メタクレス(固定床式高温メタン発酵システム)
生ごみや食品廃棄物からエネルギーを回収します
メタクレスは、生ごみなどの有機性廃棄物をメタン発酵菌群の働きを利用した固定床式高温メタン発酵技術で分解し、生成したバイオガスを回収して電気や熱に利用するバイオガス化発電システムです。
メタン発酵を行うバイオリアクタ(メタン発酵槽)の内部に担体を充填し、微生物を定着させて(固定床式※1)高温発酵※2します。有機物を効率よく分解処理することにより、短時間で大量のバイオガスを発生させ、回収することができます。バイオガスは天然ガスと同様にメタンガスを主成分とするガスで、そのまま燃焼させることができるため、ボイラやガスエンジン、ガスタービン、燃料電池に利用することが可能です。
生ごみを安全かつ衛生的に処理すると共にエネルギーや再生資源としても回収したいという事業者の要望に対し、メタクレスによる新しいリサイクル施設を提案しています。
メタン発酵菌
バイオリアクタ(メタン発酵槽)の構造
※1 |
固定床:担体(微生物のすみか)に微生物を高密度に保持することで、高い分解処理が可能です。負荷変動に対してもよく追従します。 |
※2 |
高温発酵:55℃。中温発酵(37℃前後)に比べ高い分解能力をもっています。 |
特長
- 廃棄物や排水を処理しながら、エネルギー源として利用できるメタンガスを回収する。
- 高活性の高温メタン発酵菌によるシステムのため、高効率で施設もコンパクトになる。
- 従来のメタン発酵量より、1.5~2倍のバイオガスを発生させることができる。
- 残渣の発生量が少ないシステムを構成することができる。
- 食品工場や食品リサイクル事業などに適用可能。
効果
- クリーンエネルギーの生成:これまで廃棄していた廃棄物からバイオガスを回収し、熱や電気として供給する。
- 地球温暖化の防止:回収したバイオガスを利用することで、化石燃料の使用量やCO2排出量を削減する。
- 分散型エネルギー:地域のバイオマスを活用し、地域へエネルギーを供給する分散型エネルギーとなる。
- 災害時対策として活用:バイオガスを貯留することで、平常時だけでなく災害時にも電気や熱を供給できる。
システムフロー

前処理プロセス
収集した食品残渣や生ごみは分別機によって、ビニール袋やプラスチック等の混入異物と生ごみに分別します。分別した生ごみに水を加えて高温メタン発酵に適したスラリー状にし、外気を遮断した状態でスラリータンクに貯めて、バイオリアクタ(メタン発酵槽)へ送ります。
メタン発酵プロセス
メタン発酵槽では、バイオリアクタ内のメタン発酵菌によって、スラリー中の有機物をメタンガス(CH4)と二酸化炭素(CO2)を主成分とするバイオガスにリサイクルします。
バイオガス前処理プロセス
リサイクルしたバイオガスは、有害な硫化水素を除去するため脱硫塔で処理したあと、ガスホルダを経てエネルギー利用へ送られます。
エネルギー利用プロセス
燃料電池、ガスタービン、ガスエンジンにより発電し、外部施設での利用や電力会社への売電が可能です。また、ボイラにより熱スチーム・温水として、吸収式冷凍機やヒータ(暖房、乾燥、加熱)に利用できます。さらに、CNG自動車、乾燥機・炭化装置、ガス灯などへの直接利用も可能です。

エネルギー利用プロセス
排水処理・資源化プロセス
バイオリアクタで発生した余剰発酵液は排水処理へ送られます。排水処理後の余剰残渣は脱水され、脱水ろ液と脱水残渣に分離します。ろ液は処理後に下水道へ放流し、脱水残渣は堆肥化などに活用できます。また、臭気は脱臭装置で処理します。
食品廃棄物のバイオガス化
食品工場から排出される食品廃棄物はほとんどが飼料化や堆肥化によって再利用されていますが、近年では、CO2削減や再生可能エネルギー利用への取り組みの推進、飼料・堆肥の利用先が無くなるリスクからの回避、固定価格買取制度などの点から食品廃棄物のバイオガス化が注目されています。
宮崎県都城市に完成した霧島酒造株式会社 焼酎粕リサイクル施設(第1リサイクル施設を2006年、第2リサイクル施設を2012年増設、志比田工場リサイクル施設を2018年増設)では、鹿島が開発したメタクレスを導入して焼酎粕などからバイオガスを回収、施設内利用することで環境面・コスト面での問題を解決し、資源循環型社会の構築と地球温暖化対策に大きく貢献しています。
メタクレス導入のメリット
- 残渣発生量の低減:メタン発酵により、焼酎粕に含まれる固形分(芋の繊維や皮など)を約70%分解・低減します。
- バイオガス発生量が多い:焼酎粕1,200t/日の分解により、48,000Nm3/日のバイオガスを回収することが可能です。
- コスト低減が可能:回収したバイオガスをエネルギー源として利用することで、工場での化石燃料使用量を大幅に削減できます。
- 温室効果ガスの排出削減:バイオガス発生量48,000Nm3/日の場合、一日あたり70t-CO2/日の排出削減が可能です(A重油換算ベース)。
霧島酒造本社工場 焼酎粕リサイクルシステムフロー

受入前処理設備
焼酎製造工程から排出される焼酎粕・芋くずを受け入れます。芋くずは粉砕し、スラリー化します。
芋の繊維や芋の皮を含む、水分95%のスラリー状のもの
バイオリアクタ(メタン発酵槽)
加温されたバイオリアクタ内は嫌気状態に保ち、メタン発酵菌群の働きにより、焼酎粕を分解・ガス化します。
バイオリアクタ(Φ6m×18.5mH)
バイオガス移送・供給設備
回収されたバイオガスは脱硫塔で有害成分(硫化水素)を除去し、ガスホルダを通じて利用先へ供給します。
脱硫塔
ガス利用設備
脱硫後のバイオガスは、本社工場の焼酎製造工程におけるボイラの燃料として利用します。また、乾燥設備の熱風炉の燃料として利用し、脱水ケーキを乾燥させ、乾燥物を家畜の飼料として活用します。
ボイラ
熱風炉
排水処理設備
バイオリアクタから排出された残渣物は、脱水によって脱水ろ液と発酵残渣に分け、脱水ろ液は排水処理後、下水放流します。発酵残渣は業者に委託し、堆肥化利用します。
浸漬膜活性汚泥処理設備
脱臭設備
臭気ガスを生物脱臭装置によって脱臭処理します。
BADOS(下部散水式生物脱臭装置)
発電設備
余剰ガスを利用し、年間約400万kWhの発電を行います。
発電した電力は一部設備に利用し、余剰電力は電力会社へ送電します。
発電設備
BADOS®(生物脱臭システム)
BADOS(バドス)は、下水処理場や工場等で発生する臭気および揮発性有機化合物を、担体に付着した微生物で処理する低ランニングコスト型生物脱臭システムです。
有機物を炭酸ガスと水に分解してエネルギーを得るという微生物の働きを利用した生物脱臭システムで、様々な臭気源から発生する成分を分解し無臭化します。
物理的・化学的処理脱臭方式と比較してランニングコストが大幅に軽減され、周辺環境対策に最適で二次公害の発生もありません。

特長
- エネルギーの消費が少ない
有機物の半分以上を酸素不要の嫌気処理で分解するため、省エネルギーです。 - 汚泥発生量が非常に少ない
嫌気槽で有機物がメタンガスと炭酸ガスに分解されるため、汚泥発生量が他の処理方式に比べて非常に少なくなります。 - 運転管理が容易
機械設備が少なく返送汚泥が不要で巡回管理にて対応できるため、運転管理が容易となり維持管理費も安価となります。 - 敷地面積が少ない
施設が立体的であるため、小さい敷地面積での建設が可能となります。 - 安定した処理性能
処理のための微生物はろ材に固定されており、処理機能は運転技術に影響されにくいため、処理性能が非常に安定しています。
関連リンク
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