鹿島(社長:桐生雅文)は、生産施設やアリーナなどの大空間建築物向けの置換空調技術「SURF🄬」(サーフ)※1を開発しました。SURFは、独自開発の吹出しチャンバー※2と空調機を上部から吊り下げ、低風速かつ均一な冷気を床面に向けて吹き出すことにより、室内空間の下方に冷気の層を、上方に暖気の層を形成する技術です。これにより、床面から2m程度の人が活動する空間を効率的に空調することができ、大幅な省エネルギーおよび省スペースを実現します。
当社は今後、顧客ニーズに沿って本技術を様々な大空間建築物へ展開し、建築空間の価値向上と脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
※1 SURF:Space-savingUnit for air-Replacement of Factory(特許出願中)
※2 空調機から送られる空気を整え、室内へ供給する装置

冷房空気が床面に沿って広がる様子
(気流可視化のため煙を使用)

SURF概念図
開発の背景
近年、建設業界では、脱炭素化に向けた省エネルギー化やCO2排出量削減への対応が重要な課題となっており、エネルギー効率に優れた空調技術が求められています。
生産施設やアリーナなどの大空間建築物でも広く採用される混合空調方式は、人が活動する空間だけでなく室内全体を空調するためエネルギーロスが大きくなるという課題がありました。この解決策として置換空調方式※3が注目されていますが、従来は床置き型が一般的であり、空調設備の設置スペースが必要なことから、有効面積が減少するという課題がありました。
※3 温度の層を形成して、居住域を有効に空調する方式
技術の概要と特長
SURFは、省エネルギーと省スペースを同時に実現する、大空間建築物向けの置換空調技術です。空調機と当社が開発した吹出しチャンバーを、上部から吊り下げて設置します。吹出しチャンバーの内部に独自の整流化機構を設けることで、周囲の空気を巻き込みにくくしながら、冷房空気を下方の床面に向けて均一かつ低風速で吹き出します。床面に到達した冷房空気は、床面に沿って広がりながら室内全体へ行き渡ります。その後、人や生産設備が発する熱によって温められた空気が自然に上昇することで温度成層が形成され、人が活動する床面から2m程度の空間のみを効率的に適切な温度に保つことができます。さらに空調機と吹出しチャンバーをユニット化することで、設置工事の短工期化を実現します。
SURFの構成例
本技術の主な特長は以下のとおりです。
- 省エネルギー
人が活動する空間のみを空調するため、大空間全体を空調する従来の混合空調方式に比べ、エネルギー消費量を大幅に低減することができます。
- 省スペース
吹出しチャンバーを上部から吊り下げるため、有効スペースを最大化することができます。
- 短工期
吹出しチャンバーと空調機を一体化したユニット構成とすることで、施工期間の短縮に寄与します。
効果の実証
SURFを当社技術研究所(東京都調布市)に設置し、「温度成層の形成状況」、「気流分布」、「温熱環境の快適性」の3つを評価する実証試験を行いました。
その結果、本技術が有効に機能し、人が活動する空間を快適な温熱環境に整えることができるだけでなく、省エネルギー化を図りつつ、省スペースにも寄与することを確認しました。
温度分布の測定結果
今後の展開
鹿島は今後、顧客ニーズに応じて本技術を様々な大空間建築物へ展開し、顧客の省エネルギー化の取組みを促進するとともに、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
イメージ動画