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プレスリリース

[2014/10/27]

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環境にやさしい植物由来凝集剤「K-FAST®」を開発

“水前寺海苔”を初めて建設分野に応用、濁水を素早くキレイに!

 鹿島(社長:中村満義)は、淡水産ラン藻(水前寺海苔)などの植物由来天然ポリマーと三価鉄溶液を用いた、環境にやさしく、高性能な濁水処理用の凝集剤「K-FAST®」を開発しました。「K-FAST」は天然材料のため、周辺水域環境への負荷が極めて小さいことが特徴で、さらに、従来の凝集剤に比べて高い凝集効果を実現しました。これにより、安全な水中作業環境の確保や濁水処理効率の向上を可能にします。鹿島は、今回原料となる水前寺海苔の安定培養に成功したことにより、今後、周辺水域の環境負荷が懸念される工事へ「K-FAST」を積極的に提案していく方針です。

※「K-FAST」 = Kajima-Freshwater Algal& Land Plant Coagulant for Speedy Silty Water Treatment

K-FASTの原料となる水前寺海苔

K-FASTの原料となる水前寺海苔

K-FASTによる凝集効果

K-FASTによる凝集効果
(左:K-FAST添加前、右:添加後)

開発の背景

 ダム湖、港湾などにおける水域での掘削や浚渫工事では、ダイバーによる潜水作業が行われますが、水中の濁りはダイバーの視界を妨げるため、安全な作業には『濁り対策』が重要です。また、トンネル工事や造成工事などでは掘削工事に伴う濁水が発生することから、放流するためには濁りを取り除く必要があります。これらの対策の一つとして、濁り物質を吸着・沈殿させる“凝集剤”を用いて水の濁りを取り除く方法がありますが、近年、凝集剤を使用した水による周辺水域への環境影響が懸念され、環境負荷の少ない天然由来の凝集剤が注目されています。
 これまでも環境配慮型の天然有機高分子系凝集剤はありましたが、水質や濁り物質によって使い分ける必要があり、また、濁り物質の吸着に十分な効果が得られないなど、その効果には課題もあり、作業効率の向上のためにも改善が望まれていました。

「K-FAST」の概要

 鹿島が開発した「K-FAST」は、日本固有の淡水産ラン藻である“水前寺海苔”(概要後掲)を建設分野へ初めて応用したものです。当社は2011年より水前寺海苔の培養技術研究を進めてきましたが、その保水性・吸着性に着目し、凝集剤としての開発を開始しました。その結果、水前寺海苔と陸上植物から抽出した植物由来天然ポリマーと三価鉄溶液を用いた濁水処理用の凝集剤を完成させ、環境配慮と凝集効果向上を同時に実現しました。
 「K-FAST」の特徴は以下のとおりです。

  • 天然材料のため生分解性が高く、放流による周辺水域の生体や環境への負荷が極めて小さい。
  • 第一製網株式会社(社長:濱田悟 熊本県荒尾市)と共同研究を行い、原料となる水前寺海苔の屋内における安定培養に成功。
  • 海水・淡水問わず、pH4~11の水質にて適用可能。
  • 有機・無機いずれの濁り物質においても適用可能、また従来品と比べ凝集効果が向上。
  • 「K-FAST」によって凝集した濁り物質は、大きな塊を形成するため沈降速度が速く、短時間での濁水処理が可能。
  • 既存の濁水処理装置にも適用可能。
水前寺海苔の培養
     水前寺海苔の培養
     (第一製網(株) 牛水工場)

各凝集剤の比較
各凝集剤の比較

今後の展開

 「K-FAST」の開発により、環境負荷の低減はもちろん、従来品に比べ凝集効果が高まったことにより、作業効率を向上させることが可能になりました。今後、原料となる水前寺海苔の安定的な供給体制を構築し、周辺水域の環境負荷が懸念される工事へ積極的に提案していきます。


 “水前寺海苔”(スイゼンジノリ)とは
 日本固有の淡水産ラン藻で、九州の熊本・福岡のみに分布しています。貧栄養の湧水・清流に生息し、生活排水の流入によって自生地が激減、現在は絶滅危惧IA類に分類されています。
 江戸時代から伝統食品として懐石料理、精進料理などに用いられており、近年では食用の他、保水力の高さから化粧品にも応用されています。


プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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