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プレスリリース

[2017/10/30]

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コンクリートの耐凍害性を飛躍的に向上

~コンクリート用添加材の合理的な添加手法を開発、寒冷地の現場に初適用~

 鹿島(社長:押味至一)は、国立大学法人岩手大学、学校法人日本大学、デンカ株式会社(本社:東京都中央区、社長:山本学、以下 デンカ)と共同で、コンクリートの耐凍害性を飛躍的に向上させる新手法を開発しました。
 本手法は、アクリル系樹脂を原料とした微小な中空の球体であるコンクリート用添加材を、ごく少量で効果を発揮させるよう添加の手法を工夫したもので、凍害によるひび割れや表面の剥離(スケーリング)などを抑制します。
 本手法を、昨年7月に寒冷地における擁壁の一部に適用しました。厳冬期を経た現在でも凍害による劣化は発生しておらず、高い品質を維持していることを確認しました。

本手法を用いて施工した擁壁

本手法を用いて施工した擁壁

開発の背景

 寒冷地におけるコンクリートの凍害は、コンクリート内部に含まれる水分が凍結(膨張)と融解(収縮)を繰り返す際の圧力が影響して発生します。その対策として、AE剤(界面活性剤の一種)などの化学混和剤を添加してコンクリート中に微細な気泡をつくり、膨張・収縮の圧力を緩和する手法が一般的に用いられますが、コンクリートの締固め作業や、硬化していく過程で気泡が消失することがあるため、コンクリート全体に適量の気泡を確実に残すには高度な技術が必要でした。
 そこで、AE剤に代わる対策として、デンカが開発した「KIND AIR(カインド エア)」に着目しました。「KIND AIR」は、アクリル系樹脂を原料とした中空微小球の材料であるため、コンクリートの締固めや硬化の過程で消失しないことが特長です。しかし、材料が非常に軽量であるため、添加する際に舞い上がって確実に添加できないなどの課題がありました。

※「KIND AIR」はデンカの登録商標です

本手法の概要

 本手法では、コンクリート1m3当たり1kg程度(球体の体積が1.0%に相当)と、コンクリート性能に影響を及ぼさない、ごく少量の「KIND AIR」を添加します。投入の際に舞い上がらないよう、「KIND AIR」を水溶性の袋に梱包し、袋のまま生コン工場のミキサやアジテータ車(生コン車)に投入します。これにより、最適な量の「KIND AIR」を確実かつ均一にコンクリート全体に添加することが可能となりました。在来手法と比べて材料費が若干アップするものの、コンクリート構造物の耐凍害性向上と、長寿命化による維持管理費の低減が期待できます。

新手法の概要

新手法の概要  ※クリックで拡大します別ウィンドウが開きます


新手法による耐凍害性の向上効果

 新手法を適用した場合、凍害に対する耐久性を示す耐久性指数が在来手法に比べて約10%向上することを確認しました。また、コンクリート構造物の耐久性において極めて重要な表層品質についても、スケーリングの評価試験により、その抵抗性が飛躍的に向上することを確認しています。

※耐久性指数:凍結と融解を300回繰り返す試験によって算出される指数
 試験前を100とし、試験後の値が60以上あれば、通常耐凍害性を有するとされる

凍結・融解試験結果

凍結・融解試験結果

スケーリング抵抗性に関する評価試験の結果

スケーリング抵抗性に関する評価試験の結果

本手法の適用事例

 昨年7月に、東北地方で施工中の造成工事において、その擁壁の一部に本手法を適用しました。「KIND AIR」を生コン工場のミキサに投入した後、一般的なコンクリートと同様に圧送・締固めすることで施工した結果、施工後1年以上経過し、厳冬期を経た現在でも凍害による劣化がなく、構造物の品質が保たれていることを確認しました。

今後の展開

 凍害による劣化が懸念される箇所、例えば道路橋のコンクリート床板など、凍結防止剤に起因するスケーリングが懸念される箇所に本手法を適用することにより、容易でかつ確実に凍害からコンクリートを守り、構造物の高品質・高耐久性を維持します。
 鹿島は今後、寒冷地で建設される様々なコンクリート構造物に本手法を積極的に適用し、高い耐久性を有する社会インフラの実現に貢献してまいります。


プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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