[2015/06/29]
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Wi-Fiアンテナケーブルの縦敷設技術で、無線LAN環境を簡易に構築
-仙台市泉大沢シニアタウンの有料老人ホームで適用-
株式会社フジクラ
鹿島建設株式会社(社長:押味至一)と株式会社フジクラ(社長:長浜洋一)は共同で、建物内の無線LAN環境導入と運用コストの削減を実現する、Wi-Fiアンテナケーブル(WBLCX:Wireless Broadband Leaky Coaxial Cable)の縦敷設技術(特許出願中)を実用化しました。Wi-Fiアンテナケーブルを建設工事中にパイプシャフトなどの縦貫通孔に敷設し、無線アクセスポイント(AP)の配置を工夫しながらその数を大幅に削減するもので、初期導入コストだけでなく、保守経費などの維持管理コストも削減可能となりました。
本技術は泉大沢シニアタウン(仙台市泉区)の有料老人ホーム(建築主:社会福祉法人創生会・2015年2月竣工)に初めて適用され、現在施工中の鹿島東京建築支店・東京土木支店ビル(2016年8月竣工予定)にも採用する予定です。
従来型(左)と縦敷設(右)の比較
開発の背景
Wi-Fi(無線LAN)の利用が一般的になり、建物を新築する際に無線LAN環境を構築する事例が増えています。通常、建物の床スラブには鉄筋コンクリートや金属製のデッキプレートを使う場合が多いため、床スラブを貫通し、階をまたいで電波を伝搬させることは困難です。そのため、建物全体で無線LAN環境を構築するには各階にAPを数多く設置する必要があり、構築時のコストだけでなく、それぞれの電気代や保守点検・更新の費用など、維持管理コストの面でも課題がありました。
技術の特長
Wi-Fiアンテナケーブルは無線LANのアクセスポイントに取り付ける外部アンテナです。電気信号を伝送すると同時に、ケーブルに設けられたスロット(細長い孔)から電波の一部を周囲に放射するもので、1965年頃より東海道新幹線のトンネル内に、不感対策アンテナとして導入されています。また最近は、鉄筋コンクリートの壁など電波障害物の陰にできる不感対策として、ホテルなどの天井に横敷設されています。
Wi-Fiアンテナケーブルの構造
不感対策
適用事例:泉大沢シニアタウン
仙台市泉区の泉大沢シニアタウン・有料老人ホーム棟にて本技術を初めて適用しました。本施設では、出入口の状況をどこからでも見られる入居者見守りシステムの一環として無線LAN環境を導入する計画でしたが、当初27台のAPを設置する予定のところ、本技術を適用することにより3台まで削減できました。また、APを上下交互に配置することを基本としつつ、使用頻度の高い建物東側下階の電波環境を強化するよう配慮しています。
アクセスポイントの上下交互配置
今後の展開
建物に無線LAN環境を整備するニーズはさらに増えていくものと考えられます。初期導入コストを抑えると同時に維持管理コストの削減を可能にする本技術を、今後積極的に提案していく方針です。
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。