プロジェクトストーリー
安全性確保、地区防災拠点の
機能向上を目指した
「設計施工一括方式」による公的施設建設
【プロジェクトストーリー01】約2年間を費やして2018年2月に竣工した、神奈川県の「藤沢公民館・労働会館等複合施設建設工事」は、設備設計担当として節目となるプロジェクトでした。老朽化が進んでいる藤沢公民館と藤沢労働会館を、安全性の確保、狭隘の解消、地区防災拠点としての機能向上というコンセプトを軸に、他の周辺5施設の統合と新たな2つの機能を加え、計9つの機能を有する複合施設への建替えを行うというもの。通常、公的施設の場合、設計と施工は別発注となりますが、今回は、近年採用するケースが増えた「設計施工一括方式」によってプロジェクトは進められました。「設計施工一括方式」は建設会社の独自の技術や工法が設計に反映されることに加え、工期短縮やコスト縮減の効果が期待できます。設計の早い段階から施工チームが参画し、設計と施工が一体となって計画を進めました。
お客様の本当のニーズを引き出す
高低差のある敷地に生まれた課題
【プロジェクトストーリー02】9つの施設・機能を一つの建物に統合するため、それぞれの部屋に求められる機能を明確にすることが求められました。しかし、発注者サイドには建物の建設に関わる機会がない方も少なくなかったため、どのような人が利用し、どのような使い方をされるのかということを丁寧にヒアリングし、お客様の本当のニーズを引き出すことに注力しました。その中で、大きな課題の一つとなったのが敷地に高低差があるため、建物の一部が土に接触する構造になることでした。土に接している部分は、室内にカビや結露を発生させる原因のひとつとなります。その事態を回避するためには、室内に取り入れる外気の温湿度をコントロールする必要がありました。そこで基本設計から換気方式の変更を提案しました。そしてそれがなぜ必要なのか、相手が解り易い表現で説明し理解を求めて機械を導入することで、室内環境の快適性を確保しました。
意匠、構造、設備の垣根を超えて
最適なプランニングを導き出した手応え
【プロジェクトストーリー03】竣工後、お客様に非常に喜んでいただきました。実際に市民の方々が利用されている姿を見ると、満足していただいているという手応えも感じました。また私自身、入札から最後の竣工まで関わったプロジェクトであり、達成感とともに、思い入れの深い建物となりました。さまざまな課題をクリアするために、意匠、構造、設備の垣根を超えてアイデアを出し合い、最適なプランニングを導き出せたという自負もあります。今後、今まで経験したことがない病院やスタジアムなどに携わることで設計のレパートリーを広げていきたいと考えています。また機会があれば、海外のプロジェクトにも携わり、日本以外の国の設計手法や建設技術などを、今後の仕事に活かせるように学びたい。最終的には、世界をあっと言わせるような建築物の設備設計に携わることが目標です。
※原稿は取材当時のものです。