[2015/03/30]
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線路に近接した環境下でニューマチックケーソンの施工を完了
首都高速横浜環状北線鉄道交差部新設工事
鹿島(社長:中村満義)は、横浜環状北線交差部新設工事(横浜市鶴見区)において、鉄道営業線に挟まれた敷地内でのニューマチックケーソン工法による橋脚基礎の施工を無事完了しました。
近接する鉄道営業線に工事による影響を与えないよう、ケーソン外周上を先行削孔して砕石に置き換える補助工法「先行削孔緩衝杭工法」を採用し、急激な沈下や振動を発生させずに3基のニューマチックケーソンの沈設を高精度に行うことができました。今後本工事で得たノウハウを活かして、同種工事にこの工法を積極的に提案していきます。
横浜環状北線交差部新設工事並びにニューマチックケーソン工法
首都高速道路が事業を進めている横浜環状北線は、横浜環状道路の北側地区に位置する自動車専用道路であり、当社工区はJR線や京浜急行線など上下線10線の線路と、国道15号(第一京浜)を一気にまたぐ北線本線及び関連街路の跨線道路橋を建設するものです。
ニューマチックケーソン工法とは、空気の圧力により作業室内への水の侵入を排除しながら掘削を行い、沈下力と沈下抵抗力とのバランスで躯体を沈設していく工法で、地下水位の変動影響が少ないことから本工事に採用されました。今回施工した3基のニューマチックケーソン基礎はいずれも鉄道営業線に近接する場所であり、ケーソン沈下時の振動などが重要構造物に影響しないよう、確実な施工が求められました。
先行削孔緩衝杭工法
本工事の地質は硬質粘土地盤であるため、部分的に孔壁の変形が生じた場合などには想定以上の摩擦力が生じ、「沈下力不足」となる恐れがありました。また一方で、掘削作業中に刃口の先端で地盤が脆性崩壊した場合には「急激沈下」の恐れがあり、それに伴う振動によって、鉄道営業線の軌道変状等が懸念されました。
そこで、ケーソンの周囲を18箇所にわたって先行削孔し、その内部を砕石に置き換える「先行削孔緩衝杭工法」を採用しました。これにより、沈設するケーソン周面と地山が接する面積が半分以下となり、ケーソンと地山との摩擦力が低減され、「沈下力不足」や「急激沈下」といったトラブルを回避することができました。また、この「先行削孔緩衝杭工法」は、軟弱な地盤に対しては先行削孔した孔内に硬質な材料を配置することも可能です。つまり、硬質、軟弱問わずあらゆる地盤に対応でき、精度よくニューマチックケーソン基礎の施工を行うことができます。
今後の展開
この「先行削孔緩衝杭工法」を用いることで、鉄道営業線など近接する重要な構造物に影響を与えず、かつ高精度にニューマチックケーソン基礎を施工することが可能になりました。
また、土質を問わずニューマチックケーソン工法を採用でき、岩盤や砂礫などが混在する地盤に対しても適用が可能となるため、今回のノウハウを活かして積極的に提案していく方針です。
工事概要
工事名 | : 横浜環状北線交差部新設工事 |
工事場所 | : 神奈川県横浜市鶴見区岸谷 |
事業主 | : 首都高速道路株式会社 |
発注者 | : 東日本旅客鉄道株式会社 |
施工者 | : 鹿島・前田・京急建設共同企業体 |
工事期間 | : 2012年3月~2014年5月(ケーソン工事期間) |
工事概要 | : 橋脚基礎6基(ニューマチックケーソン3基、深礎3基 基礎径φ7000、先行削孔深さ20~22m) |
橋梁本数7本(2~4径間連続鋼床版箱桁曲線橋、最大橋長286m) |
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その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。