ホーム > 企業情報 > プレスリリース > 都市部の開削トンネル工事の大幅な省力化と工程短縮を可能に!

プレスリリース

[2017/12/12]

494KB

都市部の開削トンネル工事の大幅な省力化と工程短縮を可能に!

大型地下構造物の完全プレキャスト化 「スーパーリング®工法」を開発

 鹿島(社長:押味至一)は、都市部の道路トンネルなどを開削工法により構築するにあたり、構造物を完全にプレキャスト化する「スーパーリング工法」を開発しました。本工法は、高品質な地下構造物を少ない人数と資機材で施工することにより、従来の場所打ちコンクリートによるボックスカルバートと同等のコストながら、現場で必要な作業員数を約90%削減するとともに、躯体構築の工程も約50%短縮できる画期的な工法です。
 今後、2車線の道路トンネルを想定した実物大の実証実験を、橋梁、シールド等におけるプレストレスト技術を有する三井住友建設(社長:新井英雄)と共同で実施し、さらなる生産性向上に向けて、施工方法の検証を行っていきます。

スーパーリング工法概念図

スーパーリング工法概念図

開発の背景

 建設業では、将来的な熟練作業員不足が懸念される中、現場作業の省力化による生産性の向上が喫緊の課題となっています。従来、都市部の開削トンネル工事は、場所打ちコンクリートによるボックスカルバートで構築するものが一般的ですが、鉄筋、型枠、コンクリート打設、防水など複数の工程を必要とし、多くの人員と時間を要していました。
 その対策としてプレキャスト工法を検討した場合、都市部の狭隘な場所では、大型の揚重機を設置できないため大きな部材を揚重できず、また一方で部材を小さくすると施工手間が増えるだけでなく、継手部が多くなることで止水性が懸念されるなどの課題があります。
 そこで鹿島は、現場作業を低減するプレキャスト化のメリットを最大限に活かしつつ、都市部でも施工できる合理的な構造とすることで、コストは従来工法と同等としながらも、大幅な省力化と工程短縮を実現する「スーパーリング工法」を開発しました。

スーパーリング工法の概要と特長

 本工法は、大型リングセグメントを地上で組み立て、土留め掘削した空間に吊り下ろして所定の位置までスライドさせた後、複数のセグメントのリング間をプレストレスによって一体化させることにより、道路トンネルなどを構築する工法です。
 主な特長は、以下の通りです。

(1)リング構造による軽量化

 構造的に強い円形のリング構造とすることで、部材を薄くできます。そのため1リングの重量が約45t※1と、同規模のボックスカルバートと比較して1/4に軽量化され、汎用揚重機による施工が可能になります。

※1 2車線の道路トンネル、外径12m、セグメント厚500㎜、セグメント幅1.0mを想定

【従来工法】 ボックスカルバート

【従来工法】 ボックスカルバート

【新工法】 スーパーリング工法

【新工法】 スーパーリング工法

(2)高い耐震性、止水性

 セグメントは4等分割とし、円周方向、軸方向ともにPC鋼材によってプレストレスを与え、強固に一体化します。円形リングの構造的優位性から、レベルⅡ地震動※2に対しても十分な耐力が確保できます。また、継手部にはシールドトンネルで実績のある水膨張シールを用い、プレストレスにより十分に密着させることで、高い止水性を確保します。

※2 構造物の耐震設計の際に用いられる基準で、現在から将来にわたって当該地点で想定される最大級の地震動のこと

(3)優れた施工性

 プレキャスト化により、鉄筋、型枠、コンクリート打設、防水などの作業が不要になるため、従来の場所打ちコンクリートによるボックスカルバートの構築に比べ、コストは同程度、現場で必要な作業員数は約90%削減、躯体構築の工程も約50%短縮することが可能になります。また、場所打ちコンクリートの場合は、工事の進捗状況に合わせて開口部を設ける必要がありますが、本工法は1リングごとに吊り下ろしてスライドさせるため、開口部を1箇所に固定することができ、作業の効率化が図れます。

スーパーリング工法の施工手順

 本工法の施工手順は、以下の通りです。

スーパーリング工法の施工手順

今後の展開

 鹿島は今後、スーパーリング工法のメリットを最大限に活かせる都市部において、地下の道路トンネルなどに提案していきます。
 また、水路、海洋構造物、各種貯蔵施設、エネルギー施設など、様々な分野にも応用・展開すべく、更なる技術開発を進めてまいります。


プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

ホーム > 企業情報 > プレスリリース > 都市部の開削トンネル工事の大幅な省力化と工程短縮を可能に!

ページの先頭へ

ページの先頭へ