外来・診療部門の無柱空間

病院の外来部門と診療部門には、構造に制約されない広くて自由な空間が求められます。しかしながら多くの病院は上階の高層部が病棟で構成されているため、病室にあわせた柱割が低層部の空間に影響を与えていました。病棟階の柱割りの影響を受けずに自由なレイアウトが可能になる外来・診療部門の無柱空間を様々な技術で実現します。

9mスパンの柱割と低層部の無柱大空間

医療施設では一般的に6mスパンの柱割ですが、プランニングの自由度やフレキシビリティを考慮して9mグリッドの純ラーメン構造を採用することで将来の様々な変化に対応が可能となります。

一方、低層部に配置される診療部門は、画像診断機器を導入したハイブリッド手術室や診断・治療機器の大型化などに柔軟に対応でき、自由なレイアウトが可能な無柱空間が必要となります。上階の影響を受けない低層部を拡張して27mのロングスパンにすることで常に最新の医療機能に更新可能なフレキシブルな大空間が確保できます。

図版:9m×9mのグリッドの純ラーメン構造と無柱大空間、27mのロングスパン
図版:散在する水廻りからの漏水リスクの低減、無柱大空間、階高の自由

診療部門が配置される低層部において手術部や画像診断部については、病棟直下から外して無柱大空間とすることで水廻りの多い上階からの万が一の漏水リスクを軽減するとともにロングスパンによるフレキシビリティを確保できます。

また、高層部直下から外すことで建物全体の高さを変えることなく、必要な部分だけ階高さを増すことができ、効率的な全体計画とすることができます。

図版:外周に柱のある構造から、柱のないリハビリテーション室の完成まで

POINT

  • 経済的な大空間:広い空間を短い工期で施工可能
  • 優れた耐震性と経済性:建物全体の構造を最適化
  • 自由なレイアウト:プランの自由度、フレキシブル性が向上
  • 無柱空間で見通しがよくなる

ハットトラスとテンションコラムの採用による無柱空間

敷地に制約があり、低層部を張り出すことができない場合は、低層階と病棟階の間に上部の柱を支える強度な構造体を設備階として中間階に設ける方法がとられてきましたが、建物全体の高さが高くなり、コストアップの要因でもありました。鹿島は病院上部の設備スペースを有効に利用したハットトラスを設置し、そこからテンションコラム(吊り柱)で床を支持することで、低層階の空間が上層階の柱に制約を受けない可変ストラクチャーを考案しました。

図版:従来構法とハットトラス・テンションコラムを用いた新構法の比較

POINT

  • 外来・診療部の自由なレイアウト
  • 建物高さの効率化