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プレスリリース

[2014/07/31]

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徳定トンネル、ツインアーチフォーム工法®(TAF工法)で
覆工コンクリート工事完了

養生時間を66時間に延長し、覆工コンクリートの表層品質を大幅に向上

 鹿島(社長:中村満義)は、山岳トンネルの覆工コンクリートの養生時間を、施工スピードを落とすことなく66時間に延長でき、覆工コンクリートの品質を大きく向上させることができる「ツインアーチフォーム工法®(TAF工法)」を2011年に開発しましたが、このほど、新東名高速道路徳定トンネル(愛知県新城市)において、このTAF工法による覆工コンクリート工事が無事完了しました。
 徳定トンネルはTAF工法を採用した国内2例目のトンネルになりますが、2日に1回のコンクリート打設サイクルを維持したまま、型枠による養生時間を従来の18時間から66時間まで延長し、覆工コンクリートの表層品質を大きく向上させていることを確認しました。

徳定トンネルでのTAF工法施工の様子(手前が自立するアーチフォーム)

徳定トンネルでのTAF工法施工の様子(手前が自立するアーチフォーム)

ツインアーチフォーム工法(TAF工法)について

 高速施工が求められる近年の山岳トンネルにおいて、覆工コンクリートの打設は2日に1回のサイクルとなっており、打設から脱型までの養生時間は通常18時間程度です。打設後18時間では、内部のコンクリートの温度は上昇中であり、水和反応がまだ活発に行われていることが予想されます。このため、コンクリートの品質向上を目指すには、脱型せずに養生時間を長く取ることが求められますが、2日に1回の打設サイクルを維持するためには、従来は複数の型枠用セントルを用いて打設と養生を2か所で交互に行う必要がありました。
 そこで、鹿島は岐阜工業(社長:北川 智秋、岐阜県瑞穂市)と共同で、二つの馬蹄形アーチフォームを一つのガントリー(レール台車)で交互に移動させ、打設と脱型を繰り返すことで、従来の打設サイクルを確保しながら、養生時間を「66時間」に延長することのできる「ツインアーチフォーム工法(TAF工法)」を開発しました。

 TAF工法の最大の特長は、2組の型枠(第一フォーム、第二フォーム)がそれぞれ径を縮小・拡大できる機能と自立できる機能を持ち、1台のガントリーで2組の型枠を交互に使用できる点です。
 コンクリート打設の翌朝に、第一フォームからガントリーを切り離してフォームを自立させそのまま型枠養生を行います。次にガントリーのみが後退し後方の第二フォームを把持して径を縮小させ脱型します。最後に第二フォームをガントリーとともに前方の第一フォームの内側をくぐり抜けて前進させ、次の打設位置に移動したところで径を拡大、コンクリートを打設します。
 これを繰り返し行うことで、後方で養生しながら前方で打設作業ができるため、打設サイクルを維持したまま養生時間を延長することが可能になりました。

第二フォームが径を縮小し、ガントリー(台車)とともに第一フォームの内側をくぐり抜ける様子

第二フォームが径を縮小し、ガントリー(台車)とともに第一フォームの内側をくぐり抜ける様子

徳定トンネルでのTAF工法の施工について

 TAF工法は、岩古谷トンネル(愛知県北設楽郡、2014年3月完成)に続き、徳定トンネルで2例目の実施工となりました。徳定トンネルでは上り線、下り線の570mあまりの全線にわたってTAF工法を採用し、2日に1回の打設サイクルを維持したまま、2014年5月に覆工コンクリートの打設を完了しました。
 TAF工法によって型枠を66時間存置することで、覆工コンクリート表面からの水分蒸散が抑制され、表層品質が向上します。徳定トンネルの覆工コンクリート表面について調査並びに試験を行ったところ、ひび割れはほとんど見られず、また、コンクリートの緻密性を示す指標である透気係数も従来工法に対して約10分の1まで低減し、養生期間7日で脱型した場合と同等の緻密性が確保されていることが確認されました。

徳定トンネルの脱型後の覆工コンクリート

徳定トンネルの脱型後の覆工コンクリート

今後の展開

 TAF工法の採用により、覆工コンクリート表面の緻密化が進み、打設後間もないコンクリートの微細なひび割れが極めて少なくなるため、トンネル完成後の坑内環境変化に伴うひび割れの開口・進展が抑制され、覆工コンクリートの長期耐久性が向上します。その結果、トンネルそのものの耐久性も大きく向上し、安全・安心なインフラ施設の提供に寄与できるとともに、将来の維持管理作業の低減、インフラの長寿命化にも貢献します。
 TAF工法は、今後、新名神高速道路箕面トンネル西工事(大阪府箕面市)を始め、多くの工事で採用が決まっています。採用現場が増えることで、フォームや機械部品のバリエーションが豊富になり、転用コストを抑えることが可能となります。
 鹿島では、このTAF工法を山岳トンネル工事の標準的な覆工コンクリート施工法として採用していくと共に、更なるコストダウンと水平展開を図っていく方針です。

工事概要

工事名  : 新東名高速道路徳定トンネル工事
発注者  : 中日本高速道路株式会社
施工者  : 鹿島建設株式会社
工事場所  : 愛知県新城市徳定~上平井
工期  : 2011年8月~2014年12月
工事概要  : NATMトンネル 上り線L=582m、下り線L=590m、土工量360,000m3

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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