[2017/11/21]
613KB
地表面への影響を最小限に抑え、出口ランプ拡幅部を非開削工法で完了!
~阪神高速大和川線常磐工区開削トンネル工事 「アポロカッター®工法」~
鹿島(社長:押味至一)は、大阪府堺市で施工中の阪神高速大和川線常磐工区開削トンネル工事において、出口ランプ部の構築に非開削工法の密閉型矩形シールドマシン「アポロカッター」を用いて掘削を行いました。施工にあたっては、小土被りでの発進、下り8%の急勾配、本線トンネル土留め壁との近接・並走掘進といった厳しい施工条件の中、さまざまな安全対策と切羽の厳格な土圧管理を実施し、地表面への影響を最小限に抑えながら、無事本体トンネルへの接続を完了しました。
阪神高速大和川線 常磐工区開削トンネル工事およびアポロカッター工法
当工事は阪神高速大和川線建設工事の一部で、本線開削トンネル350mと出入口ランプ376mを構築するものです。このうち出口ランプ部の施工では、地上部の生活道路に与える影響を最小限に抑えるため、当初の予定であった開削工法から、非開削の矩形シールド工法に変更しました。
今回採用した「アポロカッター工法」は、矩形断面の泥土圧式シールド工法で、地盤改良体を含めた硬質地盤掘削の実績があり、矩形をはじめ多様な断面形状に対応します。本工法は、国内の地下鉄関連工事2件につづき、今回が3例目の適用となります。
今回の掘削線形は、延長225m、発進立坑から8%の下り勾配で、土被りは発進部で約1.5m、到達部では約17mでした。また、本線トンネル土留め壁との離隔は標準500mm(最小250mm)で、約150mにわたって近接・並走した掘進となる、非常に難易度の高い掘削工事となりました。
小土被りでの発進、掘進中の地表面への影響抑制対策
シールド発進部の施工では近隣家屋に近接した小土被りとなり、発進時、及び掘進中の地表面への影響を抑えるため、水平傾斜計を利用した地表面の自動計測などを行うとともに、以下の対策を実施しました。
1.押え盛土の設置
小土被りで発進する際の地表面の隆起などを抑制するため、押え盛土(H=2.5m)を発進直後の約20mの区間に設置し、上載圧(重し)を付加しました。2.影響遮断壁(ソイルモルタル壁)の配置
掘削側面の変形によって地表面に影響が及ぶことを防止するため、発進直後の約30mの区間において、無芯ソイルモルタル壁(深さ15m)をシールドマシンの側部両側に配置しました。3.沈下抑止充填材の注入
掘進中には、新たに開発した沈下抑止充填材「ボイドキーパー® VK-KTS」を、マシン周囲の余掘り部分へ注入・充填し、地表面沈下の抑制を図りました。また、シールドマシン通過後の後続沈下抑制には「ボイドキーパーVK-KTS」が特に効果を発揮し、事前のFEM解析では発進時に21mmの沈下が想定された地点において実際には7mm、掘進した全線でも最大10mmにまで沈下が抑制されました。
|
|
|
本線トンネル土留め壁との近接・併走掘進
本線トンネル土留め壁と近接・並走した掘進となるため、マシンのローリング(傾き)が大きくならないよう、厳重な管理が要求されました。カッター位置を高精度に制御できるアポロカッターの特長を活かし、余掘部のカッター軌道を変えることでローリングを修正しながら、掘削を進めました。
また、近接した本線トンネル土留め壁にも過剰な影響を与えないよう、切羽の土圧管理を厳格に行った結果、アポロカッター工法による掘進後、土留め壁に変位はほとんど認められませんでした。
今後の展開
鹿島は、小断面から大断面まで、都市部の様々な地下空間構築のニーズに応えるべく、アポロカッター工法をはじめとした矩形シールド・推進工法のラインナップ「VERSATILE BOX工法※」を積極的に提案していきます。また都市部の施工で最大の課題となる、地表面および既設構造物への影響を最小限に抑えるため、沈下抑止充填材「ボイドキーパーVK-KTS」を活用し、より安全・安心な施工を目指します。
※その他のラインナップとして、ワギング・カッター・シールド工法、EX-MAC工法、R-SWING工法がある
常磐工区開削トンネル工事 工事概要
工事名 | : 常磐工区開削トンネル工事 |
工事場所 | : 大阪府堺市北区常磐町1丁~同町2丁付近 |
工期 | : 2008年6月17日~2017年11月30日 |
事業者 | : 堺市 |
発注者 | : 阪神高速道路株式会社 |
施工者 | : 鹿島・飛島建設工事共同企業体 |
(参考)
高速道路トンネル出口ランプ部を「アポロカッター®工法」にて施工開始!
(2016年9月28日プレスリリース)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。