[2026/06/30]
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製鉄副産物を原料としたコンクリート用CO2固定混和材の実用化に目途
~新たな環境配慮型コンクリートの社会実装に向け4者で共同研究~
国立大学法人東北大学
国立大学法人宇都宮大学
JFEスチール株式会社
鹿島建設株式会社(社長:桐生雅文、以下「鹿島」)、国立大学法人東北大学(総長:冨永悌二、以下「東北大学」)、国立大学法人宇都宮大学(学長:池田宰、以下「宇都宮大学」)、JFEスチール株式会社(社長:広瀬政之、以下「JFEスチール」)の4者は、製鉄の過程で発生する副産物にCO2を吸収、固定させた炭酸化スラグをコンクリートの材料(混和材)として活用する技術について、実用化に向けた有効性を確認しました。
4者は、鹿島が東北大学とともに設置した「鹿島×東北大学 環境配慮型建設材料 共創研究所※1」を拠点に、2024年4月から共同研究を開始しました。その成果として、炭酸化スラグがCaCO3(炭酸カルシウム)としてCO2を安定的にコンクリートに固定するだけでなく、コンクリートの圧縮強度を大きく向上させることも確認しました。
2025年4月に公表された「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン」(以下、国交省アクションプラン)における「『コンクリートの脱炭素化』に向けたロードマップ」では、2030年頃からCO2を吸収、固定化させたものをコンクリートの材料に使用することを原則化することが掲げられています。
4者は今後も共同研究を継続し、炭酸化スラグを混和材とする新たな環境配慮型コンクリートを2029年度に実構造物へ適用することを目指します。
※1 東北大学が産学共創のさらなる振興/発展をめざして2021年4月に創設。共同研究や人材育成などの共創活動を企画・実施するための連携拠点を構築する制度
炭酸化スラグ
炭酸化スラグを用いた環境配慮型コンクリート
開発の背景
カーボンニュートラル社会の実現に向け、コンクリートがCO2の固定源として注目されています。その1つに、産業副産物や廃棄物に含まれるカルシウムにCO2を吸収させた粉体や粒状体を製造し、これをコンクリートの材料としてCO2を固定させる方法があります。この材料はCCUS材料※2と呼ばれ、コンクリートの混和材や骨材として利用されます。カルシウムの含有量が多く、かつ大量に安定して入手できれば、CCUS材料として利用できる可能性があります。鉄鋼の製造過程で副産物として発生する製鋼スラグ※3がこれらの条件を満たすことに着目し、CCUS材料として実用化するための共同研究に着手しました。※2 Carbon dioxide Capture Utilization and Storage。CO2を回収し、有効利用、貯留すること
※3 成分を調整して高品質な鋼に仕上げる製鋼工程(高炉工程の後の工程)で生じる副産物
成果の概要
研究の実施にあたっては、JFEスチールが製鋼スラグに排ガス由来のCO2を固定する炭酸化スラグの製造技術の開発、鹿島が炭酸化スラグを混和材として用いたコンクリートの配合技術と強度発現性などの基本的な物性の検討、東北大学が炭酸化スラグやコンクリートの分析及び強度発現のメカニズムの解明、宇都宮大学がコンクリートの耐久性の検討をそれぞれ担当しました。試製造した炭酸化スラグを分析した結果、1tあたり約280kgのCO2を含んでおり、CCUS材料として十分な性能を有していることを確認しました。また、炭酸化スラグを混和材として用いたコンクリートの圧縮強度を測定した結果、一般的なコンクリートよりも高い値となりました。
特に、セメントを高炉スラグ※4微粉末に大量に置換した低セメント型コンクリートにおいて炭酸化スラグを混和した場合、圧縮強度が大きく向上することが分かりました。材齢1日では約2.6倍と初期強度の発現性が良いため、型枠を早期に外せるなど作業効率向上が期待できます。さらに、コンクリートの強度を評価するのに一般的な材齢28日で、約1.4倍の強度を発現することから、所定の強度発現に必要なセメントの量を削減できCO2排出量の大幅な削減にも期待できます。
※4 鉄鉱石を溶かす高炉工程で生じる副産物であり、水で急冷後に粉砕した微粉末はコンクリートの混和材として活用されている
炭酸化スラグのCO2固定量
炭酸化スラグを用いたコンクリートの圧縮強度
今後の展開
4者は今後、国交省アクションプランおよびカーボンニュートラル社会の実現に寄与すべく、炭酸化スラグの製造プロセス開発と、これを用いた環境配慮型コンクリートの諸性状の確認を行い、2029年度にはコンクリートを実構造物に適用することを目標に、さらなる研究開発を進めてまいります。(参考)
出典:国土交通省土木工事の脱炭素アクションプランを公表しました!(国土交通省)
論文情報
タイトル:炭酸化溶銑予備処理スラグがモルタルの強度や空隙構造に及ぼす影響
著者:山野 泰明・星野 建・皆川 浩・久田 真
掲載誌:コンクリート工学年次論文集 Vol.48(コンクリート工学年次大会2026(奈良)にて発表)
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