[2017/08/03]
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トリプルアーチフォーム(TrAF)工法®、唐丹第3トンネルに初適用!
覆工コンクリートの品質向上と高速施工を両立
鹿島(社長:押味至一)は、二つのフォーム(型枠)とガントリー(移動台車)を交互に使用しながらコンクリート打設を行い、型枠存置時間を66時間まで延長することで覆工コンクリートの品質を向上させる「ツインアーチフォーム(TAF)工法」を2011年に開発、これまで8現場に適用し、成果を上げています。
このほど、TAF工法で培った技術を活かし、フォームを1基追加して覆工コンクリートを毎日打設できる「トリプルアーチフォーム(TrAF)工法」を開発し、岩手県釜石市で施工中の3,000m級の長大トンネル「国道45号 唐丹第3トンネル工事」に初適用しました。TrAF工法により、覆工工事においてTAF工法と同等の品質を確保しつつ、高速施工を実現しました。
国道45号 唐丹第3トンネル工事
唐丹第3トンネル工事は、東日本大震災からの復興リーディングプロジェクトである「三陸沿岸道路」の一部となる、延長2,998m、幅員12.0mという長大トンネルを建設するものです。地域の復興に向けて一日も早い完成が望まれており、様々な合理化を図りながら、高速施工を進めています。
2016年7月には、掘削断面積110m2以上の大断面トンネルとしては国内最高記録となる、月進掘削距離270mを達成しましたが、工事全体の工程短縮には覆工工事においても掘削と同等の施工速度が欠かせないため、品質の向上を図りながら覆工工事も高速化すべく、「トリプルアーチフォーム(TrAF)工法」を適用しました。
ツインアーチフォーム(TAF)工法とトリプルアーチフォーム(TrAF)工法
鹿島が2011年に開発したTAF工法は、二つのフォームと一つのガントリーを用いて、2日に1回の打設サイクルを維持したまま、型枠存置時間を66時間以上確保します。長時間の初期養生により、コンクリートの強度増進や表層の緻密化を図り、長期耐久性を向上させる工法で、鹿島のトンネル工事では標準工法となっています。
唐丹第3トンネル工事においても、覆工コンクリートの品質向上策の一つとして、当初からTAF工法により施工していましたが、さらに全体工程の短縮を目指し、フォームを1基追加して第1~第3フォーム(トリプルアーチフォーム)とするTrAF工法を適用、4か月間(実施区間約950m)にわたって実施しました。
TrAF工法では、前々日に打設した第1フォームを脱型したのち、養生中の第2、第3フォームの下をくぐって前方へ送り出すことで、覆工コンクリートの打設サイクルを上げても従来のTAF工法と同等の型枠存置時間(60時間)を確保することが可能になりました。これにより、コンクリートの打設サイクルを毎日としても、2日に1回のTAF工法と同等の初期養生効果を得ることができます。
TrAF工法の品質向上効果について
覆工コンクリートの表層品質を検証すべく、それぞれの工法で透気係数の測定を行いました。従来工法(18時間脱型)とTAF工法、TrAF工法の透気係数を比較した結果、従来工法の透気係数は「一般」ランクでしたが、TAF工法とTrAF工法の透気係数はほぼ等しく「良」ランク以上となり、両工法とも目標を達成しました。これによりTrAF工法は、TAF工法と同等の品質向上効果を発揮することが確認できました。
TrAF工法の生産性向上効果について
唐丹第3トンネル工事では、最大で270m程度の月進掘削距離を確保したまま、TrAF工法による覆工工事の高速化も図りました。完全週休二日、週5日の稼働で毎日のコンクリート打設を実現し、覆工工事の最大月進288.19m(12.53m×23日)、平均月進250mを達成しました。適用当初は昼夜2班の体制としていましたが、作業員の習熟度が増したこともあり、途中で昼間のみの変則シフト(1.5班体制)に施工体制を変更し、生産性も向上しました。
今後の展開
鹿島は今後も、品質を確保したうえで合理化技術による高速施工を推進し、復興のリーディングプロジェクトである三陸沿岸道路の一日も早い完成、開通に向け、鋭意施工してまいります。
また、TAF工法、TrAF工法のさらなる合理化をめざし、山岳トンネルの高速施工と品質向上を進めていく方針です。
工事概要
工事名 | : 国道45号 唐丹第3トンネル工事 |
発注者 | : 国土交通省 東北地方整備局 |
工事場所 | : 岩手県釜石市唐丹町~釜石市甲子町 |
工期 | : 2014年3月~2017年8月 |
施工者 | : 鹿島建設株式会社 |
工事諸元 | : トンネル延長2,998m 設計掘削断面積109.0~126.3m2 内空断面積94.9m2 |
釜石南IC 盛土量130万m3 |
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