遠心力を利用した遠心模型実験
実規模レベルの応力状態を再現できる地盤の模型実験
遠心模型実験は、模型地盤に重力のn倍の遠心加速度を作用させた状態で、実物の1/n倍に小型化した模型地盤の実験を行うことで、実際に近い地盤挙動を調べる実験手法です。実規模の実験に比べ、低コスト、短工期で地盤の挙動を再現できることから、地盤工学分野で広く利用されています。
鹿島技術研究所で保有する遠心模型実験装置は、国内トップクラスの載荷性能、最先端の計測機器、並びに様々な荷重条件を再現できる制御装置を備えています。また、羽田空港D滑走路工事をはじめとした実工事における設計・施工法の検証や、切羽補強工法といった新技術の研究開発等、遠心模型実験に関する豊富な実績を有しています。さらに地盤改良など地盤関連工事の信頼性の向上並びに合理化に、遠心模型実験装置を活用できます。

切羽補強工法の補強効果検証実験(掘削模擬装置)

実験後の切羽崩壊形状
- キーワード
- 遠心力、遠心模型実験、地盤と構造物の相互作用、静的挙動、動的挙動、地震、液状化
実験原理と適用例
地盤の挙動は、土自体の重さなど地盤の応力状態によって変化します。小型化した模型実験では、地盤の応力状態が実際の地盤と異なるため、埋立による粘性土地盤の圧密による沈下、盛土や切土による斜面のすべり、地震時の砂地盤の液状化など地盤に関わる問題を再現できません。
遠心模型実験では、重力加速度の数十~数百倍の範囲でn倍の遠心加速度を載荷することによって、1/n倍の小さな模型の中に実物と同じ応力状態を作り出し、実現象とほぼ対応した挙動の再現が可能です。縮小した小型模型を利用する遠心模型実験は、試験体製作のコスト縮減に寄与するだけでなく、長期間にわたる地盤の浸透現象が模型内ではn2倍の速さで進行することによる実験時間の短縮、実物では不可能に近い観測地震波の入力といった利点があります。2010年に供用を開始した羽田空港D滑走路の設計では、接続部の長期的な変形予測法の検証実験に、本実験装置を活用しました。

遠心模型実験の原理

羽田空港D滑走路の護岸接続部の基礎地盤を模擬した遠心模型実験
特長・メリットココがポイント
遠心模型実験装置
- 9.8(4.9)kN の試験体を搭載した状態で遠心加速度100(200)G の実験が可能です。
- コンピュータによる完全自動運転が可能です。
- 試験体の変形や破壊の状況を写真・ビデオカメラにより映像として計測可能です。
- 192ch 同時サンプリングが可能です。
- 動的加振時に油圧ジャッキにより揺動架台を回転腕に固定することにより、精度の高い計測が可能です。

遠心模型実験装置
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遠心模型実験の運転状況(動画:1分00秒/音なし)
載荷装置
動的加振装置
- 加振テーブル上に最大2.5kN の試験体を搭載し、100G の遠心場で実験が行なえるので、多様な振動実験が可能です。
- 50G場においても実物換算で500Galの大加振が行なえるので、大地震時の地盤の挙動が再現可能です。
- 実物換算で0.1 ~ 16Hz の広範囲で加振が行なえるので、実際の地震動が再現可能です。
その他の載荷装置
- トンネル掘削模擬装置
- 凍土造成装置
- 模型傾斜(水平震度載荷)装置

載荷装置:動的加振装置
主な実験対象
- 大深度地下構造物
- トンネル掘削
- 大規模盛土・切土斜面
- 補強土構造物
- 杭と地盤の相互作用
- 各種構造物(橋梁基礎・トンネルなど)と地盤の動的相互作用の解明
- 液状化地盤の挙動把握および対策工法の検証
- 土構造物の地震時安定性の検証 など
適用実績
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本邦の建設会社で初めて遠心模型実験装置を導入した1990年以降、土木系・建築系で数多くの利用実績があります。
学会論文発表実績
- 「凍結工法に適用する凍上・解凍沈下予測手法の検討 ─遠心模型凍上実験─」,土木学会,第66回年次学術講演会,2011年
- 「遠心力載荷試験装置による杭式改良地盤の液状化実験 ─その1 実験概要・水圧挙動─」,第46回地盤工学研究発表会,2011年
- 「遠心力載荷試験装置による杭状改良地盤の液状化実験 ─その2 地表面沈下─」,第46回地盤工学研究発表会,2011年
- 「地盤変形の影響を考慮した鋼管矢板井筒護岸の設計(その2) ─遠心模型実験に対する弾・粘塑性構成式の適用性検討─」,地盤工学会,第42回地盤工学研究発表会,2007年