鹿島(会長兼社長:押味至一)は、山岳トンネル工事の自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)の開発を6つの施工ステップに分けて進めてきました。このステップの一つである「装薬」について、この度、安全性と生産性を大幅に向上させる遠隔爆薬装填法を新たに開発しました。
本手法は、切羽近傍での作業時間が長く、肌落ち災害リスクの高い装薬作業において、技能者の安全確保と作業時間の短縮、さらにコスト削減も可能とするものです。このほど、岐阜県下呂市の山岳トンネル工事に適用し、遠隔装填から発破までを安全に実施できることを確認しました。
当社は今後、この遠隔爆薬装填法を国内の山岳トンネル工事へ積極的に普及展開していきます。
遠隔爆薬装填法の現場適用の状況
開発の背景
建設業界では、「熟練技能者不足」、「高い労働災害の発生率」、「低い生産性」が喫緊の課題であり、山岳トンネル工事も例外ではありません。
そこで当社は、これらの課題解決に向けて山岳トンネル工事の掘削作業を、①穿孔 ②装薬 ③ずり出し ④アタリ取り ⑤吹付け ⑥ロックボルト打設の6つの施工ステップに分けて重機を自動化し、それらを一元管理する自動化施工システム「A⁴CSEL for Tunnel」を開発しています。
このうち②装薬については、今も多くの現場では肌落ちリスクのある切羽近傍において、技能者が多数の孔への装薬に長時間を要しているため、新たな遠隔爆薬装填法の開発をすることとしました。
開発した遠隔爆薬装填法
当社は、汎用的な装薬仕様を最大限に活用し、遠隔作業の導入により高い安全性を確保するとともに、熟練技能者による従来作業と同等の生産性を実現する遠隔爆薬装填法を新たに開発しました。
具体的には、ドリルジャンボ(以下、ジャンボ)での穿孔完了後、装填パイプ、装填ホース、親ダイ※1装填治具からなる一式を後付けでジャンボに設置します。その後、有線雷管の親ダイを装填治具にセットしてエア圧送、次に増ダイ※2となる粉体爆薬をエア圧送し、遠隔装填が完了します。構造および作業の流れは極めてシンプルですが、親ダイ・増ダイの遠隔装填を安全かつ確実に実施することができます。
※1 親ダイ:起爆を開始するための雷管を内包した爆薬
※2 増ダイ(マシダイ):発破の威力を高めるため、親ダイに追加して装填される爆薬
遠隔爆薬装填法の概要
特長と効果
- 遠隔装填で高い安全性を確保
従来は技能者が切羽近傍で長時間装薬作業を行いますが、本技術は、装填者が切羽天端から45度のライン外の安全が確保された位置で、親ダイと増ダイの装薬を行うことができます。 - 汎用の装薬仕様を活用
簡単な装填治具一式と、汎用的な粉体爆薬、装填機を用いるため、特殊な機械や装置は一切不要であり、現場導入コストを抑えることができます。 - 従来と同等の作業時間
遠隔作業でありながら、親ダイ・増ダイを含めた1孔当たりの装薬時間は1分程度であり、従来と同等の作業時間です。 - 重機入替え不要でサイクルタイム向上
装填治具一式をジャンボに後付けで設置するため、専用装填台車は不要となり、重機の入替え時間も省略されることで作業時間を短縮できます。
現場への適用
今回開発した遠隔爆薬装填法を、国土交通省中部地方整備局 国道41号門原1号トンネル工事に適用しました。技能者が、切羽天端から45度のライン外の安全な場所で一連の遠隔装填の手順で作業を進め、発破しました。遠隔作業でありながら、1孔に要する作業時間は従来の切羽近傍での技能者による装薬作業と同等の1分程度であることを確認しました。
遠隔装填の実施状況ム
今後の展開
鹿島は今後、この遠隔爆薬装填法をより多くのトンネル現場へ積極的に展開していきます。引き続き、山岳トンネル工事の掘削作業における自動化の技術開発も進めてまいります。
工事概要
| 工事名 |
: |
令和4年度 41号門原1号トンネル工事 |
| 工事場所 | : | 岐阜県下呂市 |
| 発注者 | : | 国土交通省中部地方整備局 |
| 施工者 | : | 鹿島建設株式会社 |
| 工事諸元 | : | 工事延長1,100m、トンネル掘削延長:905m、掘削断面積(設計): 81.0~110.9m2 |
| 工期 | : | 2023年3月~2026年6月 |
(参考)