プロジェクトストーリー
建築現場の進捗をリアルタイムで管理し、
情報共有を可能とする「BIMLOGI®」の開発
【プロジェクトストーリー01】「BIM」は、いわば建物のデータベースです。しかもすべてのデータが連動しているため、情報を一つ修正すると、関係するすべてのデータが自動で修正されます。例えば、施工が始まってから不具合が発生し、解決するために設計の見直しが発生した場合、「BIM」を活用することで圧倒的に時間と手間を削減することができます。当初、「BIM」は企画・設計段階での採用が中心でした。しかし、建物のデータベースである「BIM」の持つポテンシャルは、企画・設計での活用に留まるものではありません。私たちが取り組んだ直近のプロジェクトは、施工フェーズへの「BIM」の適用です。具体的には、「BIM」データを活用して、建築現場のロジスティクスや進捗管理の高度化を図る「BIMLOGI®」を開発、現場での実証を進めています。「BIMLOGI®」は、様々な部材ごとに製作から運搬、施工、検査等のステータスと予定・実績日時をBIMデータと連携することで、リアルタイムでの進捗管理と関係者間の情報共有を可能とするものです。
日々変化する建築現場を映し出す、
デジタルツインデータで施工状況を
自動把握
【プロジェクトストーリー02】「BIMLOGI®」では、BIMデータに予定・実績情報を付与することで、日々変化する建築現場を映し出すデジタルツイン(現実空間上のモノや環境の状態を、双子のようにデジタル空間上で再現する技術)データを駆使し、建築現場の遠隔管理、資材運搬や施工等の作業の最適化を図ることが可能となります。さらに私たちは先般、デジタルツイン基盤「KMC®(Kajima Mirrored Construction)」を開発しました。これは着工前に作成する「BIM」と、施工中の建築現場に設置したセンサー等から得られる空間データを一元管理するデータベース。この「KMC」と「BIMLOGI®」を連動することで、施工状況の自動把握に取り組んでいます。現在、現場での実証を鋭意進めていますが、これらは、従来行っていた進捗管理のやり方を大きく変えることになります。初めてのシステムを導入する際は、現場の負荷が増えることもあるため、理解・納得が得られにくい場合も少なくありません。私たちはデジタルデータ化するメリットを説明しながら、現場でも積極的に使われるシステムにすることを目指した、改良開発も進めています。
建築現場の課題を解決し、現場を変える
DX戦略の象徴、「BIM」の開発・展開を強力に推進
【プロジェクトストーリー03】建築生産の仕事は、単に設計図通りに造るだけではありません。実際には、要求性能を確保するための品質上の検討や工程、コストや安全、環境配慮等、様々な要素を考慮しながら計画し、関係者と調整を進めて実行に移していきます。私は入社から約10年間施工現場の管理を担当していましたが、実際に建物ができていく過程を間近で見守り、完成を迎えることは、この仕事の醍醐味でした。そして今、現場の抱える課題を「BIM」やIT、IoTの導入によって解決していくことに、大きなやりがいを感じています。建築は一品受注生産という特性上、これまで他産業に比べてIT化が遅れてきました、逆に言えばまだまだIT化による進化の余地が大きいということです。建築現場の状況を完璧にデジタルデータ化することは、まだ道半ばですが、将来確実にそうなっていくと確信しています。「鹿島スマート生産」では、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略として、「全てのプロセスをデジタルに」をコアコンセプトの一つとしています。その象徴でもある「BIM」の開発・展開を、今後も強力に推進していきたいと考えています。
※原稿は取材当時のものです。