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BIM/CIMを用いたダムの一元管理システム

ダムの施工計画・施工管理から維持管理までの一元管理システム

鹿島は、ダム建設におけるBIM/CIMモデルを用いた施工計画・施工管理データの一元管理システムを開発しました。このシステムにより、施工情報の “見える化”が可能となり、施工計画の最適化・品質向上を推進し円滑な工事進捗に貢献します。また、維持管理業務の省人化にも寄与します。

本システムは、品質管理・施工管理の情報を汎用性の高い表計算ソフトやCADソフトによって、クラウドサーバ上で一元管理します。そのため関連事業者間で迅速に情報共有ができます。

また施工時に収集される膨大な施工管理データを一元的に管理できるため、施工データのとりまとめ作業を効率化し、施工段階での省人化を可能とします。

さらに品質管理・施工管理の情報をBIM/CIMモデルに属性情報として付与でき、維持管理段階で必要な情報を容易に抽出できます。

図版:ダムのBIM/CIMモデル

ダムのBIM/CIMモデル

キーワード
ダム、BIM/CIM、情報化施工、i-Construction、品質管理、施工管理

※i-Constructionは国土交通省国土技術政策総合研究所長の登録商標です。

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「一元管理システム」の主幹となるダムカルテ

鹿島では、ダム建設における膨大な施工管理データの整理に掛かる労力を軽減するため、2007年に「ダムカルテ」を開発し、それ以降すべてのダム現場で適用しています。ダムカルテにより、コンクリートダム・フィルダム・台形CSGダム等あらゆる型式のダムにおける各施工段階の工事データを、品質記録や施工記録などに自動で分類・整理することができます。これらデータはそれぞれの施工場所と紐づけることができます。また、ダムカルテはクラウド上にデータが保存されるため、関連事業者間でリアルタイムにデータの“見える化”が可能です。

鹿島のダム建設では、このダムカルテを主幹に、既存の「基礎処理工3次元施工品質管理システム」や「コンクリート注文・製造・管理の自動化システム」を統合する「一元管理システム」によって管理された施工計画・施工管理のデータをBIM/CIMモデルの属性情報として付与します。

図版:ダムカルテの適用イメージ

ダムカルテの適用イメージ

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特長・メリットココがポイント

計画段階における「BIM/CIMモデル」の活用

BIM/CIMモデルによって施工時のデータをリアルタイムにシミュレーションすることで、道路等の仮設備の計画や関連工事との干渉の検証等、合理的な施工計画を立案できます。

  • 関連事業者間が共通のイメージ・認識を持つことが可能
  • 完成イメージを掴むことでスピーディな比較検討が可能

図版:全体施工シミュレーション

全体施工シミュレーション

施工段階における「一元管理システム」の活用

工事情報は、スマートデバイスにより現場にいながらクラウド上の「一元管理システム」に登録できます。また、必要な帳票や図表を自動生成し作業の効率化・省人化に繋がります。

  • クラウドサーバ上でデータを管理するため、データをリアルタイムで共有可能
  • 工事情報の入力情報を基に、帳票や分析に必要な図表(一覧図、管理図、ヒストグラムなど)を自動生成可能
  • 鹿島のダム工事において、一日あたり2時間以上費やしていた施工管理データの整理作業を30分程度まで削減でき、0.22人工/日の省人化を確認

図版:工事データのクラウドを用いた管理

工事データのクラウドを用いた管理

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「一元管理システム」と「BIM/CIMモデル」の連携による維持管理への活用

一連の施工管理データは「一元管理システム」により、BIM/CIMモデルの属性情報として連携が可能です。

  • 施工管理データ(工事計画、品質管理、施工管理、出来形管理、計測管理など)の一元管理が可能
  • 維持管理で必要な工事情報はBIM/CIMモデルを介して視覚的に容易に検索・抽出可能

図版:一元管理システムの活用による維持管理業務の効率化

一元管理システムの活用による維持管理業務の効率化

適用実績

図版:ダム技術

鹿島では施工する全てのダムにおいて標準的に採用しています。

学会論文発表実績

  • 「クラウド型仮想デスクトップサービスによる工事管理」,土木学会,第72回年次学術講演会,2017年9月
  • 「CIM・ICT施工の取組み ダム建設工事での適用例」,ARIC情報,2017年3月
  • 「建設会社における情報化施工の最前線」,コンクリート工学,Vol.50 No.9,2012年9月
  • 「3次元CADシステムによるダム工事の情報化施工」,土木学会誌,Vol.79,1994年10月
  • 「ダム堤体情報化設計施工CADシステムの開発」,電力土木,No.241,1992年9月

振動ローラによる締固め管理システム

全地球衛星測位システム(GNSS)を利用した振動ローラ締固め管理システム

本システムは、RTK-GNSS測位法を利用した締固め機械の転圧回数管理システムです。

振動ローラの位置と各部の実転圧回数を段階的に色分けして、キャビン内のパソコンにリアルタイムで表示することで、締固め回数の過不足とその位置をオペレータが現場で把握することができます。また複数台の振動ローラを使用し施工している場合、お互いに他機が実施した転圧情報を共有することが可能で、複数の振動ローラで大量の施工を行う場合でも過不足のない転圧回数を維持継続することができます。

RTK-GNSS:測りたい移動局(未知点)の他に位置が分かっている固定局(既知点)を必要とする相対測位方式で、位置情報と誤差情報をリアルタイムに算定し移動局の測位を行う。

大分川ダム:令和元年度土木学会賞 技術賞(Ⅰグループ)

小石原川ダム:令和2年度土木学会賞 技術開発賞(遮水性盛土の総合的な品質管理法の開発)

図版:システムイメージ図

システムイメージ図

キーワード
GNSS測量、RTK-GNSS、振動ローラ、締固め管理システム、転圧回数、品質向上

本システムの特長と主要構成機器

転圧管理

  • 常時、現場で転圧回数の過不足を確認できます。
  • 転圧データの共有化を図れます。
  • 複数台の振動ローラ複数による同時施工においても、過不足のない転圧回数を維持継続できます。

図版:システム構成図

システム構成図

図版:システム主要構成機器

システム主要構成機器

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本システムの機能

転圧回数管理

締固め回数を色で区別し、リアルタイムにモニタ表示することができます。

図版:転圧回数管理画面/3D-CADによる転圧管理帳票

転圧回数管理画面/3D-CADによる転圧管理帳票

転圧データの共有化

複数台の振動ローラを使用する場合、他機の実施した転圧情報をリアルタイムに共有することが可能で、全施工エリアに対して過不足のない転圧回数を維持継続することができます。

図版:システム構成図

システム構成図

適用実績

図版:胆沢ダム

胆沢ダム

場所:岩手県奥州市

竣工年:2013年11月

発注者:国土交通省東北地方整備局

規模:堤体積1,350万m3

図版:湯西川ダム

湯西川ダム

場所:栃木県日光市

竣工年:2012年9月

発注者:国土交通省関東地方整備局

規模:堤体積103.2万m3

図版:殿ダム

殿ダム

場所:鳥取県鳥取市

竣工年:2012年1月

発注者:国土交通省中国地方整備局

規模:堤体積211万m3

図版:新東名高速道路牧平

新東名高速道路牧平

場所:愛知県岡崎市

発注者:中日本高速道路

規模:掘削153万m3 盛土80万m3

図版:五ケ山ダム堤体建設工事

五ケ山ダム堤体建設工事

場所:福岡県那珂川市

竣工年:2018年3月

発注者:福岡県

規模:重力式コンクリートダム 堤高102.5m 
堤頂長556m 堤体積93.5万m3

図版:大分川ダム建設(一期・二期)工事

大分川ダム建設(一期・二期)工事

場所:大分県大分市

竣工年:2019年11月

発注者:国土交通省九州地方整備局

規模:中央コア型ロックフィルダム 堤高91.6m 堤頂長400m 堤体積387万m3

図版:小石原川ダム本体建設工事

小石原川ダム本体建設工事

場所:福岡県朝倉市・東峰村

竣工年:2021年3月

発注者:水資源機構

規模:ロックフィルダム 堤高139m 
堤頂長約550m 堤体積約830万m3

ドローンによるレーザ測量

基準点を設置することなく、短時間に高精度な測量データを取得

土木工事現場での測量は、従来、光波測量器やGNSS測量器によるものが一般的でしたが、近年では、高精度に測量が可能で3次元図面を出力できる3D地上レーザ測量が普及しています。また、ドローンによる写真測量の実績も増え、精度も向上しています。しかし、写真測量では、高低差のある複雑な地形や、樹木がある場合などに精度の高い測量データを得ることが難しく、課題となっていました。

鹿島では、日本で初めてドローンに3Dレーザスキャナを搭載して大分川ダム堤体で計測を実施。高密度・高精度のデータを得ることに成功しました。

なお、本システムは、ニコン・トリンブル、ルーチェサーチとの共同開発です。

特許登録済

図版:大分川ダム堤体を計測中のレーザスキャナを搭載したドローン

大分川ダム堤体を計測中のレーザスキャナを搭載したドローン

図版:レーザスキャナを搭載したドローン

レーザスキャナを搭載したドローン

キーワード
ドローン、3Dレーザ測量
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特長・メリットココがポイント

写真測量の際に必要な基準点の設置不要

ドローンによる写真測量では、あらかじめ基準点(ターゲット)を地表面に複数箇所設置する必要がありますが、ドローンによるレーザ測量では、機体に内蔵されたGNSSとジャイロセンサにより、機体位置・傾き情報を正確に得たうえで、地表面に向けてレーザを照射することで得られる距離により計測を行うため、基準点設置の必要がありません。

図版:堤体部点群データ

堤体部点群データ

樹木があっても計測可能

レーザ照射は樹木の隙間を通り、地表面まで到達するため、樹木の伐採前、除根前でも地山を計測することが可能です。測量した結果は高精度な点群データで出力されることから高低差が取れ、複雑な地形でも精度の高いデータが得られます。

図版:伐採前レーザ測量樹木処理前データと樹木データ処理後 出力例

伐採前レーザ測量 樹木処理前データ

樹木データ処理後 出力例

短時間の飛行で高精度なデータを取得

測量では、事前にPC上にて設定したルートに従い、自律飛行が可能です。20haの広さをわずか13分間の飛行で測量することができます。高精度と言われる地上レーザ測量の結果と比較して、90%の測量点が±4.5cmの範囲に収まっていることを確認しました。従来のセスナ機等による航空レーザ測量と比較して安価で、かつ、現場内での離着陸が可能なため、現場の必要に応じて都度測量することができます。

適用実績

図版:大分川ダム建設(一期・二期)工事

大分川ダム建設(一期・二期)工事

場所:大分県大分市

竣工年:2019年11月

発注者:国土交通省九州地方整備局

規模:中央コア型ロックフィルダム 堤高91.6m 堤頂長400m 堤体積387万m3

バイバックによる締固め管理システム

ダムコンクリートの締固め状態をリアルタイムに管理、記録

コンクリートダムの施工においては、バイバック(油圧ショベルのアタッチメントに締固めバイブレータを装備した機械)と呼ばれるダム用コンクリート締固め専用機が用いられますが、締固めはオペレータの経験に基づく技量に依存しており、オペレータの目視により締固めの完了を判断しているのが現状です。

そこで鹿島では、バイブレータの挿入位置と締固め完了条件を管理することにより、オペレータの技量に依存せず均一な締固めを実施でき、締固め状況のリアルタイムな管理と施工トレーサビリティの記録ができるダムコンクリート締固め管理システムを開発しました。これにより、これまで以上にダムコンクリートの品質向上が図れます。

※バイバックはエクセンの登録商標です。

特許登録済及び特許出願中

図版:バイバックによる締固め管理システム実証実験の様子

バイバックによる締固め管理システム実証実験の様子

キーワード
コンクリートダム、締固め管理、コンクリート打設、有スランプコンクリート、バイバック、バイブレータ、GNSS、センサ

特長・メリットココがポイント

バイブレータの3次元位置計測と秒数管理で締固め完了を判定

本システムはバイブレータ挿入位置の3次元座標を正確に計測し、一定の締固め完了条件を満たすと、バイブレータの影響範囲を考慮して一辺50cmの管理ブロックごとに締固め完了を判断し表示します。位置計測にはバイバックに搭載した2つのGNSS機器と2つの傾斜計を用いて行います。締固め完了の判定には、バイブレータのON・OFF信号を取り込み、別試験にて定めた締固め完了とする秒数を管理し、締固めが完了した箇所をモニターに表示します。オペレータは運転席のモニタ画面で締固めが完了した箇所がリアルタイムで把握できるため、締固め不足を防ぐことができます。

図版:機器配置図

機器配置図

実施工に即して複数層の締固め管理が可能

本システムにより、オペレータの技量に依存しない均一な締固めが行えるとともに、施工のトレーサビリティも管理することができるようになります。また、有スランプコンクリートは同一リフトで複数層打設する場合が多くありますが、本システムでは、同一リフトで複数の層に分けての締固め判定を行うことが可能です。

図版:締固め管理システム画面表示例

締固め管理システム画面表示例

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適用実績

図版:浜田川総合開発事業第二浜田ダム本体建設工事

浜田川総合開発事業 
第二浜田ダム本体建設工事

場所:島根県浜田市

竣工年:2016年10月

発注者:島根県

規模:重力式コンクリートダム 堤高97.8m 
堤頂長218.0m 堤体積32.4万m3

図版:幾春別川総合開発事業の内 新桂沢ダム堤体建設(第1期・第2期・第3期)工事

幾春別川総合開発事業の内 
新桂沢ダム堤体建設
(第1期・第2期・第3期)工事

場所:北海道三笠市

工期:2016年8月~2023年3月

発注者:国土交通省北海道開発局

規模:堤高75.5m(11.9mかさ上げ) 
堤頂長397.0m 
堤体積59.5万m3(かさ上げ分24.5m3

学会論文発表実績

  • 「ダムコンクリート締固め管理システム」,土木学会,第70回年次学術講演会,2015年9月

基礎処理工3次元施工品質管理システム

岩盤内の水みちとなる割れ目の迅速な3次元モデル化により、
合理的な注入管理を可能に

ダム工事における基礎処理工の品質管理方法として、「岩盤内の割れ目」に着目した施工データの評価が重要となってきています。この際、水みちとなる割れ目の性状、分布、連続性の立体的な把握が必要で、また、それらを注入管理に反映させるためには、パイロット孔から得られる地質データを基に迅速に地質情報の見える化を行うことが必要です。

鹿島では、割れ目の3次元的情報を定量的に自動かつ迅速に抽出し、それらを施工情報とともに一元管理するシステムを開発しました。これにより水みちとなる割れ目分析の客観化・省力化ができ、情報の見える化により確実な注入管理が可能になります。

特許出願中

図版:3次元割れ目モデルとグラウト注入情報の重ね合わせ

3次元割れ目モデルとグラウト注入情報の重ね合わせ

キーワード
割れ目、ダム、基礎処理工、カーテングラウト、孔壁展開画像

3次元施工品質管理システムの概要

水みちとなる割れ目を評価するためには、従来は専門の地質技術者による膨大な3次元データの処理・分析が必要であり、多大な時間と労力を要していました。本システムでは施工過程で得られるパイロット孔の孔壁展開画像を活用することで、岩盤内部の割れ目情報の抽出・連続性判定を自動的、かつ迅速に行うことが可能になりました(開発①、開発②)。さらに、自動的に得られた3次元割れ目モデルに、グラウト施工情報を統合し可視化するシステムを活用することで、施工へ迅速なフィードバックが行えるため、基礎処理工の品質を確保することができます(開発③)。

図版:本システムを用いた基礎処理工の品質管理フロー

本システムを用いた基礎処理工の品質管理フロー

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特長・メリットココがポイント

開発① 割れ目情報自動抽出技術

パイロット孔のBTV調査で得られる孔壁展開画像に対して画像解析を行うことで、割れ目の3次元情報を自動的に抽出します。

  • 孔壁展開画像から、短時間で割れ目を自動抽出
  • 割れ目の交差深度の他に、割れ目の属性情報(走向、傾斜、開口幅、色情報)が取得可能
  • 画像解析データを基に客観的な抽出が可能

図版:孔壁展開画像を用いた割れ目情報の自動抽出方法

孔壁展開画像を用いた割れ目情報の自動抽出方法

開発② 割れ目の連続性判定技術

得られた割れ目の属性情報を基に、隣接孔の全割れ目に対する連続性判定を自動で行い、連結した3次元割れ目モデルを作成します。

  • 連続性の判定指標は、面間距離、交差角度、割れ目幅、色といった属性情報から任意に選択可能
  • 割れ目の連続性に対する客観的な判定が、短時間で可能

図版:割れ目の連続性判定結果

割れ目の連続性判定結果

開発③ 3次元的統合・可視化技術

多様で膨大な施工情報や地質情報を統合し、3次元で可視化することで基礎処理工の一元管理を行います。

  • 地形・構造物の3次元モデルの構築
  • 管理日報に基づくルジオン分布と3次元割れ目モデルとの統合
  • 管理日報・コア写真等の施工資料とのリンク
  • 任意の段階で必要な施工関連情報が3次元的に可視化でき、割れ目への注入の過不足の管理が可能

図版:施工関連情報および割れ目データの三次元統合化

施工関連情報および割れ目データの三次元統合化

適用実績

図版:大分川ダム建設(一期・二期)工事

大分川ダム建設(一期・二期)工事

場所:大分県大分市

竣工年:2019年11月

発注者:国土交通省九州地方整備局

規模:中央コア型ロックフィルダム 堤高91.6m 堤頂長400m 堤体積387万m3

学会論文発表実績

  • 「ダム基礎処理工の透水性に関わる三次元施工品質管理システムの開発」,第46回岩盤力学に関するシンポジウム講演集,pp.25-30,2019年
  • 「大分川ダム基礎処理工への3次元施工品質管理システムの適用」,日本応用地質学会平成30年度講演論文集,pp.135-136,2018年
  • 「ダム基礎処理工における三次元施工品質管理システムの開発」,土木学会第73回年次学術講演会,Ⅵ-1058,2018年

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