プロジェクトストーリー
地元が待望する高架橋工事スタート
地盤反力不足という課題解決への取組み
【プロジェクトストーリー01】2014年3月、所長として2つ目の現場となる高架工事がスタートしました。駅周辺の地元の方々は長年にわたって鉄道高架を待望していました。鉄道高架に伴う駅前整備で、街の活性化につなげたいという想いがあったのです。地元の方々の大きな期待を受けて工事が始まりました。しかし、工事当初から大きな問題に突き当たりました。支持地盤に必要とされる地盤反力値を得ることができなかったのです。徹底した品質確保のため、原因の検証、追加調査、対策の立案、試験施工を実施。関係各所と協議を繰り返し、薬剤注入工法によって所定の地盤反力値を確保し、工事を進めました。
高架橋スラブ建設時にゲリラ豪雨来襲
安心・安全確保のために行った決断
【プロジェクトストーリー02】この現場は工事ヤードが狭いため、上下線別々の施工にせざるを得ず、また日々の作業に徹底した安全確保が求められました。そうした中、不測の事態が発生したのです。突然のゲリラ豪雨の来襲です。ちょうど高架橋スラブ(床版)のコンクリート打設作業を行っていたときで、上梁の半分以上の打設が完了していました。しかし豪雨はコンクリート表層を洗い流し、無残な状態に。その上から再度打設する方法もありますが、不連続であり一体化していないため、万が一地震が起これば、せん断破壊するという一大事故を起こす可能性は拭いきれません。私はすでに打設した柱部分も含めてすべて解体撤去し、新たに作り直す選択をしました。工期やコストよりも、安心・安全を確保するという信念で決断。それは鹿島の昔から不変のスタイルと確信しています。
目標に向かって、メンバー一丸となった
プロの信念を貫いた原点となる現場だった
【プロジェクトストーリー03】この高架橋は6工区に分かれており、当社が担当する5工区・約260m区間の工事はほぼ終了しました。他工区の完成で全面開通となります。お客様からはさまざまな課題に対して主体的に対応してくれたことを高く評価していただきました。地元の方々は非常に協力的な方が多く、工事終盤に差し掛かって言われた「寂しくなるね」は嬉しい褒め言葉と感じています。私自身は、この現場は所長としての本格的な現場であり、それまで現場監督として得た知見のすべてを注ぎ込みました。協力会社のスタッフも含め、いいものをつくるという目標に向かって、文字通りメンバー一丸となった現場でした。私にとって、新たなスタート地点であり、原点となる現場。仲間への誠意と仕事への誇り、そしてプロとして信念を貫き、いいものをつくり上げた、その実感がある現場でした。
※原稿は取材当時のものです。