[2017/02/22]
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海底シールド工事へのCIM導入で、品質管理を“見える化”
~海底地盤内の状況を3次元モデル化し、品質と安全の管理を強化~
鹿島(社長:押味至一)は、北海道で施工中の石狩湾新港発電所1号機新設工事のうち土木本工事(第3工区)における、放水路トンネルを構築する海底シールド工事に、CIM(Construction Information Modeling/Management)を導入し、品質管理の“見える化”を実現しました。これにより、シールド機の位置や土質・土被りといった掘削地盤などの情報を視覚的に常時把握できるため、高精度な施工管理を行うことができ、高い品質と施工の安全性を確保できます。
石狩湾新港発電所1号機新設工事のうち土木本工事(第3工区)
シールド機は2016年7月に発進し、約6ヶ月の掘進後、2017年1月12日に、海底下にあらかじめ構築された放水口(J字型放水管)に到達しました。
海底下での工事であることに加え、設置済みの放水口にシールド機を接続するという難易度の高い工事であることから、本工事にCIMを導入して品質管理の“見える化”を図り、安全かつ確実な施工に努めました。
CIM導入による品質管理の“見える化”
今回構築した放水路トンネルは、延長1,045m、内径4.7mで、セグメント幅1.2m、セグメント厚は300mmです。海底での土被りが11~32m(最大水圧0.34MPa)とばらつきがあるうえ、到達部付近では防波堤の上載荷重が作用することもあり、海底地盤内の状況を詳細に把握する必要がありました。また、シールド機を海底下の既設放水口に接続させるため、高度な品質管理と施工の安全性の徹底が求められました。
CIMを導入することで、シールド機やセグメントなどの位置情報や、土質といった掘削地盤情報が可視化され、さらに、深浅測量から得られた海底面の高さを3次元データに取り込むことで、海底面からの土被りも視覚的に把握可能となりました。また、シールド掘進管理システム※1(Kajima Shield Control System)から得られる掘進リングごとの各種データをCIMの属性情報とすることで、施工状況も可視化されるため、施工の精度と安全性が高まります。
さらに、同管理システムにより自動生成されるシールド機とセグメントの位置情報から、リアルタイムにテールクリアランス※2を把握することができます。シールド機の方向を変えながら掘進する場合、テールクリアランスを均一に保つことが難しく、セグメントとスキンプレートが接触し、セグメントにひび割れ等の損傷が生じる恐れがありますが、CIMを活用しテールクリアランスを常に把握することで、日々的確な掘進管理を行うことができました。
このように、さまざまな情報が“見える化”されたことで、確実な施工管理がなされ、高度な品質管理と施工の安全性を徹底することができました。
※1 鹿島の土木技術 シールドトンネル技術 「シールド掘進管理システム」
https://www.kajima.co.jp/tech/c_shield_tunnel/management/index.html#body_01
※2 シールド機後方のスキンプレートの内側とセグメントの外側との隙間
- 3次元モデル化
- シールド機やセグメントなどの位置情報や、土質や土被りといった海底地盤情報を視覚的に把握可能
- 海底地盤の3次元モデル化にあたり、海底面の形状は深浅測量の結果を反映
(海底の層序は設計図書により設定) - 属性情報の自動付与
- シールド掘進管理システムから得られる以下のデータを、掘進リングごとにCIMの属性情報として付与 (1) 掘進時施工データ(推力、切羽圧、裏込め注入量等)
- 地盤にはボーリング調査結果から得られたデータ(土質、N値等)を付与
(2) シールド機測量結果、セグメント測量結果
(3) セグメント出来形情報(製造番号、セグメント種類等)
今後の展開
鹿島は、既設構造物や埋設物との近接施工の状況をタイムリーかつ視覚的に把握できるCIMの利点を活かし、都市部のシールド工事への導入を進めます。
さらに、本工事にも適用しているシールド掘進管理システムから得られる属性情報を、CIMに連動させてストックし、以後、さまざまなシールド工事での施工管理に反映させることで、シールド工事における品質管理、また安全管理の強化に努めます。
工事概要
工事名 | : 石狩湾新港発電所1号機新設工事のうち土木本工事(第3工区) |
工事場所 | : 北海道小樽市 |
工期 | : 2014年3月12日~2018年8月24日 |
発注者 | : 北海道電力株式会社 |
施工者 | : 鹿島・熊谷・五洋・伊藤共同企業体 |
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