、建物内の部屋、設備ごとの電力消費をビルが自動でコントロールします。従来のデマンドレスポンスシステムでは、室内環境は配慮していませんでしたが、本システムでは室内環境をモニタリングしながら節電をコントロールします。

システムの特長
  • 鹿島の豊富な省エネ技術と、2011年の節電対策に対する調査結果に基づき、制御ロジックを構築
  • 執務者の快適性を損なうことなく確実な節電を行い、電力ピーク時で20%以上の節電が可能
  • ダイナミックプライシング(時刻別電力料金設定)に対応した任意時間帯、節電量の設定が可能
  • 新築建物以外に、中央監視、空調・照明制御を備えた既存建物にも導入が可能

図版:鹿島赤坂別館

鹿島赤坂別館

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例えば13時から16時までの間を制御時間帯として設定した場合、この時間帯になるとシステムが作動し、各種機器の運転を自動制御します。これにより、ピーク時の消費量を削減することができます。
機器の制御レベルは3段階に設定され、「レベル1」では、執務に直接影響のない調整、「レベル2」は、知的生産性に直接影響のない調整、「レベル3」は、快適性に直接影響のない調整で、機器の運転状況を変えることができます。

図版:デマンドレスポンス実行

また、お客様のニーズに合わせ、一定の電力をピークカットする「デマンド レスポンス モード」もしくは、年間を通じて一定の電力をカットする「省エネ 節電モード」を選択することができます。

図:制御モード切替

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リニューアルでここまで省エネ!

既存ビルをZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化

既存オフィスビルにおける省エネ・CO2削減リニューアル工事の標準モデルとして、鹿島KIビルのZEB(ゼロエネルギービル)化をご紹介します。

鹿島KIビル6階の専有部約500m2を夏期休暇9日間で改修

鹿島KIビルはインテリジェントビルの先駆けとして建設され、完成から23年が経過しました。今回のリニューアルでは、既存ビルのZEB化に着目し、6階の半分のフロア(500m2)に居ながら® リニューアル工事を行いました。

夏季休暇中の9日間で工事が完了するため、引っ越し等の煩雑な作業は必要ありません。高効率な空調システムの導入、照明・空調の制御(センシング)、太陽光発電による電力マネジメントなどを行うことにより、一般オフィスと比較してエネルギー消費量50%削減を目標とした実証実験に取り組んでいます。

このプロジェクトは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「省エネルギー革新技術開発事業(電力需給緊急対策)」より助成を受けた「次世代電力マネジメントシステムを活用した既存オフィスのZEB化技術の研究開発」の一環として実施。

※「居ながら®」は、鹿島の登録商標です。

図:鹿島KIビル6階の専有部約500m2を夏期休暇9日間で改修

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図版:消費エネルギー50%削減を目標

消費エネルギー50%削減を目標
  1. 空調システムによる削減  14%
  2. 照明/空調センシングによる削減  11%
  3. 電力マネジメントによる削減  21%
  4. ワークスタイルによる削減  4%
鹿島KIビルで導入された技術

鹿島KIビルでは、オフィスの一部を居ながらリニューアル工事を行い、一般オフィスと比較して50%削減を目標とした実証実験を行っています。適用する技術は、各種メーカーの協力のもと様々な新技術を開発し、運用の検証を進めています。

図版:対流促進型放射空調システム

対流促進型放射空調システム

対流促進型放射空調システム
(協力:ダイキン工業)

対流効果と放射効果を併せ持つ空気放射型空調システム。新開発のヒートポンプデシカントパッケージの採用により、湿度を専用で処理することで省エネを図ります。汎用のビル用マルチエアコンのパンチング吹出口は、熱伝達率の高いアルミ製の多孔板で形成しています。

図版:パンチング吹出口

アンビエントLED照明システム
(協力:パナソニック)

人の視野の明るさに配慮した「アンビエントLEDグリッド照明」を開発しました。照明器具に設置された反射板により天井面を照らすことで、空間の明るさ感を確保しています。タスク照明との併用により、机上の作業面での照度はしっかりと確保できます。

図版:アンビエントLED照明システム

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人密度検知人感センサーによる
空調・照明制御システム(共同研究:オムロン)

従来と比べ、きめ細やかな検知範囲と精度により在室人員の密度まで検知できる人感センサーを開発しました。在/不在だけでなく混雑度に応じた調光、消灯、空調制御を行います。

図版:人密度検知人感センサーによる空調・照明制御システム

スマートフォンを利用した
省エネワークスタイルの検証と最適化

環境測定やスマート端末を用いた行動モニタリング、アンケート手法を利用し、導入技術がワークスタイルや知的生産性に与える影響について検証しています。

図版:スマートフォンを利用した省エネワークスタイルの検証と最適化

エネルギーの
リアルタイム見える化システム

省エネシステムと人とをつなぐインターフェースとして、照明や空調、コンセント等のエネルギー消費量の情報を在室者に提供します。省エネ行動を誘発し、さらにどれだけ省エネに結びつくかを検証します。

図版:エネルギーのリアルタイム 見える化システム

再生可能エネルギーのスマート電力
充放電制御システム(共同研究:日立製作所)

電力需要の安定化のために太陽光発電装置とリチウムイオンバッテリーを導入し、電力の充放電を最適にコントロールします。不安定な自然エネルギーを活用するための技術であり、緊急的な節電に備えるのにも有効です。

図版:再生可能エネルギーのスマート電力充放電制御システム

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非常時でも安心! 複数建物間で連携

スマートエネルギー ネットワーク

複数の建物間でエネルギーの有効活用と自立性を目指す「スマートエネルギーネットワーク」を紹介します。

震災以降、エネルギーインフラをはじめとする社会基盤の継続性に対する意識が高まってきています。鹿島では、自社開発の大型複合施設である「東京イースト21」に、施設内のエネルギーと電力の面的融通と自立性を目指した「スマートエネルギーネットワーク」を構築します。建物間でのエネルギーネットワークを構築することで、あらゆる災害停電時にもオフィス専有部に対して、安定的に電力を供給することができるようになります。

図版:オフィス・ホテル・商業施設で構成された「東京イースト21」

オフィス・ホテル・商業施設で構成された
「東京イースト21」

所在地:東京都江東区東陽
建物用途:ホテル、事務所、商業施設
敷地面積:33,070m2
総延床面積:141,803m2 (ホテル棟:35,500m2
オフィス棟:44,200m2、商業棟:28,500m2
モール:5,200m2、駐車場棟:28,400m2

図:スマートエネルギーネットワーク

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東京イースト21は、約33,000m2の敷地にオフィス棟、ホテル棟、ビジネスセンター棟から構成される複合施設です。導入するスマートエネルギーネットワークは、ビジネスセンター棟の屋上にガスコージェネレーションを新規設置し、ガスによる発電比率を上げ、エネルギー源を多様化すると同時に、非常電源をテナントに供給することで、災害時の電源安定性を向上させます。平常時にガスコージェネレーションは施設全体で有効に利用し、万一の停電時には自動的にオフィス棟に供給するものです。さらに、太陽光発電パネル・蓄電池を追加で設置し、各建物のエネルギー自立化を促進させます。

システムの特長
  1. 電力供給の多様化、信頼性向上
    地震時の供給停止リスクの低い中圧ガスを利用したBOS対応高効率コージェネレーションシステムをビジネスセンター棟(地上4階建)屋上に設置し、さらに浸水リスクを回避したオールリスク対応を目指します。ガスによる発電比率が施設全体の1/4を占めるようになります。また、非常用自家発電設備も含めますと現在の契約電力に対し、約90%の自立化が実現できます。

  2. 複数の建物間における電気と熱の有効利用
    オフィス、ホテルなど熱や電気の需要パターンの異なる複合用途の建物間で、電気と廃熱を含む熱エネルギーを無駄なく、かしこく融通し合いながら利用します。ガスエンジンシステムなどから発生する廃熱を利用し、廃熱利用冷凍機を新設し冷暖房に供給することにより、省エネルギー率が20%向上します。

  3. BCP対応として非常時の電源自立化を推進
    オフィス棟専有部のコンセントや照明などにも、事業継続に必要な約20VA/m2の非常時電源供給を可能にします。

  4. 電力とエネルギーの見える化
    電力やエネルギーの利用状況や施設全体のエネルギー融通をICT(情報通信技術)によりリアルタイム表示、省エネ行動を推進します。

  5. 再生可能エネルギー利用
    太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組合せ、スマートに再生可能エネルギーを活用し、環境負荷の低減を行います。

※BOS:Black Out Start 停電時に自動でコージェネレーションシステムを立ち上げる機能

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